中村 壱太郎
歌舞伎俳優
文化やクリエイティブ領域の活動で
新しいビジネスを展開し、
豊かな世界を実現しようとする人たち。
カルチャープレナーとは、文化起業家のこと。英語のCultural Entrepreneursを元にした造語であり、新しい概念だ。文化資本を軸に新たな価値を創出し、経済活動と両立する新しいタイプの起業家たちを指す。
文化資産や地域資源を掘り起こしてそれまでにない価値を生み出したり、日本文化の魅力を世界に伝えたり、未来の新しい文化をつくろうとしたり、その事業や取り組みはさまざまだ。彼らの挑戦は、異業種との結合や需要の開拓によって、今後大きなムーブメントになるかもしれない。それは、これからの日本経済にとっても、大きな可能性となるはずだ。
17人のアドバイザリーボードの協力を得て、これからの成長が期待できる45歳以下の文化起業家を中心に候補者を推薦してもらい、編集部の審査によって30組を選出した。
歌舞伎俳優
ミックスグリーン 代表取締役社長
ネイルアーティスト/ LaShade Founder
TANGENT Founder
MMA Inc. 代表取締役/一級建築士
diorama オーナー
Echoes プロデューサー
KASSEN 代表取締役
現代美術家
積彩 CEO/デザイナー
J-CAT 代表取締役
建築家
Wrong 創業者兼CEO
料理人
陶芸家
中東コーディネーター
NO MORE CCO
松井機業 代表取締役
VOU / 棒・TAKI / 焚 オーナー
三星グループ 代表
CACL 代表取締役
N's 1182 クリエイティブディレクター
Kiraku創業者・代表取締役CEO
IP書店プロデューサー
KAWAII LAB.総合プロデューサー
今西酒造 14代目蔵主
Aww 代表取締役
ファッションデザイナー
Konel・知財図鑑 代表
Simply Native 代表
BIOTOPE CEO /Chief Strategic Designer
エンタメ社会学者
TeaRoom 代表取締役CEO
ゼブラアンドカンパニー 共同創業者 代表取締役
shokolatt CEO
PARADE代表取締役社長
建築家
福光屋 代表取締役社長
季縁 代表取締役
細尾 代表取締役社長
照明家、KYOTOGRAPHIE &KYOTOPHONIE 共同ディレクター
ジャーナリスト
芸術・文化コンサルタント、Tokyo Gendai General Manager
クリプトン・フューチャー・メディア 代表取締役
映画編集者・監督
CHOCOLATE Inc. CCO/クリエイティブディレクター
Culturepreneur Collectives代表
選出にあたり、次のどれかに当てはまることを条件とする。
1.文化資産や地域資源を掘り起こし、新しい価値やエコシステムをつくろうとしている人たち
2.日本文化の価値を世界に伝えていくことができる新たなリーダーシップをもつ人たち
3.今、未来の新しい文化をつくろうとしている人たち
評価軸としては、以下をポイントとした
01
グローバルな活躍が
期待できる
02
地域産業や
コミュニティへの貢献
03
事業や取り組みが、
社会問題の解決にも
つながっている
04
持続可能性への
配慮がある
05
商品がもつストーリーや作り手への共感性を顧客に訴求できている
10月13日(月・祝)
・文化庁
・公益社団法人 関西経済連合会
・京都商工会議所
・一般社団法人 京都経済同友会
鮒鶴京都鴨川リゾート
〒600-8015 京都府京都市下京区松原上ル美濃屋町180
※時間・内容は変更になる可能性があります
歌舞伎俳優
人間国宝の坂田藤十郎を祖父にもち、父は中村鴈治郎、母は日本舞踊家の吾妻徳穂。95年に初舞台を踏み、近年では『金閣寺』の雪姫、『吉田屋』の夕霧など大役を務める。2020年にはART歌舞伎を立ち上げ、歌舞伎に関する舞台で初めての配信公演を実現。映像や衣装などのアート、そしてデジタル技術と連携し、歌舞伎に触れる機会のなかった若年層や海外へのアプローチに成功した。日本舞踊吾妻流の七代目家元でもあり、舞踊家・吾妻徳陽としての顔ももつ。16年公開のアニメ映画『君の名は。』では、主人公の三葉と妹の四葉による巫女舞のシーンの振り付けを担当。さらに、映画『国宝』では、吉沢亮や横浜流星への所作指導を担当した。歌舞伎の全体監修をした 父・中村鴈治郎の専門が立役であることから、女方である壱太郎が『曽根崎心中』の劇中セリフや映画で魅せる形を指導。攻めの姿勢で他分野と融合し、歌舞伎の価値と可能性を広げている。
