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2025.03.31 16:00

愛知発、共創のムーブメント。地域とスタートアップが描く未来のスタートアップ・エコシステム

国内でもまれな、県内全域で取り組むスタートアップ・エコシステム形成の支援事業を行っているのが、愛知県だ。今回は、愛知県が掲げる「Aichi-Startup戦略」、愛知県の新たなエコシステム創出の現在地について、事業を行う行政、支援企業からキーマンを2名ずつ招き、双方から、スタートアップ・エコシステム形成支援事業の進捗状況と、その可能性について議論してもらった。


愛知県の主力産業といえば自動車産業。しかし現在、失われた30年を経て、EVを発端とする100年に一度の大変革期を迎えている。MaaSの進展により、クルマは所有するだけでなく、便利な移動手段として活用する側面もフィーチャーされ、既存自動車産業の構造変革が求められている。そのため愛知県は行政自ら、新たな地域の社会システムであるスタートアップ・エコシステム構築に乗り出した。

愛知県は地域企業とスタートアップ 両面からイノベーションを図る

「世界・時代をリードする産業を愛知県から興す」

2018年10月に策定された「Aichi-Startup戦略」。その旗振りの一翼を担う愛知県経済産業局革新事業創造部スタートアップ推進課長の長谷部 淳(以下、長谷部)が強調する。

「クルマは、その所有自体に価値を感じる人が多かった時代に比べ、現在は移動の一手段として捉える人が増えているように感じます。この変革の一要因に、インターネットやスマートファンの発展をはじめとしたイノベーションが存在します。今後CASE・MaaSの進展により、クルマの役割がサービス化する流れはさらに進み、その場合、クルマの必要台数は減るかもしれません。しかも、これはクルマに限った話ではありません」

そこで愛知県は、こうした時代の変化に対応するとともに、さまざまな可能性が広がる未来の先導に向けて、「Aichi-Startup戦略」を打ち出した。

「世界において、これまでの常識を超える産業を創出している地域では、スタートアップの活躍がありました。そこで、愛知県は自ら旗を振り、スタートアップを起爆剤として、愛知が圧倒的な集積を誇る既存企業とスタートアップの両面から、イノベーションを次々と創出するスタートアップ・エコシステムを形成しようと考えたのです」

その核となる施設が、24年10月に名古屋市に開設した日本最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」だ。この施設を長谷部は、イノベーション創出に向けて挑戦する、あらゆる起業家・事業家やそれを支援する関係者が一堂に集まる拠点と位置づけた。

また、このSTATION Aiでの取り組み・成果を県内全域に広げるべく、STATION Aiと県内全域とのネットワークの構築を目指す「STATION Aiパートナー拠点」構想にも注力。現在では、東三河スタートアップ推進協議会、ウェルネスバレー推進協議会、刈谷イノベーション推進プラットフォームの3拠点が、STATION Aiパートナー拠点として、地域の特色を生かしてスタートアップとの共創促進を先進的に進めている。

長谷部 淳 愛知県経済産業局革新事業創造部スタートアップ推進課長
長谷部 淳 愛知県経済産業局革新事業創造部スタートアップ推進課長

現場で連携推進を担当するのは、愛知県スタートアップ推進課の太田誠広(以下、太田)だ。

「『STATION Ai』は、スタートアップやオープンイノベーションを行う既存企業との共創を目指す自治体をはじめとした支援機関がひとつ屋根の下に入り、STATION Aiと県内各地域とを結ぶ場でもあります。一方で、支援機関の方から『共創したいが何から始めればよいか具体的なアイディアがない』というお声も耳にします。

そこで愛知県では、地域の自治体や商工会・商工会議所、金融機関等(以下、自治体等)に対し、各地域の課題解決に向けて、共に取り組むスタートアップアップをマッチングし、その取り組みを伴走支援する「AICHI CO-CREATION STARTUP PROGRAM」を開催しています。

このプログラムは初年度12団体の自治体等の参加でスタートしました。3年経った現在は、47団体に参加いただいています。地域の皆様の関心が年々高まり、オール愛知で地域とスタートアップとの共創促進を行う『あいちスタートアップ・エコシステム』の構築が着実に進んでいると感じます」

太田 誠広 愛知県スタートアップ推進課
太田 誠広 愛知県スタートアップ推進課

地域の掘り起こし、プレイヤーの巻き込みに向けた活動

この愛知県の地域を巻き込んだスタートアップ・エコシステム形成の取り組みを支援しているのが、日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」を保有し、オープンイノベーション支援・地域連携支援を展開しているeiiconだ。eiicon 執行役員/東海支社長の伊藤達彰(以下、伊藤)が当時を振り返る。

「まず地域のスタートアップの掘り起こしと地域企業の旗振り役探しから始めました。一般的に自治体事業はどうしても抽象度の高い表現になってしまうので、地域企業としては、なかなか自分たちの業務にどう関わっていくかが具体的に見えないという課題がもち上がりがちなのです。

