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2024.01.30

「2025年までに女性管理職比率を50%に」日本コカ・コーラ社長がDEI推進にこだわる理由とは

グローバル目標として2030年までに女性管理職比率50%達成を掲げている、コカ・コーラ。その中でも日本コカ・コーラはその目標を5年前倒しし、25年までの実現を目指している。実現に向けて社の動きをけん引しているのが、ホルヘ・ガルドゥニョ代表取締役社長だ。なぜ彼は、DEI、特にジェンダー平等を優先事項として掲げているのか。Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香が、その理由に迫った。

多様な人材登用は、コカ・コーラの文化の中で醸成されてきた

谷本有香(以下、谷本):コカ・コーラでは、なぜDEIに注力しているのでしょうか。コカ・コーラにおけるDEIの歴史とグローバルでの進捗状況を教えてください。

ホルヘ・ガルドゥニョ代表取締役社長(以下、ホルヘ):コカ・コーラのDEIの取り組みは、100年近くまで遡ります。大企業で初めて取締役に女性を任命したのは1934年。また、1960年には、雇用差別禁止法に対する賛同を公に表明した企業の一つでもあります。DEIは、私たちの価値観の根幹を支えており、事業戦略に埋め込まれているものなのです。

コカ・コーラは世界200カ国以上でビジネスを展開しており、世界中の人へ、様々な飲料製品を、手ごろな価格で提供してきました。文化的、政治的、宗教的にも多様な人々が、日々私たちの製品を手に取ってくれています。私たちはこの事業に大きな誇りを持つと同時に、責任も担っています。日々向き合っている多様な市場とお客様に対応するためには、私たち自身も多様でなければならないというのが、基本的なスタンスです。

谷本:1934年の時点での女性の取締役登用は、まさにパイオニアですね。そうした文化はどのように生まれたのでしょうか。

ホルヘ:グローバル企業として、多様な人材の登用は自然なことです。バックグラウンドにかかわらずベストな人材を登用し、違いを尊重する必要があります。

コカ・コーラのグローバルの状況を見てみると、国籍もジェンダーも様々です。例えばグローバルの経営陣40名のうち、現在19人が女性です。また私たちは世界を9つの地域に分けてオペレーティングユニット(OU)としてビジネスを運営していますが、9つあるOUのリーダーのうち実に4人が女性です。本社があるのはアメリカ合衆国(ジョージア州アトランタ)ですが、いわゆる北米出身者は1人だけで、私も含めた他の8名はヨーロッパ、中東、南米、アジア出身で、様々なバックグラウンドを有しています。まさに多様な社会を反映した人材を登用しているといえるでしょう。

谷本:ホルヘさんは、常々、DEIにおける日本の課題として、目標は掲げているもののまだまだアクションに移せていないとおっしゃっていました。DEIの実現のためには、どのような変化が必要だとお考えですか。

ホルヘ:DEIにおいては、企業や団体が様々な目標を立てたり、発表をしたりしていますが、本当に大切なのはそれらの目標を達成するためのアクションに落とし込むことです。ジェンダーキャップ指数が示すように、日本のランキングは、125位です。今、変化を起こしていかなければならないのは明らかです。目標を発表・宣言することも重要ですが、実行するための中身が伴っていなければあまり意味はありません。

日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ代表取締役社長

日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ代表取締役社長

当社では例えば管理職に登用する際、即戦力の人材だけではなく、その一歩手前の人材も視野に入れて検討します。成長が見込まれる可能性のある有望な人材を探し、育成プランを立てることで、例えば本来ならば準備期間に2〜3年を要するところを、1年に短縮できるように支援しています。昇進させる際も、すぐに全責任を持たせるのではなく、責任の範囲を徐々に広げ、安心してステップアップできるよう配慮するケースもあります。

男性と比べ、即戦力としてすぐに準備ができている女性は少ないのが現状です。だからこそ、経験を積みながら準備できるシステムを作ることが大切なのです。

女性リーダー比率は3年で倍増に

谷本:さまざまな取り組みの結果として、DEIがどれほど進展しているのか。具体的な数字を教えていただけますか。

ホルヘ:私が代表を務めている日本・韓国のOUでは、全従業員に占める女性の割合は現在、50%を超えています。女性の管理職に絞ると、3年前は20%以下だったところが、2023年には約40%にまで高まっています。今年は94%の社員が育児休暇・休業を取得していますが、これは女性活躍を支える男性社員の意識改革を推進した結果と言えるでしょう。

また経営陣の多様性という観点でも大きく進展しています。3年前は副社長以上の経営幹部の現地採用者は数名でしたが、現在では半数が日本または韓国で採用された人材です。

2021年には同性パートナーにも配慮した就業規則の改定を行うとともに、2022年には多様な人材が活躍できる職場環境の実現のため「LGBTQ+アライのためのハンドブック」を制作し、社内だけでなく社外にも無償で公開しました。現在までにダウンロード数は1,500を超え、パナソニックグループ様をはじめとした日本の企業や、自治体、教育機関などでもご活用いただいています。こうした取り組みが評価され、LGBTQ+の理解促進や権利保護を推進した企業を評価する「PRIDE指標2023」においてレインボー認定を受けることができました。

谷本:3年での変化の大きさに改めて驚きます。

ホルヘ:サスティナビリティーやDEIの領域では、1社だけが勝者になることはあり得ません。あらゆる企業がともに推進し、ともに成功することが重要です。私たちは大手企業として責任を持ち、自ら社会にインスピレーションを与えることによって、ほかの企業が追随してくれるような存在にならなくてはいけません。そのためには他社からも学び、アイデアを持ち寄ることが大切だと思っています。

