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2023.11.30 16:00

複雑化した現代ビジネスに今こそ求められるーープロジェクトマネジメントの国内最新事例と評価ポイント

プロジェクトの詳細な計画立案や管理を行う「プロジェクトマネジメント」。

約50~60年前は建設をはじめとしたインフラ業界などの大規模プロジェクトのみで採用されていたが、時を重ねるごとにその適用範囲は拡大し、いまや規模や業界・業種を問わず、現代ビジネスにとって必要不可欠な存在となりつつある。

そこで本稿では、プロジェクトマネジメントの標準化を目指して1969年に米国で設立された組織 Project Management Institute(以下、PMI)のアジア太平洋地域リージョナル マネージング ディレクターであるソヒュン・カン(以下、カン)に、PMIの取り組みやプロジェクトマネジメントの需要が拡大している要因、日本の優れたプロジェクトを表彰する「PM Award」などについて話を聞いた。


各業界におけるDX化の加速がプロジェクトマネジメントの需要を拡大

現在のビジネスは、複数の部署や社外をも巻き込んだ横断的な取り組みなど、ひとつの部署内で完結しないことも多い。このように複雑化した状況において、規模や業界・業種を問わず重要性が高まっているのが、プロジェクトの詳細な計画立案や管理を行う「プロジェクトマネジメント」だ。

PMIは、さまざまな業界・業種で需要が高まるプロジェクトマネジメントのさらなる普及を目指している組織だ。プロジェクトマネジメントの標準的な知識体系である「PMBOK」の策定をはじめ、「PMP」「CAPM」「ACP」といった各種資格の認定、各種イベント・セミナーの開催などを行っている。

2023年10月現在の会員数は69万人、認定資格保有者は160万人と、プロジェクトマネジメント関連の団体としては世界最大規模を誇っている。日本国内での活動も盛んで、1998年には会員ボランティアの主体的な活動で成り立つPMI日本支部が開設された。

カンは、プロジェクトマネジメントに関する近年の動向について、「2023年は、日本およびグローバルでの認定資格保有者が過去最大の増加率を記録しました。日本におけるPMPの資格取得者増加率は5~6月の時点で5~6%だったのに対し、9月には9%まで増加。CAPMについては24%も増加傾向にあります。そして10月には、PMI日本支部の会員数が6000名を突破するなど、プロジェクトマネジメントのさらなる需要拡大が期待されています」と語る。

プロジェクトマネジメントの需要が拡大している要因は、さまざまな業界でDX化が加速した結果だという。

「プロジェクトマネジメントは、黎明期こそ大規模なインフラ業界の専売特許といった印象が強いものでしたが、しだいにITやコンサルティングなどの分野でも使われるようになりました。これは認定資格保有者の推移でも明らかで、特にPMPは日本・グローバルともにIT分野での増加率が最大となっています。しかし近年は各企業がDX推進を加速することにより、その図式にも変化が見られるようになってきました。

皆さまご存じの通り、DXは単なるデジタル化ではありません。プロジェクト自体が複雑化している現在では、むしろデジタル技術自体よりも、いかに効率良く管理と推進を行えるかが重要となります。こうした点からプロジェクトマネジメントの需要が拡大するとともに、従来のように限られた業界だけでなく、DXを推進するあらゆる業界・業種に広がっていると感じます」(カン)

社会に対してプラスの影響を与える「PM Award」

プロジェクトマネジメントの需要が拡大しているものの、実際に“優れたプロジェクトマネジメント”とはどのようなものを指すのか、ピンとこない方もいるのではないだろうか。そこで本稿では、2021年にPMI日本支部で創設された「PM Award」を通じ、具体的な事例を紹介していきたい。

PM Awardは、日本国内および日本企業・団体による優れたプロジェクトを表彰する制度だ。プロジェクトマネジメントの重要性に関する提唱を主目的としており、これまで成功を収めてきた優秀なプロジェクトのベストプラクティスを、より多くのプロジェクトへと反映させたり、数多くの人々に幅広く知ってもらうことで、社会に対してプラスの影響を与える効果が得られる。

応募・推薦されたプロジェクトは、有識者からなる選考委員会の選考を経て表彰プロジェクトが決定する。評価においては複数のポイントがあるが、中でもっとも重要なのが“そのプロジェクトがどれだけプロジェクトマネジメントの枠組みをしっかりと活用していたか”である。さらに、プロジェクトの実施でいかに良い社会的インパクトを与えられたかも、大きな評価ポイントになるという。

