モバイル決済サービスの雄「ストライプ」 若きコリソン兄弟の苦闘

ジョン・コリソン Stripe共同創業者 (photographs by Jamel Toppin)

2014年の「30 Under 30」に選出されたパトリック&ジョン・コリソン兄弟。モバイル決済サービスの雄へと成長した今も、彼らの夢はまだその先にある。

「Stripe(ストライプ)は“絡まり合ったスパゲティ”のような複雑だった決済システムを解きほぐし、シンプルにまとめあげ、頭を抱えていた事業者たちを救ってくれました」(米ツイッターのコマース担当バイスプレジデントのネイサン・ハバード)

パトリック&ジョン・コリソンが共同創業した「ストライプ」は、eコマースのウェブサイトやアプリ開発者がこれまでになく簡単に決済機能を追加できるようにするプラットフォームを展開している。「ブログに動画を埋め込むように簡単な決済機能を」ー とパトリック・コリソンCEOが語るように、ペイパルやスクエアのような競合と比べ、わずか数行のコードを埋め込むだけで決済機能を搭載できる“シンプルさ”が最大の特徴だ。また、グローバル・スタートアップとして、日本市場にも2015年に招待制ベータ版の提供を開始している。

このストライプの成長はとどまるところを知らない。ここ1年で従業員数は380人に倍増し、大口の投資も呼び込んだ。現在の評価額は前年の35億ドルから50億ドルへ上昇し、今やユニコーン(企業価値10億ドル超えの未公開企業)の代表的企業として知られている。その評価の高さは、上場している同業他社スクエアの評価額40億ドルと比べても明らかだろう。

当初は米国内のサービスだけで、銀行に顧客を紹介してほしいと泣きついていたストライプだが、今では23カ国で事業を展開。ビザ、アップルペイ、アリババといった大手企業と次々に契約を結んでいる。

フェイスブック、ツイッター、ピンタレストもモバイル決済にはストライプを選択。従来の店舗型小売店のベスト・バイなども、モバイル決済にストライプを採用した。急成長中のビジネスコミュニケーションアプリ「スラック」も最近、決済業務を競合からストライプへ乗り換えたばかりだ。

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ミゲル・ヘルフト = 文 ジャメル・トッピン = 写真 徳田令子 = 翻訳 山下祐司 = 構成

この記事は 「Forbes JAPAN No.21 2016年4月号(2016/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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