キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)と公益財団法人日本サッカー協会(以下、JFA)は、長年にわたりサッカーを通じたつながりの場を提供している。そして、 サッカー日本代表オフィシャルパートナーから日本サッカー協会オフィシャルトップパートナーへと呼称を変え、「価値共創活動」を展開。どのような思いで活動を続けているのか、活動を通じて感じたサッカーの力とは。キリンの泉伸也とJFAの二瓶貴大が語る。
──「価値共創活動」とはどのような活動なのでしょうか。概要を教えてください。
二瓶貴大(以下、二瓶):サッカーを通じてつながった仲間たちが社会課題を起点に共創し、ポジティブなインパクトを生み出す取り組みを指しています。
泉伸也(以下、泉):「価値共創」をうたう活動をはじめたのは2022年12月、“家族がチームになる日”をキャッチコピーに掲げた「キリンファミリーチャレンジカップ」からですが、当社は1978年から日本のサッカーを応援し続けており、長く価値共創活動を行ってきたとも言えます。
JFAさんとのパートナーシップは、オフィスが近所だったことがきっかけでした。最初こそ社会貢献の意味合いで協賛していましたが、サッカーの普及に伴い、「勝ちTキャンペーン」といったスポーツマーケティングや次世代の育成、サッカーを楽しむ「場」の提供など活動の幅が広がっています。現在は、JFAさんとオフィシャルトップパートナーシップ契約を結び、当社としても世界のCSV(Creating Shared Value)先進企業を目指した活動として応援を続けています。

二瓶:時代とともにスポンサーシップの役割は変わっていると考えます。50年近く応援いただいているキリンさんとは、もうCSR活動の枠では収まりません。
今後も長くお付き合いしていくためには、「世の中に求められる取り組み」をパートナーさんと一緒に、継続的に取り組むことこそがお互いのメリットになると信じ、価値共創活動を始めるに至りました。
泉:東日本大震災の復興活動としてスタートした「JFA・キリンビッグスマイルフィールド」は、価値共創活動を掲げる以前の取り組みですが、これらを語るうえでも大切な活動です。

──具体的にどのようなイベントなのでしょうか。
二瓶:JFA・キリンビッグスマイルフィールドは、被災地の方々に笑顔を届けるために、岩手・宮城・福島の小学校で始めたサッカー教室です。2011年9月から6年間で693校、約10万人の子どもたちと交流を深めてきました。2017年からは、サッカー教室だけでなく、地域に寄り添った活動へと進化しています。
泉:現在は、主に能登半島地震の被災地で活動しており、これまでに能登町、輪島市、珠洲市などで開催しました。2024年7月に行った際には、サッカー日本代表の森保一監督がサプライズで登場するなど、サッカーの力で笑顔を届ける活動を続けています。
世代を超えて笑顔が連鎖するウォーキングフットボール
──サッカーはボールとゴールさえあれば手軽にできそうなイメージがある一方、プレイすることのハードルは高そうに思えます。幅広い方に参加してもらうために、どのような工夫をされているのでしょうか。
二瓶:誰もが参加できるよう、歩いて5人制サッカーを行う「ウォーキングフットボール」を実施しています。高い運動量を求めないことで世代関係なく楽しめるので、小さなお子さまからご高齢の方まで3世代で参加いただくことも多いです。JFA・キリンビッグスマイルフィールドでは、仮設住宅や避難所近くでも行い、サッカー経験の有無に関わらず、皆さん気軽にご参加いただいています。

泉:2024年6月に輪島市立門前東小学校のグラウンドで実施した際、60代くらいの女性から「初めてボールを蹴ったのだけど、すごく楽しかった。ありがとう!」と明るく声をかけてもらいました。わざわざ避難所である学校の廊下の窓をあけて話しかけてくれて。なんだかすごくうれしかったんですよね。
年齢も立場も違う人たちが、どんどん笑顔になっていく。サッカーの力を確かに感じ、私たちが理想とする 社会・JFA・企業の“三方良し”が実現していると思える瞬間です。笑顔が連鎖していく様子を目の当たりにできるのは、やりがいでもあり誇りですね。
ほかにも、サッカーを通じて普段なら交流できない子どもたちをつなぐ「キリンフレンドチャレンジカップ」も実施しています。利島村立利島小学校と東京農業大学稲花小学校に参加いただいた第一回では、東京都でありながら離島にある利島小学校のグラウンドで開催予定だったのですが……。

二瓶:実は当日、天候の影響で稲花小学校の皆さんが利島に行けなくなってしまいました。オンラインでの交流となりましたが、「今度は一緒にサッカーしたい」「プライベートで遊びに行きたい」と感想をもらえて、子どもたちにとってもいい思い出が残せた日だったと思います。

サッカーの力で社会課題を解決し笑顔を広げたい
──価値共創活動を続けていく、広げていくために大切にしていることを教えてください。
二瓶:例えば、参加人数を伸ばそうと目先の数字だけを追おうとすると、「有名な選手に参加してもらう」「大きな会場で行う」など手段ばかりにフォーカスを当てがちなのですが、大切なのは「何のためにやっているのか?」を第一に考え、軸がぶれないようにすることです。
社会課題を解決していきながら、キリンさんにおいては企業ブランド価値の向上、JFAにおいてはサッカーを通じて豊かなスポーツを文化を創造し、日本中を笑顔にすることが軸です。
泉:まさにその通りですね。当社が目指すのも、JFAさんと同じく「日本中を笑顔にすること」。その結果として、私たちの企業ブランド価値が向上していくと考えています。
──価値共創活動は今後どのように発展していくでしょうか。展望をお聞かせください。
泉: サッカーを通じた活動は、世界のCSV先進企業を目指すための重要な鍵。今後もJFAさんと共に、サッカーを通じた価値共創活動を続けていきたいですね。サッカーの力を50年近く信じ続けてきた私たちだからこそ、人と人をつなげ日本中がもっと元気に、もっと笑顔になるための活動を目指していきます。
二瓶:価値共創活動は、JFAの理念である「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する」をまさに体現する活動だと思っています。日本代表が勝利を重ね夢や希望を届けることも大切ですが、なにせ勝負の結果は常に変動するものです。勝敗に左右されない持続的な成果を残せる活動として、日本中を笑顔に、そしてスポーツを楽しめる社会を築いていきたいです。
JFA │日本サッカー協会
https://www.jfa.jp/partnership/