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2023.10.27 11:00

「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」公認アプリ ライフログSNS「PAZR」が描く未来とは

スタートアップ企業NUNW(ニュー)が提供するライフログSNS「PAZR(パズル)」。「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」の公認アプリにも採用されるなど、さまざまな場面での展開が広がっている。ライフログを活用する社会の可能性を、NUNW代表取締役社長のレネ・パウレズィヒに聞いた。


NUNWは、数多くの動画クリエイターやインフルエンサーを擁するUUUMのグループ内スタートアップ企業だ。同社の代表取締役社長を務めるレネ・パウレズィヒは、スクウェア・エニックスや任天堂といったゲーム会社で翻訳やマーケティング業務に従事した後、12年に来日しゲームパブリッシャーに就職。小さな会社だったため、自身で開発からマーケティングまでを手がけるなかで、自社のゲームを動画クリエイターのHIKAKINが実況配信したことからUUUMとの縁ができた。

開発したゲームのコラボ企画などで交流を続けるうちに、UUUMのファウンダーで現名誉顧問の鎌田和樹から多言語が使えてコンテンツに造詣が深い人材はいないかとの相談を受けた。そこでレネは自身が転職することを決意し、14年にUUUMにジョインした。その後、グローバルマーケティングや新規事業開発に携わり、台湾企業への出向をへて22年より創設したばかりのNUNW代表取締役社長に就任。NUNW社設立の背景について、レネは次のように話す。

「UUUMでは、それまでクリエイターの育成やインフルエンサーを使った広告マーケティングの施策やマネジメントを中心に手がけてきました。一方、それまでUUUMがやってこなかったユーザーに直接使ってもらえるプロダクトをつくることにチャレンジする必要性も感じていました。当時はWeb3が盛り上がる反面、コロナ禍も広がるなど、人々が不安を抱える時代でした。NUNWはポジティブな体験をしてもらえるサービスをつくりたい、という思いから始まったのです」

こうしてスタートしたNUNWは、当時話題となっていたブロックチェーンをはじめとするWeb3技術のポテンシャルを精査したうえで、21年にNFTマーケットプレイス「HABET」をローンチ。さらに、ブロックチェーン技術の可能性を突き詰め、今年初頭にライフログSNS「PAZR(パズル)」をリリースした。

「PAZR」はブロックチェーン技術を活用し、自身のライフログとしてデジタルアイテムである“ピース”を記録・収集・共有するアプリだ。ピースはライブやイベント参加、プロダクト購入の証明として、他者に譲渡不可能なソウルバウンドトーン(SBT)の形で発行される。

「例えば、音楽フェスのリストバンドやはじめて友人と会った日など、人生には記念や記録として残しておきたい事柄がたくさんあります。自分がしてきた行動を自分の一部、ピースとして一括して見られるシステムがあれば、自分の過去を顧みて新たな行動のきっかけになりえるし、何よりも楽しい気持ちになれると考えたのです。僕自身ゲームをつくっていたこともあって、NFTの投機性というよりもむしろ自分が遊びたいプロダクトをつくりたいという思いも強かった」

もちろん、ライフログサービスのビジネス的なポテンシャルも大きかった。ユーザーがアプリ上でピースを集めていくと、趣味や興味関心、自身の傾向といったデータが必然的に集積されていく。既存の広告マーケティングではどうしても大きな枠組みの属性やペルソナによるパーソナライゼーションが主流だが、「PAZR」であれば行動履歴からより個人に最適化されたレコメンデーションや広告が可能となる。ピースとその集積を介して、ユーザーが本当に必要としている情報や商品を届けられるのだ。レネは「自分のデータが利用されるという感覚ではなく、自分の人生がもっと楽しくなる世界をつくれると信じています」と話す。

また、個人レベルだけでなくピースを保有するユーザーの情報がビッグデータとなれば、よりさまざまなビジネスモデルが考えられるという。個人が収集したピースのつながりから親和性のある企業同士が可視化されれば、コラボレーションといったプロモーション施策、さらには企業コンサルティングでの活用も可能となる。そのほかにも、ライフログ分析は医療をはじめ、流通や金融などさまざまな分野での研究・応用が期待されている。


単なる来場証明ではなく、ストーリーを届ける

現在、「PAZR」はすでにさまざまなイベントで採用されている。日本最大級のチャリティー音楽イベント「COMING KOBE23」や人気バンドflumpoolのライブのほか、海洋散骨を行うメモリアルクルーズの乗船証明や結婚式場での結婚証明書といったピースが発行され、好評を博している。また、自身が訪れたイベントのピース収集だけでなく、ユーザーに向けたクーポンやインビテーションの発行に加え、人事情報を記録したピースを社員証としても活用できるという。

