クライアント:思ったより多くて、驚きました。娘の誕生日プレゼントをまだ買っていないこと。読みかけの本。半年前に頼まれたまま返事をしていない紹介の件。それと……役員のひとりに伝えたい懸念があるのに、タイミングを逃し続けていること。色々あります。
鈴木:そのなかで、今日中に完了できそうなものは、どれですか。
クライアント:プレゼントと紹介の件への返信は、今すぐできますね。
鈴木:役員に伝えたい懸念はいかがでしょうか。
クライアント:今すぐには無理です。ですが、「いつ話すか」決めるだけでも、占領されている感覚からは抜けられる気がします。
鈴木:未完了を完了にするコツは、完璧に片付けることではありません。比較的取り組みやすいものから始めることです。小さな完了の積み重ねが、実は一番効きます。
経営者の「余白」が、組織の真価を引き出す
数週間後のセッションで、その方は「未完了を処理すると、思った以上にエネルギーが湧いてくる感覚がある。頭に余白が増えたことで、目の前の議論に集中できるようになった」と、手応えを教えてくれました。
これはごく短い期間での個人の感覚の変化にすぎませんが、そのインパクトは決して彼だけに留まらないでしょう。
私たちは、他者との関わりのなかで、互いにエネルギーを伝達し合っています。例えば経営チームのメンバー全員の心身が良好な状態であれば、チームは大きな推進力をもちます。逆に、ひとりでも余裕のない人がいれば、チームは静かにその勢いを失っていきます。
個人のエネルギーはチームに波及し、チームのエネルギーもまた個人に跳ね返ってくる━━だからこそまずチームの要である経営者自身のファウンデーションが整っていなければなりません。自身のエネルギー漏れを防ぎ、心に余白があって初めて、経営者はメンバーのエネルギー状態にも、本当の意味で目を向けられるようになるのです。
余談ですが、私自身も経営者として、朝の数分を「未完了チェック」にあてる習慣を続けています。未返信のメール、机の上の書類、言いそびれたひと言──。
あなたの頭のなかを、今、占領し続けているものはないでしょうか。まずはひとつ、書き出すことから始めてみませんか。


