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2024.12.03 16:00

マイナスからのスタート。建設コンサルタントの枠を超え、事業領域を拡大し続けたNiX JAPANの挑戦の軌跡

富山県富山市に拠点を構えるNiX JAPANは、近年、急激な成長を遂げてきた。創業当時から続く建設コンサルタント事業に加え、エネルギーソリューションや海外インフラ事業など、次々と事業領域を拡大し、総合インフラサービス企業へと変貌した。その背景には、代表取締役社長を務める市森友明のあくなき挑戦があった。


主に公共インフラを対象に、設計や事前調査、計画立案など総合的なプロデュースを行う建設コンサルタント。NiX JAPANも、この建設コンサルタント事業を核事業としている。

NiX JAPANが本社を構えるのは、富山駅から歩いて10分ほどの場所。富山駅の北口を降りると広いロータリーがあり、その先はゆったりと歩道が続くブールバールとなっている。さまざまなイベントが行えるほど広い歩道には、至る所にベンチが設置され、橋の上に置かれたベンチに座ると、遠く立山連峰を望むこともできる。単なる駅へと続く道ではなく、市民が集い、くつろげることを意識した空間。それをデザインしたのが、NiX JAPANである。さらに、ブールバール近くには、美しい景観を備えた「富岩運河環水公園」があり、その園内にあるスターバックスは、「世界一美しいスタバ」と称されるほど。そして、この公園をデザインしたのも、何を隠そうNiX JAPANなのである。

企業を成長させるために。M&Aがもたらした功績

利便性だけにとどまらない、質の高い公共空間の創出に長けているNiX JAPANだが、その事業内容は多岐にわたっている。建設コンサルタントを核事業としながら、エネルギーソリューション、インフラDX、海外インフラ事業へと事業領域を拡大してきた。そして、現在、国内15社、海外7社からなるNiXグループを束ねている。

「NiX JAPANは、建設コンサルタントの会社として始まりました。基本的に建設コンサルタントはサービス業で、国や県などから公共事業を受けるため安定はしているものの大きな成長は見込めません。そこで、我々は、建設コンサルタントだけでなく、エネルギー事業へと領域を拡大したのです。労働集約型としての建設コンサルタント事業、そして、資本集約型としてのエネルギー事業、その両輪を携えていることが、当グループの強みであり、成長の鍵だと考えています」

代表取締役を務める市森友明がこう語るように、近年、NiX JAPANは大きな成長を遂げてきた。市森が社長に就任した2006年から売上高は19倍に拡大し、直近10年の年平均成長率は19.5%という躍進ぶりだ。そして、この成長の背景には、もう一つ重要な戦略があった。それがM&Aである。

NiX JAPANは、積極的にM&Aを活用し、事業を拡大してきた。ただ、特筆すべき点は、M&Aをしたのち、買収したほとんどの企業で、以前よりも業績を伸ばしていることだ。中には、M&A前後で売上高が3倍になったところもあるという。

「M&Aを行うときに大事なのは、“伸びしろ”のある企業を選ぶことです。たとえ業績が悪くても、今後成長できるポテンシャルを秘めているかどうか。そこを見極めなければなりません。私たちが初めてM&Aを実施した企業は同業者でした。だから、相手の状態がよくわかり、どうすれば業績を伸ばすことができるかということまで見えたのです。そうして経験を積むことで、M&Aに関するノウハウを身につけていきました」

M&Aを行うことで自社の事業を拡大し、相手企業の業績も回復させる。それを繰り返し行なってきたから、NiX JAPANは飛躍的な成長を遂げることができた。さらに市森は、M&Aにはもう一つ大きなメリットがあると語る。

「M&Aによって、相手企業が持つ知見を得ることができる。同じ業種でも、地域が違えば、異なる知識を有しています。さらに、業種が違えば、今まで認知の外にあった知見まで得ることができる。企業が成長するためには知見の領域を広げることが大切ですが、目の前の仕事をこなさなければならないので、なかなかそこに時間を費やすことはできません。けれど、M&Aを行えば、一気にその領域が広がり、より多面的な考え方ができるようになるのです」

市森は、M&Aによって相手企業の全てを吸収するのではなく、お互いに刺激し合い、共に進化することを常に望んでいる。単に事業を拡大させるだけでなく、そこから得られる知見を有効に活用することで、さらなる成長が望めるのだろう。


請負業からの脱却。リスクを背負ってでも挑戦する覚悟

今でこそ業績が好調なNiX JAPANだが、市森が父親から会社を継いだ頃は、明日をも見えない状況だったという。売上4.5億円に対し、有利子負債が6.5億という実質債務超過の状態で、ゼロどころかマイナスからのスタートだった。

「私が父の会社に入ったのは、実は、大学を卒業して11年勤めた企業が会社更生法の適用となったためでした。そしてこの会社でもまた同じ目に遭うのかと、当時は自分の運命を恨んでいましたね」

前職の会社で社長になることを目指していた市森は、傾きかけている会社を自分が立て直すという意識で働いていた。実際、上司からも期待され、周囲からの評価も高かったという。けれど、志なかばで会社が潰れてしまった。だが、このときに自分がやりたいと考えていたことや経験が、今の会社で社長に就任したときに非常に生きたという。

まず市森が取り組んだのは、優秀な人材の確保だった。労働集約型の仕事である建設コンサルタントでは、人に仕事がついてくる。そこで優秀な人材のヘッドハンティングを全国で展開し、その人材と共に事業エリアを富山から全国へと広げていった。そして、次に着手したのが、発電事業だった。

