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2026.09.25 10:45

3Dクローン「失敗できる患者」で変える、世界の医療教育|ミライズウェルメディカルグループ×MEDiDENT×日南

富田の「できない」を「できる」に変えたのが、精密プロトタイピング技術を磨いてきた日南だった。

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日南は1970年、宮崎県日南市出身の堀江勝人社長が、故郷の地を社名に冠して創業。家電、自動車の試作品の設計、製造を手掛けてきた。
「『やってみなさい』が企業文化です」と語る猿渡義市デザイン本部長は、日産自動車出身。「日南は、世の中に必要とされる、まだかたちのないものをかたちにし、社会の役に立つために存在する会社。だからこそここでチャレンジしてみたかった」という。日南は機械加工、造形加工、表面処理などの最先端設備を自社で揃え、デザインからデジタルモデリング、ロボティクス、金型を用いた射出成型まで、開発の全プロセスをフルパッケージで支援できる総合力を強みとしている。

ミライズと、日南の出会いは偶然であった。その「橋渡し役」となったのが、ミライズクリニック南青山副院長のミド・アブデルハキムだ。
アブデルハキムは、パートナー(現・妻)であり、日南のデザインディレクターでもある堀江りつと話すなかで、「日南の猿渡氏と富田氏が出会えば、何か新しいものが生まれるのではないか」と考えた。両者を引き合わせたことがきっかけとなり、共同開発が動き始めた。

「日南さんの技術は私の予想を超えるものでした。人体の肌の質感や部位ごとの色合いまで、ここまでリアルに再現できるのかと驚きました」と富田も舌を巻いた。3Dクローンの皮膚をメスで執刀すると、血が流れ出すが、これは技術的に簡単なことではない。赤い液体を膜で包むだけでは人体のようには流れ出ず、目に見えない「血圧」という要素まで再現する必要がある。

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日南は、圧力を保持する要素技術「血管シート」を独自に開発。ミライズの持つ3次元医療データと臨床知見に基づき、クローン内部に組み込み、切開時の出血現象をより人体に近い状態で再現するためのロジックを確立した。

「執刀した瞬間、その部位に応じた出血が起こる」。

こうした手術時の現象の再現には、最新設備だけでは足りず、ミライズの医療データと臨床知見をもとに、「何を、どこまで再現すべきか」を定義する設計力、それを具現化する日南の「総合試作力」が組み合わさることで、初めて実現した。

現在はさらに、組織ごとに異なる硬さや切削時の感触など、外見だけでは捉えられない物理的特性を生体に近づけるための研究・検証も進めている。3Dクローンは、形状や色彩の再現にとどまらず、実際の手術で術者が感じる「感覚」まで再現することを目指して進化を続けている。

次ページ > 患者の「安全性」と若手医師の「教育効果」を両立

文=橋本卓典

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