マーケティング

2026.07.21 16:15

【カンヌライオンズ2026】「広告枠から踏み出た」グランプリ3事例

「Look Familiar?」by ハインツ・ケチャップ

2つ目の事例は、オーディオ&ラジオ部門のグランプリ「Coqui Alarmed」で、プエルトリコで現代(ヒュンダイ)自動車が実施した施策だ。

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Coquiとは、プエルトリコに生息する蛙の名前でありその鳴き声のこと。ある旋律を持って「コキッ」と聴こえる。プエルトリコの人々にとっては、アイデンティティとプライドを感じさせる音なのだと言う。しかし、海外からの旅行者達の中には不快に感じる人もいて、ネット上で大きな議論になっていた。

そうしたなかで、韓国のブランドである現代(ヒュンダイ)自動車は、プエルトリコの人々の気持ちを捉えるべく、自社のレンタカーで、リモートキーの開け閉めの時などの“ピッ”という電子音を「コキッ」という蛙の鳴き声に変えた。これが大きな話題を呼び、プエルトリコの人々の心を掴んだ。

ラジオ部門として2005年に始まったオーディオ&ラジオ部門は、ラジオCMだけではなく、音を使うコミュニケーション全体に対象を拡げようと、オーディオ&ラジオ部門に改称。改称以降も、ラジオCMの秀作が多く表彰されてきたが、今年の上位受賞作は、ラジオCMという枠の中で斬新な表現を目指すのではなく、「音をキーファクターとして使用したマーケティング・コミュニケーション」へと大きく推移しているように見える。現代自動車の事例も、ラジオCMという枠から大きく踏み出て、まったく新しい発想で企画されたものだと言えそうだ。

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3つ目の事例は、プリント&パブリッシング部門のグランプリを獲得した、ハインツ(ケチャップ)の「Look Familiar?(見覚えない?)」だ。この事例は、広告枠を活用しているものの、広告枠内での一般的な表現を追求することから踏みだして、使えるものは何でも使おう!の精神を、まさしく具現化している。

150年の歴史を持ち、ずっと同じ形のロゴマークを使用して来たハインツのケチャップ。しかしながら、競合商品の増加や材料費の高騰などに直面し、フレンチフライを注文する時に人々が必ずハインツケチャップを想起してもらうようにする必要に迫られていた。

そうした課題を持った時に、担当者は、あることに気づいたのだ。「ファーストフード店で出て来るフレンチフライの入れ物の形って、ハインツケチャップのマークに似てない?」と。そう思って調べてみると、どこの国でも店で提供されるフライの紙容器は、ハインツケチャップのマークに似た形をしていた。

そこでハインツは、フレンチフライの容器にハインツのロゴマークを重ね合わせ、「It has to be Heintz(やっぱりトマトケチャップはハインツじゃなきゃ)」と伝えるビルボード等を、ロンドン、ニューヨーク、メキシコシティ、リオデジャネイロ、ドバイ、北京など各国で展開した。日本でも、スマートフォン広告を展開した。

この事例は目の付け所が面白く、ロゴを重ね合わせてしまうという強引さが、ある種のヒューモア(Humor)を醸し出していて、好感が持てるため話題になったのではないか。

このように、広告クリエイティブの世界では、何かに乗っかることは、まったく悪いことではない。アイデアに行き詰まったら、自分の頭の中だけで右往左往するよりも、枠を踏み出して、枠を取っ払って、使えるものは何でも使おう!と考えてみるのはいかがだろうか。

文=佐藤達郎

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