谷本:それだけ早いDEI浸透の中、社内の雰囲気や、女性のリーダーのみなさんの変化にはどのようなものが見られましたか。また、ビジネスへの影響についてもお聞かせください。

ホルヘ:事業の幅広い領域で女性メンバーが企画立案の段階から参加し、意思決定にかかわっていることはとても大きな変化です。間接部門だけでなく、事業の根幹を成すマーケティングや技術、コマーシャル部門にも女性が多く所属していますし、リーダーとしても活躍しています。現在マーケティング、技術本部、コマーシャル部門のトップは全員女性です。

このように各部門で活躍する女性ならではの視点は、我々の製品に生かされています。例えば「女性は小さいバッグにも収納しやすい、小型でスリムなパッケージを好む」という意見には、はっとさせられました。旧来の常識で、消費者はより大容量の商品を好むであろうと思い込んでいた部分があったのです。新商品開発において、女性のニーズをいかに捉えられるか。多様な人材の登用が商品力につながることを実感しています。

谷本:日本の文化に合った商品を多く送り出している点も、成果の一つですね。

ホルヘ:まさにその通りです。コカ・コーラは何年も前から「ローカルのニーズにいかに応えるか」を大切にしてきました。実は日本で取り扱っている当社の製品ポートフォリオの75%が、「ジョージア」「アクエリアス」「綾鷹」「い・ろ・は・す」といった、日本市場向けに開発された日本発のブランドです。それらの中には、日本でヒットしたのち、他国に普及している製品もあります。世界各国、各地域の多様な文化、考え方を理解し尊重するコカ・コーラの社風が、これらのブランドを生み出したのだと考えています。

リスクを恐れず専門外に飛び出す

谷本:今、日本では、企業に対して人的資本経営の開示が義務付けられています。コカ・コーラでは、多様な社会で活躍するような人材をいかに創り出していくのか。そしてその人材戦略を経営戦略の中にどう入れていくのでしょうか。

Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香

Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香

ホルヘ:私たちにDEIを担う専任の部署はありません。なぜなら、コカ・コーラで働くすべての社員に、DEIの責任を担ってもらうことが必要だと考えているからです。
経営者として、社員一人ひとりが自分たちらしく安心して働ける職場環境を作っていく。そのために取り組んでいる一つが、部門間の異動シフトです。

例えば一つの部門でスペシャリストになると、どうしても新しいアイデアを受け入れたり、物事を違った視点から考えたりすることが難しくなります。だからこそ、当社が推奨しているのは、あえて専門外に足を踏み入れること。バックグラウンドの異なる人と仕事を進める中では、違いに耳を傾ける姿勢が欠かせません。それは、新たな視点を得て学びを深める上で、非常に重要な要素であると思っています。

谷本:日本の人材もさまざまな形でキャリアを広げているのでしょうか。

ホルヘ:2~3年前から、他部門への異動や日本以外の他の国や地域への挑戦など、新たな一歩を踏み出すケースが増えてきました。先日まで日本のファイナンス部門にいた女性社員は、今アトランタの本社で仕事をしていますし、技術部門にいた女性は、現在シンガポールでアジア各国のサプライチェーンを統括するポジションに就いていて、200人もの部下を束ねています。国をまたぐ異動以外にも、ITやマーケティング部門から営業部門へ異動したケースもあります。

専門外への挑戦はリスクを伴うこともありますが、自分が心地よいと感じる領域に留まっていると成長も鈍化してしまう。そこから脱却して、新しい環境でやってみよう、という流れが自然に生まれており、とても喜ばしいことです。

谷本:素晴らしいですね。一方で、そうした変化がなかなか生まれない組織も多いのでは。日本企業におけるDEIの障壁には何があると見ていますか。

ホルヘ:一つは、階級的な文化にあるでしょう。若手に独自のアイデアがあったとしても、なかなか発言できず、どうしても指示待ちになってしまうという話を耳にします。そのような環境では、新しいアイデアが生まれにくいものです。そうした傾向が日本にはまだまだ根強いのではないでしょうか。

その責任は、トップのリーダーシップにあります。リーダーにとって階級的なアプローチは、時に心地よく都合がいいかもしれない。でも自らそれを取り除くことこそ、リーダーの役割でしょう。

若手から素晴らしいアイデアが生まれることもたくさんあります。廊下やカフェテリア、イベントなどで若手の社員と顔を合わせると、新しい提案やアイデアを聞かせてくれる社員がいます。勇気のいることだと思うのですが、彼らがそんな行動をしてくれることはとてもうれしい。現場をよく知る彼らの意見は、組織をよりよくする上で、とても貴重なものだと思っています。

谷本:最後に、日本におけるDEIのリーディングカンパニーとして、社会にどんな影響を与えていこうと思っているのでしょうか。

ホルヘ:私たちが1社でできることは限られています。業界や政府のさまざまなリーダーたちと交流を増やし、インスピレーションを与えることで、DEIの機運をどんどん増幅していくことができる。多くを巻き込んだ活動で、社会全体により早い、大きな変化をもたらしていきたいと考えています。


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Promoted by 日本コカ・コーラ / edited by Kaori Saeki / text by Rumi Tanaka / photographs by Aiko Suzuki

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