製品

2026.09.25 10:45

3Dクローン「失敗できる患者」で変える、世界の医療教育|ミライズウェルメディカルグループ×MEDiDENT×日南

3Dクローンがもたらしうる「もう一つの未来」は、これまでブラックボックスだった医療手技の一部を「見える化」することだ。将来的に3Dクローンを用いて手技を評価し、教育時のフィードバックに活用できる可能性がある。これまで指導医の経験や感覚に依存する部分も大きかった技能教育に、客観的な評価軸を加えることができれば、若手医師・歯科医師の育成方法そのものが変わるかもしれない。

advertisement


一方で、医療者の評価や患者への情報提供に活用するには、評価指標の妥当性や公平性、症例ごとの難易度の違い、データ管理などについて十分な検証とルール整備が欠かせない。もちろん、医療者の力量は手技だけで決まるものではない。診断力、臨床判断、患者への説明力、チーム医療など、複数の要素を総合して評価する必要がある。

そのうえで、3Dクローンを用いた模擬手術は、これまで見えにくかった技術面を補完的に評価する新たな手段になり得る。将来、患者自身の3Dクローンを用いて治療前に模擬手術を行うことができれば、単なる医師の順位付けではなく、治療計画の検討やリスク説明、患者自身の意思決定を支えるための材料として活用される可能性もある。

「将来的には、標準化と妥当性の検証を重ねたうえで、医師・歯科医師国家試験を含む技能評価への応用可能性も検討できるのではないでしょうか」と富田は展望する。

advertisement

医療手技の可視化は、教育時のフィードバックを具体化し、継続的な技能向上を支える。その積み重ねが、将来的には医療全体の質の向上につながっていく可能性がある。ミライズ、MEDiDENT、日南は、国内外の大学・医療機関との共同研究や教育用途での活用、教育機関への導入支援を進めている。患者個別データを扱う場合は、本人同意と適切なデータ管理を前提とする。販売時期と価格は現在検討中だ。

ミライズも3Dクローンの普及と教育現場への実装に本腰を入れる。2026年に構想を発表し、基盤整備を進める「Mirise Global Academy(ミライズグローバルアカデミー)」は、教育、研究、デジタル実装、国際連携を横断するプラットフォームだ。若手医療者・研究者への教育支援、学習コミュニティ、寄付・スポンサーの仕組みなどを順次整え、次世代の医療を担う人材育成を目指す。3Dクローンも、その中核となる教育・研究ツールの一つとして活用していく。

アカデミーで中心的な役割を担う富田由美子統括本部長には原体験がある。18年の開業直前、デング熱に罹患した夫の富田が高熱を発し、当初は病名が分からずに生死をさまよったことと、そして20年に二男が川崎病を発症し、冠動脈に後遺症が残る可能性を告げられた痛烈な経験だ。ふたつの経験を通じて、正確な医療情報にアクセスできること、そして適切な医療へつながるための知識を持つことの重要性を痛感したという。

「医療の専門知識がある私たちでさえ、大きな不安を感じました。専門知識の有無にかかわらず、誰もが必要な医療情報に適切にアクセスできる環境が重要です。医療者を育てることと、患者さんやご家族が医療を理解できる環境をつくること。その両方を進めていきたいと考えています」(統括本部長の富田由美子)
患者のリテラシーという観点から医療の「民主化」が問われている。医療の「民主化」とは、単に情報を公開することではない。専門的な医療を、患者や家族が理解し、自らの意思決定に参加できる形へ変えていくことでもある。

アカデミーでは、東京の施設や神奈川県大磯の約540坪の拠点などを活用し、国内外の医療者を対象とした研修、症例検討、共同研究、セミナーを展開する。アジア、中東、欧州など世界の大学・医療機関・医療者との交流や連携を進め、臨床や研究で培われた知見を体系化し、国境を越えて共有していく構想だ。
「見える化」から「触れる化」へ。そして、熟練者の経験を再現可能な教育資産へ。ミライズウェルメディカルグループ、MEDiDENT、日南の3者は、それぞれの強みをかけ合わせ、医療技術を深めるだけでなく、その知識と技能を国境や経験年数を越えて届ける「医療の民主化」に挑んでいる。

文=橋本卓典

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事