米国でEC販売を開始したものの、輸送費や販売手数料のコストの壁に直面。そこで現地の老舗醤油メーカーSAN-Jの協力を得て、現地生産体制へとシフト。販売価格を14ドル前後に抑え、同社の流通網を生かすことで、Whole Foods Marketへの大規模展開を実現した。
「目指したのは、ケチャップのように家庭に当たり前にあるソースです。だから高級品にはしたくなかった。私が受け継いだ日本の文化や知恵を、実際の消費者が手に取りやすいかたちへと“翻訳”し、製品やパッケージに落とし込んでいくのが私の役割だと思っています」
全米展開を機に米国へ移住。各地で店頭サンプリングを行い、ファンもボランティアで参加する。販路はシンガポールやフィンランドなどにも広がり、永谷園と協業したふりかけの販売もスタート。今やプロダクトの売り上げがインフルエンサー収益を大きく上回る。
日本の味を世界に広げながら、山田が目指すのは、日本文化をそのまま届けることではない。それぞれの土地の暮らしに入り込み、使う人自身の記憶や日常につながるものへと翻訳することだ。掲げるメッセージは「Home in every spoonful(一口ごとにホームを思い出す)」。
「舞妓時代、くじけそうになったときに母がこっそり届けてくれたカレーを食べて救われました。商品を通して思い出してほしいのは、“日本”ではなく、それぞれの『ホーム』の温かさです」
やまだ・もえ◎京都出身。16歳で舞妓の道に入り、その後芸妓として活動。現在はロサンゼルスを拠点に、日本の家庭料理や食文化を世界に発信する動画クリエイター。食品ブランドの開発・展開にも取り組み、発信とプロダクトの両面から日本の味を海外の日常へ届けている。