ミックスグリーン 代表取締役社長
2006年に集英社に入社し「月刊少年ジャンプ」「ジャンプSQ.」「ジャンプ+」編集部で漫画編集者として活躍。『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』『ダンダダン』など歴代担当作品は累計1億部を超えるヒットメーカーだ。2022年に独立しミックスグリーンを創業。現在は連載作品を10本抱えるほか、漫画を元にしたアニメ・舞台・イベント・アプリの監修なども手がけている。今最も力を入れているのが、2025年4月にオープンした、本気で漫画家を目指す若者たちが暮らす集合住宅「MANGA APARTMENT VUY」。林が寮長兼プロデューサーを務め、19人の若手作家たちを育てている。「お金や生活の問題でプロを諦める漫画家を減らしたい」という思いで始めた取り組みで、日本のエンタメ産業の未来を担う漫画家の輩出を目指す。
ネイルアーティスト/ LaShade Founder
レディー・ガガやビヨンセ、マイリー・サイラスなどを顧客にもち、米国ロサンゼルスを拠点に活躍するネイルアーティスト。2012年に当時勤務していたネイルサロンの海外進出に伴い、ゼネラルマネジャーとして渡米。メルローズ地区での日本発ネイルサロンの立ち上げに従事し、多くのアーティストやセレブたちのネイルを担当するようになる。14年に独立。世界屈指のアーティストと接するうちに、ウェルネスの意識が自然と磨かれていき、今年の3月に新ネイルブランド「LaShade」をローンチ。ネイルをオフする際にアセトンも爪を削る必要もない、密着のために酸も使わない、自分で取れるプロ仕様のジェルネイルを「メイドインジャパン」にこだわって開発し、すでに国内外100店舗以上への納入を実現した。日本発のネイル文化を守るため、施術者たちの環境改善も含めた業界の課題解決に注力する。
TANGENT Founder
東京大学大学院で航空宇宙工学を学び、その後、Royal College of Artでデザインエンジニアリングの博士号を取得。2015年、英国でデザイン事務所「Tangent」を起業した。ドバイの世界一高いビル、ブルジュ・ハリファで光の演出をしたり、エルメスのジュネーブサロン展示ブースの美術をつくったり、グローブ・トロッターのスーツケースをデザインするなど、海外のトップブランドとの仕事を多く手がけている。21年からは、工芸の新たな可能性を模索する「Craft×Tech(クラフトテック)」プロジェクトを開始。日本の工芸産地と国内外のトップクリエイターをペアリングしコラボ作品を1年かけて創出するもので、双方の「技術革新」を引き出すきっかけをつくった。来年には、工芸を含む地域産業と宇宙工学の両方に注目した新プロジェクトを立ち上げ予定。これからも吉本にしかできない領域の開拓を続けていく。
MMA Inc. 代表取締役/一級建築士
今、最も注目される建築家の一人、工藤桃子。2016年にMMA Inc.を設立した工藤は、建築を単なるスクラップアンドビルドにしてはならないと考えている。すべての建築は、生きることや経済活動など、生活と密着した必然性から生まれ、だからこそ、捨てる、壊すことは文化の断絶を招くという。工藤の建築で欠かせない重要な要素が、素材だ。素材そのものが持つ必然性と歴史を再現し、活用する。例えば、青森にある代表作のひとつ「海に向かう家」では、現地の木材のみを使い自然と一体になる設計を実践し、また、一棟丸ごと素材そのものを工芸建材として体験できる「TACTILE HOUSE」まで設計した。素材に注力するその姿勢は、古き良き日本の古い機械をも活用しカーペットを再現、さらには自らが編集・執筆するジャーナルでは、ガラスや和紙など、素材そのものの本質を追求している。建築社会性と呼ぶその意識が、文化としての建築を発展させていく。
diorama オーナー
東京からクルマで2時間。山梨県北杜市の山あいに「diorama」はある。幼少期を過ごしたこの地に東京から移住した平尾は、2020年にこのギャラリーをオープンした。SNSをきっかけに、遠方にも関わらずハイセンスなコレクターやデザイナー、そして伊勢丹などからのコラボレーションの依頼といった人気のギャラリーになるとは想像もしていなかった。平尾はその理由を、時間が醸し出す「狙っていない作品」だからだと分析する。ギャラリーには、産業用だったつぼや、職人が使っていた作業台、そこが抜けた常滑焼のつぼなど、自然な佇まいに一手間を加えた作品が並ぶ。彼はモノのセレクトの選定基準を「質素、静寂、無機質、無為」に定めている。展示品の多くは、遠い昔、人の手によって使われていた時間の痕跡がある。diorama=平尾の審美眼が、文化を次の世代に継承する新しい価値に変化させているのだ。
