サイエンス

2026.10.18 12:00

頭脳流出は静かに進む──科学者を引き留める長期研究投資と知的自由が鍵を握る

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科学人材の獲得競争は米中だけで起きているのではない

私は中国出身で、後に米国へ帰化したため、科学人材をめぐる問題を米国と中国の競争として捉えた質問をよく受ける。しかし、世界の科学人材をめぐる競争は、米中2カ国だけで争うものではない。

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欧州、アジア、中東の各国も、研究、技術、高等教育、イノベーションを支える基盤へ積極的に投資している。知識を消費するだけでなく、自ら生み出せる国がこれからの経済を主導すると理解しているからだ。

最終的に、すべての国が同じ問いに直面する。世界で最も優秀な人々が、その国で自らの人生とキャリアを築けると信じられるかどうかである。

この問いが重要なのは、科学の進歩が経済的価値を生み出すだけではないからだ。科学は医療を改善し、産業を強化し、雇用を生み出す。環境問題の解決を前進させ、人間の理解そのものも広げる。科学の発展は、常に人類の進歩と深く結び付いてきた。

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私は複数の国で教育と科学研究の機会を得たことで人生が大きく変わった。その経験から、国際協力と研究への投資には大きな力があると強く信じている。

科学は長い間、文化や政治体制、国境を越えて人々を結ぶ強力な架け橋となってきた。異なる背景を持つ研究者が協力するのは、政治的な考え方まですべて一致しているからではない。新しい発見を目指し、問題を解決するという共通の目的があるからだ。

科学者に門を閉ざしても研究活動まで止めることはできない

何年も前、私は「扉が閉まっているなら、窓から入ればよい」という言葉を使い始めた。後に自著の題名にも着想を与えた言葉である。当初は、困難から立ち直る力と、既成の方法にとらわれない問題解決を表すために使っていた。現在は、人材が国境を越えて移動する現象にも当てはまると考えている。

科学者や研究者、イノベーターの前で扉が閉まり始めても、彼らが研究やイノベーションをやめることはほとんどない。代わりに、研究を続けられる別の場所を世界のどこかで探し始める。

だから国家は、科学人材が自国にいて当然だと考えることはできない。

科学への投資は、単なる予算配分の問題ではない。社会がどのような未来を築こうとするのか、何に価値を置くのか、そして人間の好奇心と新しいものを発見する力を、文明が持つ最大級の強みの1つだと信じ続けるのかを決める選択でもある。

(forbes.com 原文)

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