答えをもらうためではなく、「外に出す」ために話す
一人で決めなくていい理由は、もうひとつある。
むしろ、こっちのほうが本質かもしれない。
そもそも、自分のことは、自分がいちばんわかっているとは限らない、ということだ。
自分の譲れないもの。
それは、自分の頭の中をいくら覗いても、はっきり見えてこないこともある。
でも、不思議なことに、他人と話していると、ふっと見えることがある。
「あなたって、いつも人の相談に乗ってるよね」
誰かの何気ないひと言で、「あ、自分ってそうなんだ」と気づく。
自分では当たり前すぎて見えなかったものが、他人という鏡に映って、初めて見える。
一人で考え込んだ末ではなく、人に話し、「それいいね」と言われるうちに、輪郭がはっきりしてくる。
だから、迷ったら、人に話してみてほしい。
答えをもらうためではない。話すことで、自分の声が、自分に聞こえてくるからだ。
悩みも、同じだ。
頭の中に一人で閉じ込めておくと、悩みは本来の大きさよりふくらんでいく。
でも、口に出して、同じような誰かに「わかる、私もそうだった」と分け合った瞬間に、適切な大きさに戻る。
だから、外に出す。それだけで、ずいぶん楽になる。
決断も、悩みも、自分一人の中に閉じ込めない。
それが、自分だけで「決めない」という、ちょうどいい不自由だ。