Echoes プロデューサー
2012年にソニーミュージックグループに入社し、CDやゲームのパッケージ制作業務を経て、多様なアーティストの宣伝・制作・マネジメント業務を担当。2019年に同期で「monogatary.com」のスタッフだった屋代陽平に誘われ、小説を音楽化する企画を共同で立ち上げた。 そこから誕生したのがYOASOBIだ。2024年にはマネジメント&レーベルEchoesの発足にかかわる。EchoesにはYOASOBIやMAISONdes に加え、キタニタツヤやパペットスンスン(キャラクター) Aoooといった新世代のアーティスト11組が所属する。レーベルの目標は、熱量あるクリエイターと共鳴し、コンテンツを幅広い層へ届けていく「箱」になること。マネジメントのほかに、新世代クリエイターがパートナーを見つけられるプラットフォーム「MECRE」の運営や25年4月 に開催された都市型フェス「CENTRAL MUSIC &ENTERTAINMENT FESTIVAL 2025」のなかで「Echoes Baa」を実施した。
KASSEN 代表取締役
日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業後、CM制作会社で制作部に勤務。その後CMのVFX業に転身し、2013年からはVFXスタジオKhakiでオンラインエディターとして多数のTVCMやMVのVFX、仕上げに携わる。29歳でVFXスーパーバイザーとして映画『約束のネバーランド』(2020年公開)に参加し、大規模チームでの経験を通して、より良い制作体制の必要性を強く実感した。こうした課題意識から、2020年12月にKASSENを創業。KASSENは、VFXだけでなくディレクションや編集など複数のセクションを社内に擁し、さらに社外パートナーとも垣根を越えて協働することで、プロジェクトの初期段階から一体となって作品づくりに取り組んでいる。同社はこれまでにNHK大河ドラマ『どうする家康』などのドラマや映画、Number_iや米津玄師などのアーティストMV、サントリーや日本マクドナルドのCMなど多数の話題作でVFXを手がけてきた。太田は「ジャンルを横断し、仲間とともに“歴史を変える仕事”を目指す」ことを軸に、活動の幅を広げている。
現代美術家
時間や存在、歴史を題材とした抽象的な絵画やインスタレーションで知られる現代美術家。絵心のある父親の影響で幼少期から美術に親しんでいたが、母の死と、高校時代に読書を通して知ったシンギュラリティ(=人工知能が人間を追い越すとき)の概念と出会ったことをきっかけに美術の道へ。大学在学中から海外ギャラリーのプロジェクトに参加し、高く評価された卒業制作は金沢21世紀美術館の企画展へと発展。2021年に東京都現代美術館で開かれた個展は、同館を史上最年少で満たす快挙を果たした。コレクターたちにより、現在インドネシアのバリ島に常設美術館を建てるプロジェクトが進行中。26年の開館を目指している。世界をもっと良くするために人ができることは何か。古代から問われてきた永遠のテーマに、アートで挑み続けている。
積彩 CEO/デザイナー
25歳でデザインスタジオ「積彩」を立ち上げ、見る角度によって色彩を変化させる3Dプリント技術「Transcolor Printing」を独自開発。十二単や民藝から着想を得た日本人特有の豊かな 色彩表現と、3Dプリントという先端技術を融合させる試みは、ファッションや建築など多分野から注目を集め、産業連携にも活動の幅を広げている。大阪・関西万博でパナソニック製の植物 由来素材「kinari」を用いたオブジェ制作を手がけるなど、環境負荷の低いものづくりにも定評がある。
J-CAT 代表取締役
文化とそれに携わる人への支援を事業ミッションに据えてJ-CATを創業。運営するECメディア「Otonami」と「Wabunka」では、茶道や写経、工芸など多彩な日本文化の魅力を知る各分野の専門家が案内役を務める特別な文化体験が 国内外で支持を得ると同時に、体験提供者の自立的活動の後押しにもなっている。今春にはより気軽な学びの機会を提供する「Otonami Lounge Tokyo」を東京駅に開設。大手企業とも連携しながら日本の資源価値を多角的にとらえた新ビジネスを展開している。
