アモデイの3段階計画、訓練は止めず安全確認に時間をかける
ここまで見てきた懸念を踏まえ、アモデイは対処のための3段階の計画を示す。
まずアモデイは、次のように断っている。
「ペースを整えるとは、モデルの学習や技術の進歩を止めることではない。各社がモデルの方向づけと安全確保に十分な時間をかけ、それを外部の評価者が確かめられるようにするということである」。
ここでいう「外部(third parties)」とは、当事者が安全のルールを守っているかどうかを検証する「査察官」のことだと考えればよい。イラクの大量破壊兵器を調べた国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の委員長を務めたハンス・ブリクスを思い浮かべるとよいだろう。
ステップ1:AI各社は、外部評価者の評価チームを社内に常駐させる
アモデイはステップ1をこう説明する。
「最先端のAI企業はそれぞれ、社内に常駐する外部評価者のチームに対し、社員に準じるアクセス権を継続的に与えることを約束する。(中略)その役割は、安全の実践と約束が守られているかを検証し、インシデントを報告し、完成したAIモデルだけでなく学習のパイプラインやプロセスまで含めて、方向づけが取れているかどうかの評価を助けることにある」。
ステップ2:民主主義国のAI企業が共通基準を定め、政府も支える
続くステップ2は地政学にかかわるもので、アモデイはこれを「民主主義国同士の協調(democratic coordination)」と呼ぶ。
「民主主義国の最先端AI企業が協調し、共通の安全基準を定めるとともに、歯止めのないAIの進歩の速さに制限を設ける。ペースを整える上で効果の大きい協調の形のなかには、法的に難しいものもあり、政府の後押しが必要になる」。
つまり、政府の関与である。
ステップ3:民主主義国の政府が、権威主義国とも協調を図る
そして最後がステップ3だ。
「米国とそのほかの民主主義国の政府は、可能な範囲で権威主義国の政府との協調を試みる。その際、順守をどう検証するかという難しさを正面から受け止める」とアモデイは書く。これも地政学の話である。


