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2024.07.08 16:00

日本企業のイノベーションを加速する 「CVC4.0」による成長戦略

近年、日本企業のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活用によるオープンイノベーションが活発化している。そのなかで着実に成果につなげているのがペガサス・テック・ベンチャーズだ。同社が提唱する「CVC4.0」について聞いた。


テクノロジーが日進月歩で進化するなか、自社のリソースだけでイノベーションを起こすことに限界を感じている企業は多い。そのソリューションとして、近年、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)の活用が増えている。

「これまで日本企業の投資は、必ずしも効率的ではありませんでした。しかし、CVCの活用によって変わりつつあります」

そう指摘するのは、ペガサス・テック・ベンチャーズの創業者兼CEOのアニス・ウッザマン(上写真。以下、ウッザマン)だ。同社は、IBM出身のウッザマンが2012年にシリコンバレーで創業した大企業と世界のスタートアップとをつなぐベンチャーキャピタル(VC)だ。そして、彼が第二の拠点に選んだのは日本だった。

「文科省からの奨学金で東京工業大学を卒業した私にとって、日本は特別な国。恩返しをしたかったのです」

大企業とスタートアップをつなぐ「CVC4.0」

その“恩返し”を遂行するためにウッザマンが提唱しているのが「CVC4.0」だ。

「CVC1.0では、VCが集めてきた投資先に複数の事業会社が出資していました。金銭的リターンが目的だったため、自分たちの専門分野への投資ができませんでした。次の2.0では、事業会社が自社の子会社としてファンドを組成しました。自由に自社の投資領域に投資できるようにはなりました が、事業会社の担当者のネットワークには限りがあり、良い投資先に巡り合えませんでした。そこで、3.0では外部から専門家を入れ、それなりに良質なネットワークにつながるようになりました。しかし、子会社の形態は変えず、事業会社の看板を背負っていたため、その会社の色が強すぎてスタートアップの警戒感は拭えませんでした。その課題を解決するのが4.0なのです」

CVC4.0では、事業会社とペガサスの両者でファンドを組成し、事業会社が求める戦略的利益の実現を目的にペガサスがファンドを運用する。事業会社の色が薄まるので、投資先の警戒感が弱まる。両者でジョイントベンチャーを設立したり、新しいビジネスを立ち上げたり、あるいは事業会社がスタートアップを買収したりと、イグジットはさまざまだ。そのスキームは、ウッザマンのIBM時代の実績に基づき確立された。

「当時は協業できるスタートアップを探す際にIBMという名前を出しただけで、真似されるだけなのではないかと警戒されていました。どうすれば信頼してもらえるかを考え、外部のVCに声をかけたところ、IBMとスタートアップとの間に入ってくれ、信頼関係を築くことができたのです」

ファンドを組成する際、ペガサスは顧客となる事業会社に投資先の要件を徹底的にヒアリングし、ディール(取引先)を発掘する。そして、膨大な材料を収集し、デューデリジェンスを経て条件交渉へと移る。ペガサスの真価はここで発揮される。

「当社は、世界14の国・地域で125人のグローバルな知識や経験が豊富なスタッフが情報収集にあたっています。さらには投資先をモニタリングしてイグジットまで導く。私たちがハンズオンで大企業にはない知識と経験を穴埋めしていくのです」

ペガサスでは、日本企業のナレッジ不足を解消するために、「ペガサス大学」という人材育成を目的とした研修プログラムも提供している。1週間から3年間までのプログラムで、企業の社員が受講できる。

「私もエンジニアだったので理解できるのですが、日本企業のエンジニアは自前主義に偏る傾向があります。そうした方々に心を開いてもらい、スタートアップとの付き合い方を学んでいただくのが目的です」

日本だけでなくシリコンバレーでも実践的なプログラムが受講可能で、日本企業に非常に好評だとウッザマンは胸を張る。

「例えばスタートアップにインタビューする際は、自分たちが何を求めているかを把握しておくことが重要です。プログラムで教えているチェックシート通りにインタビューするだけで、デューデリジェンスのすべての項目を埋めることができます。また、PoC(概念実証)の契約書の形式は国によって異なり、それを知らないと競合に成果を奪われるリスクもあります。ペガサス大学では、そうした注意事項も教えています」

