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2024.02.26

進化するフットボールビジネスの現在地 サッカー元日本代表と語った日本の勝ち筋とは?

2023年12月5日に開催された「Forbes JAPAN Special Gala Dinner 2023」にて、サッカービジネスについてのトークセッションが行われた。ACAフットボール・パートナーズ(ACAFP)CEOの小野寛幸とサッカー元日本代表でAuB(オーブ)代表の鈴木啓太のセッションの模様をお伝えする。


「スポーツの潜在価値を引き出し、解放させる」をミッションに、2021年に設立されたACAフットボール・パートナーズ(ACAFP)は、シンガポールを拠点にアジア発の「マルチクラブ・オーナーシップ(MCO)」を掲げている。ひとつのオーナーあるいは資本が国籍の異なる複数クラブを保有する運営形態をとるMCOは、一般的なクラブ経営と何が違うのか──。

Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春の問いに、ACAFPのCEO小野寛幸(以下、小野)は「クラブを運営するという観点においては、おそらく違いはない」としつつも、選手の育成に対する考え方の違いを説明してくれた。

エコシステム構築が世界の潮流

「近年、SNSの普及とともにファンベースが見えるようになり、放映権の取引が活発化し、選手の移籍金が高騰しました。そうしたなかで選手がステップアップしていくためのエコシステムの構築を、私たちは目指しています。

例えば日本代表の南野拓実選手はオーストリアのチームに移籍し、それから5年後、直接対戦した際に強烈なインパクトを残し、イングランド・プレミアリーグのリヴァプールに移籍を果たしました。いきなり世界トップリーグを目指さなくても、各国リーグのチームで経験を積んで結果を残してステップアップしていける好例です。各国リーグのチームを系列化し、エコシステムを自分たちで構築することで、選手の移籍をビジネス面からサポートすることができるのではと考えました」

ACAFPは、ベルギー2部リーグのKMSKデインズ、スペイン5部リーグのトレモリーノスCF、イングランド・EFL リーグ 1(3部リーグ相当)のチャールトン・アスレティックに資本参加している。下部リーグのチームをターゲットとしているのは、エコシステムを構築しやすいからだ。

「ベルギーリーグは五大リーグに次ぐ規模にもかかわらず、EU外選手の規制が緩く、参入障壁が低い。若手選手の登竜門として活気のあるリーグなので、中核クラブとして最適だと判断しました。トレモリーノスは、カテゴリーを下げたクラブをあえてグループに取り込むことで、日本だけにとどまらず、アジアの若手選手にも出場機会を創出することを目的としています。チャールトンに関しては、前述の2クラブの選手たちがさらに上を目指す目的地として、そして移籍ビジネスの場としても考えています」

エコシステムをアジアにも広げるべく、ACAFPはアルビレックス新潟シンガポールやベトナム最大級のアカデミーPVFとも提携している。こうした一連の取り組みをAuB(オーブ)代表取締役CEOの鈴木啓太(以下、鈴木)は、日本のJリーグにはない、画期的な取り組みだと絶賛する。

「世界ナンバーワンのクラブといわれる、プレミアリーグのマンチェスター・シティを運営するシティ・フットボール・グループが同様のシステムをとっています。こうした仕組みが世界のフットボールビジネスの潮流になっていくなか、日本人がオーナーとしてそれに取り組んでいる。日本ではなかなかビジネスになりにくいという考え方が根強いので、ものすごく期待しています」
AuB 代表取締役 CEOの鈴木啓太

AuB 代表取締役 CEOの鈴木啓太

鈴木は、現役引退後に起業し、アスリートの腸内細菌の研究に取り組んでいる。体のコンディションを整えるアスリートの優れた腸内細菌を研究し、その成果を一般の人に還元していくのが鈴木の狙いだ。

「私が所属していた浦和レッドダイヤモンズは、08年ごろは、ホームゲームの観客数が1試合平均4万5,000人を超えていましたが、その5年後には、成績が悪くなかったにもかかわらず、3万7,000人ほどまで減りました。何が原因だろうとサポーターの方に話を聞くと、仕事などの疲れがあって、毎週末試合を見に行くのがつらいという声がありました。それ以来、いつまでも健康でスタジアムに通ってもらうことが大事だと考えるようになりました。エンターテインメントの価値だけだったアスリートを、ヘルスケアや教育にまで広げられるのではないかと思うようになったのです」