一見すると、イベントの参加証明としてピースを発行して終わりのように思えるが、「PAZR」ではその先にさまざまな可能性が広がっている。

「『COMING KOBE23』は阪神・淡路大震災の復興支援に対する感謝や防災への意識啓発を目的としたチャリティー音楽フェスで、入場無料でたくさんのバンドのライブが見られる代わりに募金をしてもらうというイベントでした。『PAZR』で来場証明ピースが1枚発行されると、NUNWからイベントに100円寄付する仕組みを設けました。フェスを訪れた若い人たちは震災後に生まれた世代で、どれだけ募金の意識があるのかはわかりませんし、現金を持ち歩かない人も多い。それでも『このフェスに来たよ』という証明をするだけで、社会貢献をした気分になれる。また、発行したピースのなかにはイベントの趣旨といった情報が入っているので、『PAZR』を通じてユーザーにストーリーを伝えることができるのです」

「PAZR」を通じて描けるストーリーは多種多様だ。いくつものピースを集めるスタンプラリー型の企画であったり、結婚証明書のピースなら記念日に合わせて通知をすることで結婚式場に併設されたカフェを訪れてもらうきっかけにしたりと、単なる来場証明やクーポン付与とは違った届け方が可能となる。ボーイズグループ超特急が出演したステージ『超特急のふじびじスクール!inお台場冒険王2023』では、タレントがステージ上で撮影した写真をピースとして発行し、その後も定期的に情報を配信するなど、ファンとのタッチポイントとして独自のストーリーを構築しているという。

ほかにも、今後は個人でのピース発行機能も検討しているそうで、実現すれば「猫を飼い始めた日」など、個人の記念日などもライフログとして残すことができる。


自分を肯定し、多種多様なリンクのハブとなる「PAZR」

ライフログの可能性を広げる「PAZR」は、10月26日(木)から東京ビッグサイトを中心に開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」(旧:東京モーターショー)でも公認アプリとして採用されている。同イベントでは、進化したモビリティが実現する未来の東京をイメージして、生活や防災、スポーツに食といった4つのエリアから成る「Tokyo Future Tour」で体験証明ピースを発行。また、特設エンタメステージ「H2 Energy Festival」の出演アーティストのピース、フードコートのグルメ総合プロデューサーを務めるフォーリンデブはっしーがオススメするグルメピースなど、会場にていくつものピースを獲得できる。

「企画によって取り組み内容が違っていて、モータースポーツのブースではプロのレーサーの方からデジタル名刺をもらって、ピースを通じてファンレターを送れるような仕組みを導入しています。ほかにも、当日のアーティストパフォーマンスを反映したピースの発行なども行う予定です。

ピースによる思い出づくりというだけでなく、『JAPAN MOBILITY SHOW 2023』の枠を越えて、今後にもつながるような楽しい体験を提供できればと考えています。そして、ユーザーが自分で集めたピースを振り返ることで改めて自分のことを知り、それが新しいアクションにつながっていったら嬉しいです。ピースを通じた情報発信なども含めて、『PAZR』がそのきっかけとなれると思います」

最後に、レネは今後の社会におけるライフログの重要性、そして『PAZR』を通じて実現したい未来像について、次のように話した。

「現代は先が見えない予測不能なVUCA時代と言われていて、クローズドSNSの流行などを見ても、これからは一度いろいろなものが収縮するだろうと感じています。オープンSNSでの誹謗中傷など、今はさまざまなものが広がりすぎていて、多くの人がストレスを抱えてしまっている。だから、自分が何をしたらいいかとか、自分自身がわからないという人も多いのではないでしょうか。

こうしたなかで、『PAZR』は自分の行動を可視化することで、『日々行動して生きててエラい』って自分を褒めてくれる場所になったら良いな、と思っています。NUNWの理念にも“自分らしさ”という言葉があって、要は『あなたはあなたでいい』と言いたい。ピースを振り返ることで自分のやってきたことがポジティブに思えるようになったら最高だなと思うのです。

そして、今後は『PAZR』が多種多様な物事のハブになることで、いろいろな距離を近くしていきたいです。それは企業と企業かもしれないし、企業とユーザー、あるいはアーティストとファンかもしれません。『PAZR』をハブにして世の中にいろんなリンクができれば、そこから面白いものも勝手に生まれるんじゃないかな、と期待しています」

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NUNW
https://www.nunw.jp/

Promoted by NUNW / text by Sugawara Michi / photographs by Shunichi Oda / edited by Akio Takashiro