建築家
京都の有名工務店の門をたたき、数寄屋大工の修業を積んだ。2011年に建築家として独立すると、職人経験で体得した素材へのまなざしと寸法感覚を基盤に、建築物からインテリア、インスタレーションアートでも手腕を発揮。佐野がデザインを手がけたホテルや飲食店には、樹齢数百年の原木や巨大な天然石がそのままの姿で組み込まれ、素材から読み取れる時間の痕跡をも設計の一部としていることがうかがえる。近年は森林の長期的価値を育てる仕組みやファンド設計にも尽力。素材の目利きから加工方法まで建築のプロセス全体に精通し、国際的に活躍する佐野だからこそできる、森林資源を資産化する新たなビジネスモデルの構築に取り組む。佐野がつくる「一本の木を育む環境」が、日本古来の豊かな森や里山の風景を守っていく。
Wrong 創業者兼CEO
京都大学の数学科で学び、DNAやマイクロソフトのエンジニアというキャリアから転じて、昨年10月にオリジナル3DCGアニメーションを制作する「Studio Wrong」を設立。日本有数のクリエイターとつくる動画を毎週SNSに投稿し、そのクオリティの高さでたちまち人気を獲得した。視聴の8割を海外ファンが占め、起業1年目にして2度の資金調達にも成功するなど、グローバルな期待を寄せられている。従来、CG技術は特殊効果のひとつとしてクライアントワークに生かされることが主だったが、発信力のあるIPの誕生に新たな勝機を見いだした。「オリジナル作品に対しては投資リスクが先行し、若い才能をバックアップする企業がほとんどいません。『少年漫画なら少年ジャンプに、3DアニメならWrongに』と思われるように、クリエイターに十分な機会や居場所を提供していきたい」。才能を支える環境づくりで新たなビジネスを切り開いている。
料理人
26歳でスペイン・バスク地方のミシュラン一つ星店「アラメダ」に飛び込み料理人としてのキャリアをスタート。同地にある世界的名店「アサドール・エチェバリ」で薪焼き技術を磨き、副料理長を務めたのちに「Txispa(チスパ)」を開業し独立。「薪火の魔術師」と称されるほど卓越した技術と、糀・味噌・醤油など日本の発酵技法を組み合わせた品々が評価され、開店からわずか半年でミシュラン星を獲得。異文化融合の域を超えた試みが、和食文化の新しい翻訳として注目を集めている。
陶芸家
招き猫をスタッズで覆った「NEO MANEKINEKO」 や、戦国武将をモチーフにした装着できる器「頬 鎧盃」など、「静けさ」を重んじる従来の日本的美意識とは対照的な「“反”侘び寂び」のアー トで注目を集める。挑戦的な作風が国内外で高く評価され、スポーツブランドやアニメ作品との コラボやNFT展開を実現。近年は、そうした対 極的な文化を併せ持つ「NEO WABI-SABI」を新たなテーマに掲げて活動し、工芸界の常識を 逸脱した表現で、多様な日本文化に通ずる美意識を表現している。
中東コーディネーター
中東の王族と日本人の交流アテンドや企業や行政のプロジェクトへの協力、またメディア出演などコーディネーターの枠を飛び越えた活動を続ける「文化外交人」。2013年「日本・サウジアラビア青年交流団」プログラムに参加し、中東文化に魅せられた。渡航を重ね独学で習得したアラビア語に加え、折々に購入した各国の民族衣装と伝統を心得た着こなしで、現地から厚い信頼を得ることに成功。コミケ参加歴20年超の鷹鳥屋は、かつて勤務先でIP担当業務を任された経験もあり、日本の「オタクカルチャー」やコンテンツのライセンス交渉にも明るい。両地の文化を熟知し、日本発のコンテンツを中東へ的確に届けることができる稀有な存在として、アニメや漫画の国際展開に関する依頼が多数寄せられている。カルチャーへの情熱と中東への深い理解で、新たな国際交流の光を見いだしている。
NO MORE CCO
体験型・没入(イマーシブ)型のエンターテインメントを企画開発・プロデュースするNO MOREのクリエイティブトップを務める。これまでに商店街でのミュージカル実演や人気漫画を原作としたレストラン型演出を行う「Out Of Theater」の創設や、コロナ禍に旗揚げしZoom上で稽古・上演を敢行した「劇団ノーミーツ」など、従来の劇場の枠を飛び越えた新しいエンタメを開拓してきた。NO MORE設立後に開催した「思考実験展」では、参加者が魔王討伐に向かう冒険者になりきり、問いやストーリーを通じて本来の「じぶん」を見つけるという独自の構成が話題を呼び、2カ月間で約1万2,000人を動員した。今後は日本のIPコンテンツと空間体験とリンクさせる新しい仕掛けを武器に世界展開も。巧みに設計された物語と最新テクノロジーによる空間演出に漬かる新しい“遊び”で、世界に熱狂を巻き起こしていく。