スポーツを起点に新たなビジネスを創出していく。ふたりのアントレプレナーシップが共鳴する理由はここにあるようだ。

きっかけづくりでスポーツの未来を創造

続いて話題は、日本と海外のフットボールビジネスの違いへと移った。プレイヤーあるいは事業者としてそれをどう考えるかと藤吉が問うと、鈴木は、日本ではフットボール以外の部分がまだまだ足りていないと答えた。

「エンターテインメントの価値にサイズの違いがあります。プレミアリーグやラ・リーガでも地域に根ざしているのは一緒です。しかし、こうしたリーグには選手の活躍以外の側面にものすごく大きなお金の価値があり、まだまだ日本のスポーツビジネスは及びません」

選手の活躍以外の側面とは、すなわち日本のスポーツビジネスに足りていないも
のだ。小野はそれを「ブランド価値だ」と指摘する。

「スポーツクラブを運営していくうえで最も大切なのはブランド価値を上げることです。ファンベースを広げ、価値を引き出すことが重要なのです」
ACAフットボール・パートナーズ CEOの小野寛幸

ACAフットボール・パートナーズ CEOの小野寛幸

ACAFPは欧州の複数クラブの経営に参画することで、まさにブランド価値の向
上に努めている。それは早くも成果として表れていると、小野は胸を張る。「デインズもトレモリーノスも、23年12月時点で昇格を目指せる順位に位置しています。地元のコミュニティとの連携を意識した結果、スタジアムへの来場者が増加するなど、街のハブとしての機能強化にも貢献し始めています。また、ACAFPがさまざまな国でプロジェクトを展開することにより、各クラブの認知度もグローバルレベルで上がっています。それぞれのスタッフがその国にとどまらず、各地に活躍の場を創出することは、グループ全体での人材活用の文脈としても意義があります」

ブランド価値が向上することで、エコシステムの結びつきはより強固なものとなる。
小野は、それを推進するための新たな展望を描いている。

「『ACAFP LAB』という新しいプロジェクトを今春のローンチに向けて企画しています。変わり続けるフットボール界の最新のトレンドやノウハウを蓄積し、スポーツや健康にかかわる事業を行うクラブや個人の意思決定に必要な科学、技術、ビジネスなどの情報を、動画やカンファレンスを通して多角的に提供するプラットフォームを展開していきます」

フットボールビジネスにおいても、情報には大きな価値があるということだ。最後に藤吉がふたりに来場者へのメッセージを求めると、鈴木は、スポーツがさまざまな分野に波及する可能性を訴えた。

「スポーツはなかなかお金になりにくいと思われがちですが、スポーツはボウリングのセンターピンとして倒すことによっていろいろな分野に広がり、皆さんのコミュニティのハブになります。ぜひスポーツやサッカーを応援していただきたいです」

小野は、業界の発展に貢献していくことを誓った。

「フットボールは熱狂の渦の中心にありますが、これをそれだけで終わらせてはならないと思っています。当社は、意思ある方々が世界のスポーツ業界で活躍できるチャンスをつかむきっかけを提供します。フットボールを通じたきっかけづくりが、スポーツの未来創造や人材のエコシステムの構築につながっていくと信じています」


ACAフットボール・パートナーズ
https://acafp.com


おの・ひろゆき◎慶應義塾大学卒業後、大和証券エスエムビーシー(現:大和証券)入社、M&Aや資本調達アドバイザリー業務に従事。米系投資銀行を経て2011年、ACA入社。13年、アジア投資本格化の際にACA Investmentsへ転籍し、21年にACAFPを設立。

すずき・けいた◎2000年に浦和レッドダイヤモンズに加入。Jリーグではベストイレブンに2度輝くなど、15年浦和レッズ一筋でプレイ。15年、AuBを設立。アスリートの腸内細菌の研究成果より、フードテック事業、コンディショニングサポート事業などを展開する。

Promoted by ACAフットボール・パートナーズ | text by Fumihiko Ohashi | photographs by Shunichi Oda | edited by Akio Takashiro

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