そのなかでいかに動いてくれそうなプレイヤーを巻き込むか、セミナーやワークショップを開き、丁寧に機運を醸成することから始めました。参加いただいたスタートアップには、愛知県の他地域の人々の考え方も参照しながら、自身が参加することでどんな新しいことができるかを考えてもらいました。ただ愛知県内だけにとどまらず、リモート会員という形でスタートアップの数が圧倒的に多い東京の会社や、世界中の人にも参加していただくことのできるシステムです」

伊藤達彰 eiicon 執行役員 / 東海支社長
伊藤達彰 eiicon 執行役員 / 東海支社長

eiicon 東海支社 マネージャーの寺田圭孝(以下、寺田)は、22年時点での参加団体は10団体程度だったと振り返る。通常スタートアッププログラムは、課題に取り組みたい地域企業と応募したスタートアップの1対1の取り組みになることが多いという。ただこの形では、地域企業がスタートアップに対して重い責任感を感じてしまいがちで、ハードルの高さを生む要因になっていたと指摘する。

「1つのスタートアップに対して、4~5の地域企業が一緒に協業していくとなれば、もっと気軽に地域企業も協業ができる。とても共創の輪が広がりやすいのです。その間をつないでいくのがeiiconの役割ですね。実証実験やどのようにPDCAを回していくかといったことを含めてサポートしています」

そうした取り組みが、前述の参加者数の増加という結果につながったのだ。

寺田圭孝 eiicon 東海支社 マネージャー
寺田圭孝 eiicon 東海支社 マネージャー

あいちスタートアップ・エコシステムの現在地

スタートアップ・エコシステムへの機運の高まりは、「あいちスタートアップ・エコシステム 共創カイギ」の参加人数で可視化できたと太田は言う。

「25年1月に実施した地域のプレイヤーへの機運醸成イベントには、登壇者含め150名以上の方に参加いただき、参加者の皆様が口々に『スタートアップ連携に関心がある!プログラムに参加したい!』と言ってくださいました。これだけの人を巻き込むことができたのは、eiiconさんが中心となって取り組んだ「AICHI CO-CREATION STARTUP PROGRAM」におけるワークショップや勉強会などで県内地域に向けて継続的にスタートアップ連携について発信してきた結果だと思いました。

また、県内のスタートアップ連携に先進的なSTATION Aiパートナー拠点の取り組みも機運醸成に大きく関わっていると思います。最近では、東三河スタートアップ推進協議会、ウェルネスバレー推進協議会、刈谷イノベーション推進プラットフォームの全3拠点が合同でスタートアップ向けの相談会をSTATION Aiで開催し、地域とスタートアップとの窓口が広げられています。こういった取り組みも他地域のプレイヤーの機運の高まりに大きく影響していると思います」

エリアごとのスタートアップ・エコシステム同士が共同でイベントを開催するなど連携することで、より大きなムーブメントになり始めていることを、太田は実感している。 

『AICHI CO-CREATION STARTUP PROGRAM』を通じて東京のスタートアップと組み、ノーコードツールを使用して、現場主導でDX推進を行っている事例もある。DXを推進した企業が地域の他の企業にも情報を共有し、地域全体のDXにつながる連鎖が始まっているそうだ。

愛知県発信でグローバルに 広がる共創を目指して

こうして愛知県が発端となって、共創のムーブメントは大きく盛り上がってきた。最後に長谷部に目指す未来について聞いてみた。

「まず、県内の共創については、愛知県に自治体は54あり、まだ参画いただけていない地域もありますが、連携の動きは加速しているので、確実に広がっていくと考えています。そして、この共創の輪は、STATION Aiがもつグローバルネットワークを通して、世界につなげていきたいと考えています。世界中からこの地域に人・もの・カネ・知見・技術等が集積する流れをつくるとともに、愛知のネットワークから生まれたイノベーションを世界に展開してまいります。

愛知発で新たなサービス・プロダクトを次々と創出しつづけることにより、世界の産業構造の変革をリードしていきたいと考えています。そして、現在地球規模でさまざまな課題を抱えるなか、究極に目指すのは、こうした変革を通じて、世界の皆様の生活を豊かで幸せなものにしていくことです。ぜひ実現していきたいです」

eiicon 
https://corp.eiicon.net/


はせべ・あつし◎愛知県スタートアップ推進課課長。2019年の当課創設時からプロジェクトに携わり、STATION Aiの整備・運営等を担当。現在は課長としてスタートアップ支援施策全般を統括。

おおた・まさひろ◎愛知県スタートアップ推進課主事。地域活性化とスタートアップ支援に関心をもち、現課を希望し異動。地域との連携推進を担当。

いとう・たつあき◎大手金融会社、スタートアップ創業メンバーを経て、eiiconに参画。中小~大企業に向けての新規事業・オープンイノベーションのコンサルティング支援を実施。eiicon初のエリア事業部「東海支社」支社長。

てらだ・きよたか◎大手人材会社法人営業を経て、eiiconに参画。東海事業部所属。自治体を中心とし地域の新産業創出の取り組みの支援を実施。東海エリアのスタートアップ・エコシステムの形成に従事。

promoted by eiicon / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Masahiro Miki / edited by Akio Takashiro