キャリア・教育

2026.10.14 09:15

やりたいことがない人の盲点…60点を複数持つバランス型の強み

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「バランス型」でいいじゃないか

ある時、カレンさんは気づいた。

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自分は「いつか100に出会える」と期待し続けているから、苦しいのではないか。

「出会っちゃったみたいな感覚」を待ちつづけている。

でも、もしそれが来なかったら?

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ずっと「自分はまだ本当にやりたいことを見つけていない」と思いつづけるのか?

カレンさんは決めた。

100を待ちつづけるのを、やめる。

「これだ!」に出会えることを期待するのを、やめる。

それは、諦めではなかった。むしろ、解放だった。一点突破型の人もいる。でも、自分は60を複数持つバランス型だ。それでいい。

そう信じられた瞬間、迷いが減った。100を持っている人を見ても、「自分とは違うタイプなんだ」と思えるようになった。

ひとつに絞らなければいけないというプレッシャーから解放された。

そして気づいたのは、バランス型には、バランス型なりの強さがあるということだった。ひとつが上手くいかなくても、方向転換しやすい。帰れる場所がいくつもある。

仕事がしんどいときは文章を書くことに救われる。文章に行き詰まれば、旅で気持ちを切り替えられる。

それぞれが独立しているようで、実は影響しあって活きてくる。

「これが、私が得意としてきた生き方なんだ」

考えてみれば、ずっとそうやって生きてきた。

複数のものを抱えながら、その都度バランスを取って、必要なら比重を変えて。それは中途半端ではなく、カレンさんが磨いてきたひとつの能力だった。

100を持つ人を羨ましがっていた頃は、その能力が見えなかった。

「絞れない自分」「突き抜けられない自分」というネガティブな輪郭でしか、自分を捉えられなかった。でも、100を待つのをやめた瞬間、同じ自分なのに違って見えた。実態は何も変わっていない。今も人材に関わる仕事をしながら、文章を書き、旅をして、人と話している。

「どの領域にも、自分の『好き』をすこしずつ差し込んでいけばいい。そう思えてからは、次に何をやろうかなって、楽しみのほうが大きいんです」

100の何かを探していた頃には、なかった感覚だった。100を探しつづけるという「自由」を手放す。「自分はバランス型」という「制約」を受け入れる。

それが、カレンさんが選んだ「ちょうどいい不自由」だった。

文=山崎 茜/博報堂 若者研究所研究員、ボヴェ啓吾/博報堂 若者研究所代表

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