松井機業 代表取締役
富山県・城端の伝統織物「絓絹(しけきぬ)」を日本で唯一一貫生産し、自社ブランド「JOHANAS」では枕カバーなど現代人の日常に寄り添う製品を展開。繭から排泄物まで活用できる蚕を「最強のサーキュラーシステム」ととらえ、教育機関と連携した学習機会の提供や、壁紙や寝具に絹を用いた宿泊施設として空き家を再利用する構想など、多方面に活路を見いだしている。「民藝運動の父」と呼ばれる思想家・柳宗悦ゆかりの地としても知られる地元の伝統産業が衰退していく状況を憂慮して、2016年からは養蚕にも着手。「民藝には『他力美』という概念があります。自分の力を誇示せず、自然や伝統の大きな力に生かされているんだと感謝する“おかげさまで”という心持ちでいるほうが、美しいものをつくることができるという考えです。お蚕さんの命をいただく仕事だからこそ、この民藝の思想やウェルビーイングの意識で人の暮らしに貢献できるものをつくりたい」
VOU / 棒・TAKI / 焚 オーナー
京都精華大学在学中から個人屋号「ZUURICH」 でショップ運営や展示活動に参加し、卒業後も同学のサテライトスペース「kara-S」の運営で若手クリエイターの作品展示・販売を支援。 京町家を改装して開業したギャラリー&ショップ「VOU/棒」は、2019年の移転を経て京都の現代カルチャー発信拠点へと成長した。染工場跡を改装した新店舗「TAKI/焚」も昨年開業。出身やジャンルを超えたクリエイター同士の輪を広げ、新しい表現が芽吹く自由で持続的な文化の土壌を耕し続けている。
三星グループ 代表
三菱商事やボストン・コンサルティング・グループを経て、家業の老舗素材メーカー5代目に就任。LVMHグループにも生地を提供するなど 欧州市場を開拓して事業を拡張しつつ、使用済みウールの再生プロジェクト「ReBirth WOOL」、 ウールの使い手とつくり手をつないだ産業観光イベント「ひつじサミット尾州」など、新たな挑戦 を通じて地元・尾州が誇る繊維産業全体の盛り上げに注力。スタートアップとの共創拠点「TAKIBI & Co.」の設立など、繊維文化を未来へつなぐ取り組みの数々が高く評価されている。
CACL 代表取締役
2023年に社会課題×地域資源を目指した CACLを設立。翌年の能登半島地震で被災した輪島塗職人に仮工房を提供し、破損した陶磁器の欠片を金継ぎで生かす「Stand with NOTO」を立ち上げた。規格外の工芸品をアートへアップサイクルする「Rediscover project」やブランド「KAKERA」など、創造的復興の一助にも発展。「誰もが自分の命を燃やせる社会」を理念に、 価値が見失われた人やものに新たな意味を与え、 福祉の枠を超えて文化の再生・発展に貢献している。
N's 1182 クリエイティブディレクター
西陣織の帯生地専門織屋に生まれ、2020年 にアパレルブランド「N's 1182」を設立。「本物の価値の再定義」をテーマに、従来ほかの衣服への転用が難しかった帯生地の規格サイズ(1丈1尺8寸2分)をあえて生かしたユニセックスな服を展開し、24年のJapanCraft21クラフトリーダーに選出されるなど、西陣織を現代的にリデザインする事業として高評価を得た。今年は大阪・ 関西万博に参加しファッションショーを開催。 高齢化で転廃業が進む伝統産業に新しい魅力と需要を創出している。
Kiraku創業者・代表取締役CEO
カリフォルニア大学バークレー校を卒業したのち、投資運用会社を経て、2013年にシリコンバレーでKirakuを創業。長野県塩尻市の宿場町・奈良井宿で休業していた老舗蔵元を、宿泊施設やレストランと併設するマイクロブルワリー「suginomori brewery」に再生し、そこでつくる日本酒ブランド「narai」や直販所「sagyobar」を新設することで、新たな観光目的地を生み出して地域活性化に貢献している。22年には世界的ホテルグループのハイアットとの合弁会社を設立。累計220億円の出資をうける同社ブランド「吾汝 Atona」は、現在、由布・屋久島・箱根の3拠点で、温泉のみならず地域特有の文化体感を叶える次世代型のラグジュアリー施設をつくる事業を進行している。グローバルな金融舞台で培った才覚を生かし、過小評価されている日本の地域資産に新風を吹き込む手腕が注目されている。
IP書店プロデューサー