アイシンは協業により製造コスト削減に成功

ペガサスのこれまでの運用総資産額は3,000億円以上にのぼる。200社以上の大企業とスタートアップをマッチングしてきた。アイシンもそのなかの1社だ。

同社とペガサスは、18年に約75億円を投じてファンドを設立した。アイシンは3年半で3,500社以上の情報を閲覧し、提携件数は50件以上、投資件数は15件を超える。なかでも大きな成果と言えるのが、カナダのElementAIとの共同開発だ。

「以前、アイシンの工場では画像測定器で不良品を検出していましたが、なぜ亀裂が入るのかなど原因を特定することができませんでした。そこでElementAIのシステムを製造ラインに導入したところ、原因が解明され、歩留まりが改善し、製造全体のコスト削減効果につながったそうです」

アイシンは、ペガサスのシリコンバレーオフィスに米国駐在員を派遣している。日々、さまざまな分野のスタートアップと交流することで、今では本業に限らず、エネルギー、保険、ヘルスケアなど、さまざまな分野にイノベーションが広がっている。

システムインテグレーターのCAC Holdingsも大きな成果を上げてきた。同社は、15年にペガサスとファンドを設立。16年に感情認識AIの米MIT発Affectiva社に約1億5,000万円を出資し、日本国内での代理販売権を獲得した。

「18年の米朝首脳会談の際にトランプ大統領(当時)の感情を分析したり、ゲーミフィケーションに活用したりと、用途はさまざまに広がっています。CAC Holdingsは中国での販売権も獲得し、今ではさらなるビジネスにつながっています」

ペガサスは多様な産業分野で多くの企業との同モデルでの1対1のプライベートファンドを運用する。自動車分野ではアイシン、日本特殊陶業、化学・材料分野ではデンカ、太陽ホールディングス、健康・ライフサイエンス分野では帝人、サニーヘルス、小売分野ではジャパネット、神戸物産、総合総社では双日、ゲーム分野ではセガサミーホールディングス、IT・AI分野でASUS、CAC Holdings、イノテックなどがある。

さらに大企業とスタートアップをつなぐだけでなく、スタートアップ支援のためのエコシステムも構築している。そのハブとなるのが、同社主催のグローバルピッチイベント「スタートアップワールドカップ」だ。75以上の国・地域で予選が行われる世界最大級のイベントで、決勝戦には著名な起業家や投資家が集まる。そしてウッザマンが強く願うのは、日本経済の復活だ。

「日本企業の復活に必要なのは世界で活躍するスタートアップとのパートナーシップ・協業・M&Aです。日米の文化を深く理解し、グローバルで大きく展開するペガサスのような企業を架け橋にして、日本企業が有望なスタートアップとのパートナーシップ・M&Aを強化するべきです」

ペガサス・テック・ベンチャーズ
https://ja.pegasustechventures.com


「スタートアップワールドカップ2024」が開催

優勝賞金100万米ドルを目指し、75以上の国・地域の起業家がアイデアを競い合う。日本からは過去に、マネーフォワードやSkyDriveなどが参加。今 年の日本予選は5月21日に京都で開催されたほか、東京では7月19日にグランドハイアット東京で、九州では8月27日に熊本城ホールで行われる。
https://www.startupworldcup.io/tokyo-regional

アニス・ウッザマン◎ペガサス・テック・ベンチャーズ創業者 兼 CEO。スタートアップワールドカップ創業者 兼 会長。東京工業大学工学部卒業。米IBMなどを経て、米国シリコンバレーを拠点に世界14の国と地域に展開するペガサス社を設立。運用総資産額約3,500億円、投資先企業数260社(2024年5月現在)の実績をもつ。

Promoted by ペガサス・テック・ベンチャーズ / text by Fumihiko Ohashi / photograph by Masahiro Miki / edited by Akio Takashiro