キーワードは「DX」「アジャイル」「サステナビリティ」

2023年で3回目を迎えるPM Awardでは、新たに「Large部門」と「Small and Medium部門」という2部門を設立した。その背景についてカンは、「プロジェクトの中には、インフラなど数十億円といった予算が必要となる大規模なものもあれば、中小企業などが実施する小規模なものもあるため、多様性を重視する意味で本年度から規模に分けて評価を行いました。たとえプロジェクトのチームメンバーが少人数だったり、あまり予算をかけられなかったりした場合でも、社会に与えるインパクトが大規模であれば受賞に値します」と語る。

そして本年度は、例年にも増して興味深いプロジェクトが多かったそうだ。

「その中でも共通点といえるキーワードが、『DX』『アジャイル』『サステナビリティ』の3つです。気候変動に関するものや、地域社会へのサポートなどに焦点を当てているプロジェクトが多かったですね」(カン)

「PM Award 2023」の受賞プロジェクトから学ぶ成功例

「PM Award 2023」における受賞プロジェクトの中から、カンが特に印象深いものを紹介してくれた。

ファイナリストによるオンラインプレゼンテーションを視聴した1200名によるオンライン投票によって決定した「最優秀プロジェクト賞(Large部門)」に輝いたのは、株式会社ネオマルスの「まちなか社員食堂 GoSmart」だ。

こちらは、中小企業・小規模事業者でも気軽に導入可能な福利厚生となる社食補助システム「まちなか社員食堂」と、デジタル社員手帳の機能を備えたアプリ開発プロジェクトとなる。中小企業には社員食堂などがなく、昼食時に近隣の飲食店を利用するケースが多い。そこで両者をアプリでつなぐことによって、導入企業における従業員のモチベーション向上や採用活動への貢献を実現。さらには従業員が地域との連携を感じながら働くことで、企業だけでなく地域への参加意識も高められ、街の活性化に寄与できるというものだ。

「優秀プロジェクト賞(Large部門)」「PMI Asia Pacific 賞(特別賞)」「NISSAY ITアカデミー 賞(特別賞)」に選ばれたのは、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)による「クロスボーダーM&Aによる国際事業のスピードアップ」だ。

これはJR東日本と、シンガポールを中心に軌道工事・保守事業を展開しているGATES PCM CONSTRUCTION LTD.(以下、GATES)のM&Aに関するプロジェクトで、シンガポール企業の株式取得による新たな国際事業のビジネスモデル構築を実現。シンガポールでの新規案件受注に加え、周辺地域へのマーケット拡大により、JR東日本グループにおける国際事業の拡大と安定化を図るというもの。統合のプロセスにプロジェクトマネジメントの手法を上手く活用しているのはもちろん、航空機や自動車などさまざまな移動手段がある中で、鉄道は二酸化炭素の排出量がもっとも低いことから、鉄道の利用促進がカーボンニュートラルへの貢献や気候変動に関する問題の改善につながる点も大きく評価された。

「優秀プロジェクト賞(Large部門)」「パーソル総研 well-being賞(特別賞)」に選ばれたのは、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、NTTコムウェア株式会社、NTTファイナンス株式会社、株式会社NTT ExCパートナーを主体とするバックオフィス業務改革DXプロジェクト「グループ共通IT TSUNAGU」だ。

こちらはNTTグループ 4社の合同プロジェクトで、クラウド上のSaaSパッケージを用いてグループ共通のITシステム/データ整備を行うというもの。その対象は115社17万人にも及び、「経営の高度化・グローバル化」「変化対応力の強化」「人材育成」「コスト・生産性の向上」に大きく貢献したという。

より重要度が高まる継続的な学びとスキルアップ

最後にカンは、これからの組織に求められる取り組みについて「今後もDX化の波が継続し、さまざまな業界においてテクノロジ活用の需要がより一層高まっていくと予想される中で、いまPMIがもっとも注目している分野が『生成AI』です。この生成AIは、今後プロジェクトマネージャたちが円滑にプロジェクトを推進していく上で極めて重要であると同時に、各組織およびそこから提供されるサービスの進化にも大きな影響を与えていくでしょう。

また生成AIに限らず、プロジェクトマネージャには今後も多種多様な新しいテクノロジを継続的に学び、スキルアップを図りながら、新しいプロジェクトをより円滑に管理・推進していくことが求められます。これを実現するために、組織や企業もプロジェクトマネージャが各分野の知識を深め、スキルアップができるようサポートしていく必要があるのです」と、メッセージを送った。


Project Management Institute 

PMI日本支部

Promoted by PMI / photograph by Yuji Kanno / text by Koichi Araki