いち書店員として始めた店頭POPづくりから才覚を現し、いつしか斬新な販売企画で作品をヒットさせる「仕掛け番長」と呼ばれるように。現在はカルチュア・コンビニエンス・クラブのIP書店編集部部長として、企画立案から販売管理まで、IP関連事業全体を担う。書店を単調な販売空間から進化させ、漫画やアニメ・ゲーム・小説とい った日本発IPの世界観を再現するデザイン力が強み。SHIBUYA TSUTAYA6階の「IP書店」には、作品と連動して世界観を体感できる展示スペースを常設化し、ファン同士の交流やSNS拡散を促す都市型文化拠点として充実を図っている。また昨年オープンした「大阪IP書店」は、VTuberなど配信者をはじめとする人気コンテンツのグッズ約2万点が、コミックマーケットのようなブース構成で並ぶ新形態の書店として展開。日本のIPとビジネスの交差点として書店という「場」を開拓し続ける。
KAWAII LAB.総合プロデューサー
10代で読者モデルとして芸能活動を始め、アイドルグループ「むすびズム」ではリーダーを経験。グループ解散後にアソビシステム内のアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」総合プロデューサーに就任し、「CANDY TUNE」や「CUTIE STREET」などを手がけている。なかでも「FRUITS ZIPPER」は、代表曲「わたしの一番かわいいところ」がTikTok 総再生回数30億回超を記録し、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。楽曲や歌詞の選定から衣装・振り付け・MV演出・SNS展開まで一貫して手がけることで、メンバーの個性を最大限に生かしつつ、ファンに支持される世界観づくりを戦略的に成功させている。SNS時代のバズを生む企画力のみならず、自らがステージ上に立った経験を起点に、「かわいい」の多様な表現とアイドルシーンの健全な運営方法を追求する姿勢が、これからの日本のアイドル文化を更新する存在として注目されている。
今西酒造 14代目蔵主
先代である実父の急逝を受け、奈良で300年以上続く家業の蔵元を28歳で継承。飲食業や宿泊業など多方面に分散していた事業を大胆に整理し、本業である酒づくりに専念することで経営の立て直しに成功する。自社の代表ブランド「みむろ杉」には「三輪を飲む」というコンセプトを打ち出し、地元・三輪山の伏流水や契約農家の米を用いることで、日本酒の原点である産地の風土を尊重した酒づくりを体現した。一方で、伝統的な杜氏制度を採用せず、志を共にする若手蔵人たちと結成したチームで全国新酒鑑評会の金賞を重ねるなど、品質でも高評価を獲得。今年4月には、縁深い大神(おおみわ)神社の参道に宮大工の技巧を凝らした新蔵を開設し、木桶による仕込みの様子を一般公開するなど、酒づくりを間近に感じられる場を提供。地元への観光客の誘致にも貢献し、日本酒文化の継承と発信をになう存在感を示している。
Aww 代表取締役
映像プロデューサーとしてキャリアをスタートさせてから、ファッション、広告、アプリなど戦略的に活動領域を拡大。2018年にAww(アウ)を設立し、アジア初のバーチャルヒューマン「imma」を開発した。ピンクのボブヘアがトレードマークのimmaは、実在の人物と見まがうほどの自然な佇まいで人々を驚かせ、数々の有名ブランドキャンペーンに起用。今年は大阪・関西万博開会式の司会進行という大役も務め、国際的IPとして躍進している。近年は銀行や不動産など異業種の企業からもバーチャルヒューマンをサービスに導入したいという相談が増え、人との自然な会話を可能にした対話型AIエージェントもリリース。immaに続くバーチャルヒューマン「MIRAI」のプロジェクトは、トークン発行で20億円の調達に成功した。リアルとバーチャル、ビジネスとカルチャーを越境し続ける経営者だ。
ファッションデザイナー
ベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーファッション科を修了後、ブランド「YUIMA NAKAZATO」を設立。伝統的な手仕事に先端テクノロジーを融合させたコレクションで注目を集め、近年はオペラやバレエの衣装を手がけるなど舞台芸術の分野にも進出している。 国際的に活躍の幅を広げる一方、2021年に創設した「Fashion Frontier Program」では、バックグラウンドの異なる審査員との議論や作品の発表・講評を通じて若手デザイナーに学びの場を提供し、次世代の人材育成にも注力。昨年は、ケニアに集まる古着からドレスをつくり出すことで廃棄衣料問題に向き合った挑戦がドキュメンタリー映画『燃えるドレスを紡いで』として公開され、米最大の映画祭のひとつであるトライベッカ映画祭で特別賞を受賞するなど、ファッションを超えた文化的提案力をもつ逸材として認められている。