「もともと私たちは発電事業の建設コンサルタントを多く請け負っていました。クライアントから依頼され、発電所の設計から、きちんと収益を上げるビジネスモデルの構築までを手がけていた。そのノウハウがあるなら、自分たちで事業化すればいいのでは、と考えたのです」

請負業からの脱却。確かに、発電事業のノウハウを持っているのなら実現できるのかもしれない。しかし、その挑戦には、当然資金や運営の面でのリスクが伴う。実際、社内でも保守的な考えを持つ人からは、発電事業への挑戦は難しいという意見もあったらしい。それでも市森は、周囲の人たちを説得し、その挑戦を敢行した。

NiX JAPANという社名は、2023年に新日本コンサルタントから変更した名前だ。そして、そのとき、自社のPURPOSE & VALUES を設定し、そのVALUESに「挑戦、開発、投資し続ける」という言葉を据えた。今、会社全体にこの価値観が浸透しているのは、間違いなく、発電事業の成功があったからだと市森は語る。

「新しいことに挑戦するとき、必ず『やったことがないからできない』と言う人はいます。しかし、それでは現状を変えることなど絶対にできないし、成長も望めない。失敗するかもしれないというリスクを背負いながらも挑戦を続ける。それが、我が社のDNAであり、だからこそ、今も会社が変わり続けているのです」

リスクを伴う挑戦。しかし、何も無謀な挑戦ばかりを繰り返しているわけでは決してない。なぜなら、彼らは、リスクを低減できる術を有しているからだ。

「私たちが行なっているのは、いわゆる『技術ドリブン』。そもそもこの会社は技術力でクライアントの事業が成功することのエビデンスを作ってきた会社です。その技術を軸に挑戦するわけですから、ある程度のリスクは低減できるはずなんです」

たとえば、発電事業の場合、すでに収益を上げるビジネルモデルを構築していた。その技術があったからこそ、挑戦を成功に導くことができた。そして、さらなる挑戦に関しても、これまで培ってきた技術をベースにするものである限り、決して無謀な挑戦になどなり得ないだろう。

富山から世界へ。培ってきた技術ベースに立ち上がった新たな夢

22年、市森は京都大学経営管理大学院で経営科学の博士号を取得した。建設コンサルタント企業の経営をするにあたって、もっと経営科学的な知見が必要だと感じたからだった。経営科学とは、未来を予測する学問ではなく、過去の事象を多面的に分析し、その原因を探るというもの。そして、そこで学んだことが、事業を進める上でも役立っているという。まず、自らの経営判断を科学的に説明できるため、社内や社外の人に対して説得力が増した。さらに、NiX JAPANが行なっている「スポーツを核としたまちづくり」への取り組みにも、自らの研究で深めた知見を活用している。

23年には「スポーツを核としたまちづくり」の事業として、本社前に「NiX Urban Skate Park」を建設した。スポーツという枠を超え、カルチャーをも生み出すスケートボードの力に着目し、まちなかにスケートボードパークをつくることでまちの活性化を図ることが狙いだ。また、市森が個人的に進めているプロジェクトもある。それは、駅の近くにサッカー専用スタジアムをつくること。以前、ロンドンを訪れたとき、サッカーのプレミアリーグの熱狂に触れる機会があった。まちなかにあるスタジアムには多くの人が集まり、大きな賑わいを見せていた。しかも、スタジアムに集まる人たちは、みんな公共交通機関を利用している。スタジアム周辺の店なども含め、かなりの経済効果があると感じた。そして何よりも地元のチームを応援するファンたちが、自分たちのまちを愛していると感じることができた。

「NiX Urban Skate Park」富山駅から徒歩10分ほどの立地で、富山市の公共施設に敷地内につくられた。週末になると子どもから大人まで多くの人でにぎわう。「NiX Urban Skate Park」富山駅から徒歩10分ほどの立地で、富山市の公共施設に敷地内につくられた。週末になると子どもから大人まで多くの人でにぎわう。

「私が駅の近くにスタジアムを作りたいと思っているのは、ロンドンで見た光景を富山で実現したいから。実は、地域プロスポーツを応援する人は、地域志向的モチベーションが高いという研究結果があります。つまり、まちを良くしたいという思いが強い。だからこそ、経済的にも、感情面でも、駅の近くにスタジアムを作ることが有効なのです」

市森の夢が実現するのは、遠い未来のことかもしれない。それでも、彼には建設コンサルタントとしての技術と実績がある。

「NiX JAPANは、地方都市の一企業で、規模もそれほど大きなものではありません。それでも、地方都市だからこそできることがたくさんあり、実際、駅前のブールバールなどは、大都市だったら手がけるのは難しかったかもしれません。そして私たちには、世界に誇れる技術がある。だからこれからも『挑戦、開発、投資し続ける』という言葉を心に抱きながら、あくまでも技術ドリブンであり続けること。それを実直に推し進めることで、富山発のインターナショナルインフラサービスカンパニーを目指したいと思っています」

地元である富山にしっかりと根差しながら、視線の先には遠く海外まで見据えている。これまでに培った技術と、M&Aや経営科学の研究を通して広めた知見をもとに、マイナスからスタートした市森の挑戦はまだまだ続く。


いちもり・ともあき◎NiXグループ代表、NiX JAPAN株式会社代表取締役社長。大手ゼネコン勤務を経て、2003年に新日本コンサルタント(現NiX JAPAN)に入社。2006年7月から代表取締役社長を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、および、インドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業、投資事業を行なっている。

NiX JAPAN
本社/富山県富山市奥田新町1番23号
URL/https://nix-japan.co.jp
従業員/284人(2024年7月現在)(グループ企業従業員数合計640名)


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Promoted by EY Japan | text by Kazuyuki Maeda (AGITO) | photographs by Kizuku Yoshida | edited by Masako Kihara