Konel・知財図鑑 代表
2011年にクリエイティブ集団「Konel」を設立。1,000人以上の脳波を買い取って絵画を生成する「脳波買取センター BWTC」や、心や体にま つわる社会課題を覆す試み「#しかたなくない」 など斬新なプロジェクトを推進してきた。並行して、研究者や企業のアイデアを可視化して新規事業への活用を促すデータベース「知財図鑑」や、下北沢駅の高架下施設「ミカン下北」の ブランディングなど、アート、デザイン、テクノロジー、ビジネスを軽やかに越境し、文化に新たな視座をもたらしている。
Simply Native 代表
経産省関連機関への勤務を経て2016年にシドニーでSimply Nativeを創業。日本全国の生活工芸品を商品化してオーストラリア市場で展開し、日豪友好の象徴でもあるカウラ日本庭園の修復には、商材として取り扱う日本瓦を提供した。昨年オープンした現地の旗艦店は流行に左右されない日本文化の体験型コミュニティとして話題に。優れたビジネスセンスで多業種へのプロデュースを展開し、行政やボランティアの協力に頼らない循環型の文化普及モデルを確立している。
BIOTOPE CEO /Chief Strategic Designer
BIOTOPE代表、多摩美術大学 特任准教授。
東京大学法学部卒業、イリノイ工科大学デザイン研究科修了。P&G社にてレノア等のヒット商品のマーケティングを担当後、ジレットのブランドマネージャーを務める。その後ソニー社クリエイティブセンターにて全社の新規事業創出プログラム立ち上げ。退社後、BIOTOPEを創業した。
エンタメ社会学者
東京大学大学院修了。Re entertainment代表取締役。
リクルート、DeNA、デロイト トーマツ コンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオ、ブシロードで、メディアミックスIP プロジェクトの推進やアニメ・ゲーム・スポーツの海外展開を担当。事業家と研究者、作家などを兼任しながら、コンテンツの海外展開をライフワークとする。
TeaRoom 代表取締役CEO
1997年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。
幼少期に茶道裏千家に入門、岩本宗涼という茶名をもつ。2018年TeaRoomを創業。静岡県の日本茶工場を承継し、第一次産業へも参入。お茶の生産から販売までを一貫して担う垂直統合モデルで、国内外で新たな需要創造を展開している。中川政七商店の社外取締役。
ゼブラアンドカンパニー 共同創業者 代表取締役
早稲田大学商学部卒。
メーカー勤務などを経て、スタートアップの事業立ち上げにかかわる。2021年、田淵良敬・陶山祐司と共にゼブラアンドカンパニーを創業。社会課題の解決と自立的経営の両立を目指す「ゼブラ」の考えに共鳴し、マーケティング、ブランディング、ストーリーテリングを用いて、企業の事業成長に伴走している。
shokolatt CEO
1992年から現代美術家コラボレーターとして東京、NYを拠点に活動。
2007年から地場産業のブランディングに着手。新潟・燕三条の「SUSgallery」や、富山・高岡の「NAGAE+」などを立ち上げ。金沢「箔一」のブランドマネージャーなどを務めながら、ものづくりを巡るラグジュアリーツアーの造成や、企業のブランドコンサルティングなどを行う。
PARADE代表取締役社長
1974年生まれ。京都大学法学部卒業後、富士通勤務を経て、2002年中川政七商店に入社。
2008年に十三代社長、2018年会長に就任。業界初の工芸をベースにしたSPA業態を確立した。2025年2月に会長を退任。現在は、企業やブランドのビジョン・思想を「ライフスタンス®」と提唱し、新しい経済のかたちを生み出している。
建築家
1975年生まれ。昭和女子大学卒業後、青木淳建築計画事務所を経て、2002年永山祐子建築設計設立。
代表作に「LOUIS VUITTON 大丸京都店」「丘のある家」「豊島横尾館」「ドバイ国際博覧会 日本館」「東急歌舞伎町タワー」など。大阪・関西万博において2つのパビリオンを担当。グッドデザイン賞審査副委員長。
福光屋 代表取締役社長
1978年、福光屋の14代目として石川県金沢市に生まれる。
2010年福光屋に入社。同年取締役に就任。22年にラグジュアリーに特化した日本酒ブランド「F1625」を立ち上げるなど精力的に事業を拡大し、25年8月代表取締役社長に就任した。NPO法人文化都市金沢構想の理事長、活躍する人たちが金沢に集まるイベント「C2 KANAZAWA」主宰。
季縁 代表取締役
京都府生まれ。
西洋陶器の絵付け技術等を指導するサロン運営の傍ら、京職人の事業をサポートした経験から、既存の着物をワンピースやドレスなどの洋服へとリメイクする「着物ドレス」の着想を得て「季縁-KIEN-」を創業。観光コーディネイトやイベントプロデュースを通じ、京都の伝統工芸・技術を国内外に発信している。
細尾 代表取締役社長
元禄元年(1688 年)より織物業を営む⻄陣織の⽼舗、細尾家に⽣まれる。大学卒業後、音楽活動、大手ジュエリーメーカーでの経験を経て、2008年に家業である細尾に入社。2010年、HOSOOは世界初となる150cm幅の西陣織織機を開発し、西陣織の技術を活用した新しいテキスタイルで世界的なラグジュアリーブランドと協業。新たな販路を拡大し続けている。一般社団法人GO ON 代表理事。
照明家、KYOTOGRAPHIE &KYOTOPHONIE 共同ディレクター
1968年、福岡県生まれ。
映画や舞台、コンサート、ファッションショー、インテリアなど、多様な分野で照明演出を手がける。写真家のルシール・レイボーズと2013年に「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」、23年に「KYOTOPHONIE ボーダレス・ミュージックフェスティバル」を立ち上げ、共同ディレクターを務めている。
ジャーナリスト
1967年、東京都生まれ。
ジャーナリスト、コンサルタントとして活躍しながら、ジェームズダイソン財団理事、グッドデザイン賞審査員などを務めた。90年ころからデジタルテクノロジーの最前線を取材・解説し、生活者主導の未来のあり方について講演やコンサルティングも手がける。著書に『iPhoneショック』(日経BP)など。
芸術・文化コンサルタント、Tokyo Gendai General Manager
東京藝術大学博士課程修了。アジア唯一のGoogle Arts & Culture Braintrust創立メンバー、米国カーネギーホール・ノータブルズジャパン創立運営委員などを歴任。
外務省「JAPAN HOUSE」事業では創設期から参画した。現在はインディペンデント・コンサルタントとして国内外のアート・文化事業に従事している。
クリプトン・フューチャー・メディア 代表取締役
1965年、北海道生まれ。1995年、クリプトン・フューチャー・メディアを設立。
サウンド素材を取り扱う“音の商社”としてデジタルコンテンツにかかわる事業を展開するなか、2007年に歌声合成ソフトウェア「初音ミク」を企画・開発。世界的な人気を獲得した。16年よりNoMaps実行委員会委員長。新規産業功績で、13年に藍綬褒章を受章。
映画編集者・監督
テキサス州ヒューストン生まれ、広島県出身。映画監督を志し16歳で単身渡米。
コロンビア大学を経て、ニューヨーク大学大学院で映画を学ぶ。ディー・リース監督作品『マッドバウンド 哀しき友情』、マイケル・マン監督作品『ブラックハット』など、多数の映画、映像作品の編集に携わる。『WE ARE X』の編集でサンダンス映画祭最優秀編集賞を受賞。
CHOCOLATE Inc. CCO/クリエイティブディレクター
1987年生まれ。
映像企画を中心に、空間演出、商品開発、統合コミュニケーション設計を担う。
JAAAクリエイターオブザイヤー最年少メダリスト。カンヌライオンズなどの国内外アワードで、60以上の賞を獲得している。劇場アニメ『KILLTUBE』製作中。米誌Ad Age「40 under 40(世界で活躍する40歳以下の40人)」にも選出。
Culturepreneur Collectives代表
編集者。1992年 生まれ。
DeNA、Forbes JAPANを経て、共創型戦略デザインファーム・BIOTOPEへ。ビジョンや理念を社内外に巡らせるナラティブデザインなどのプロジェクトを手がける。2023年、文化と経済の良循環を生み出すためのコレクティブ・一般社団法人Culturepreneur Collectivesを設立し、代表を務める。