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2023.08.10

シェア率約30%、コドモンはなぜ「資金調達ナシ」で飛躍的成長を遂げられたのか?

設立5年目にして、市場の約3割のシェアを「資金調達なし」で実現させたコドモン。その主力事業はバーティカルSaaS「CoDMON」だ。園児や児童の出欠管理や保護者への連絡、帳簿書類や請求などを管理する、保育園・幼稚園・学童などに向けた保育・教育業界向けSaaSは、すでに全国で1万超もの民間施設と、4,000近い自治体施設にも導入され、シェアを急速に拡げ続けている。コドモンはなぜ飛躍的な成長を実現できたのか。同社代表取締役・小池義則と、日米市場を中心にBtoBスタートアップへの投資を行っているベンチャーキャピタルファンド「DNX Ventures」(以下、DNX)のマネージングパートナー/日本代表・倉林陽との対談から探りたい。
 

倉林 陽(以下、倉林):小池さんとは、2019年頃にDNXの投資先の経営者から「良い会社がある」と聞き、お会いしました。コドモン設立までには紆余曲折があったと聞いています。
 
小池 義則(以下、小池):ファーストキャリアはベンチャー・リンクというコンサルティング会社でのマーケティング部門で、新卒として5年間働かせてもらいました。その後は同僚と共同経営で人材紹介会社の立ち上げを試みるも1年ほどで解散、2009年にコドモンの前身とも言えるWebマーケティング会社を起業しました。ものづくりは好きな方だったので、起業当初はデザインやWebコーディングを独学で学びながら、Webサイト制作やSEO、Web広告運用代行などを受託していました。ある時に保育園向けのICTシステム構築の依頼があり、その時に、現場の保育士や保護者の皆様からとても喜んでいただいた経験がコドモン設立の源流です。その時の受託先に頼みこんで、構築したシステムを基に自社プロダクトの開発を進める許可をもらい、2013年にα版、正式版を「CoDMON」として2015年にリリースしました。
 
倉林:そもそも日本のバーティカルSaaSは魅力的な市場ですが、コドモンが「資金調達なし」で急成長し、3割ものシェアを獲得されたのは素晴らしいと感じました。
 
小池:ありがとうございます。自己資金だけで事業展開が行えた要因として、三つが挙げられます。一つ目は「受託事業」。プロダクトリリース時には並行して受託事業を行い、開発は私含む最小限の人数で行っていたため、赤字を出さずに済みました。二つ目は、「省エネ経営」。初期のプロダクト開発にかける時間や費用を最小限に抑え、またマーケティングは効率性重視で過度な投資を行わなかったこと。そして三つ目は「ICT補助金(注※)」。政府からシステム導入に対する補助金がつき、解約リスクがなくまとまったお金が入金されたことで、資金調達を意識することなくプロダクト開発やマーケティングに集中することができたことです。

といっても、リリース当初は全く受け入れてもらえず、フリーミアム戦略を試したり、Webマーケティングに加え、全国の保育園データベースを自前で構築し、DMやFAXを使ったプロモーションを実施したりと、地道な策も講じながら少しずつ導入が拡大していきました。
 
そうしてSaaSのリリース後4年たち、利用施設数が2,000を超えたあたりから、今度は技術負債の問題に突き当たりました。経営的には新規機能の追加開発に積極投資すべき時期でしたが、エンジニアサイドからは「今これ以上の機能を追加するとプロダクトが壊れる」と言われるほど、アラートの強い状態だったのです。よって2020年に新規開発を一時ストップすると決断し、リファクタリングに集中した経緯もあります。
 
倉林:なるほど、そこでストップの判断が下せたことも的確なご判断です。たしかにSaaSはASPと違ってマルチテナントで、スケーラブルな事業展開を行うにはデータモデルが重要です。僕らVCが入っていれば、技術負債解消の優先順位づけを促す場合もありますが、コドモンの場合は小池さんが中心となって、PDCAを高速回転したということですね。同時に、他社の類似サービスを追随させないためには、業界内での信頼関係の構築も重要です。この点もコドモンさんはクリアされていますね。
 
小池:導入施設様とのコミュニケーションは、カスタマーサポートやサクセスチームが中心となって実施しています。そこで定期的に保育事業者へのヒアリングも実施し、売り手思考にならないよう目線を合わせながら機能改善や新規事業開発にも繋げています。

新規事業でいえば、直近では、保育士向けのオンライン研修サービスや、施設向けのECモール、園児募集支援サービスなど、施設や業界の課題解決につながる様々なソリューションを提供し、オールインワンでお客様の課題解決に応えられる体制を作っています。

「良いものを作って、誠実にお客様に届け、その対価をいただく。」保育という福祉領域における課題解決に尽力する一方で、企業としては、社会貢献と経済活動を両立しなければ、持続性が失われてしまう。その両方のバランスを取るのが経営側の責務だと考えます。

コドモン代表取締役・小池義則

コドモン代表取締役・小池義則


倉林:いまおっしゃった成長モデルは、アメリカのバーティカルSaaSでも同様です。まずSaaSのプラットフォームで占有率を高めてデータを取り、データを生かしたサービスをミルフィーユのように重ねてビジネスを拡げていく。つまりコドモンさんは「バーティカルSaaSでの勝ち方」を正確に踏襲していると言えるでしょう。

企業成長に欠かせない「人」への投資の考え方


倉林:右肩上がりで導入数を伸ばしてこられた御社ですが、その分、人材採用や育成は大変だったのではないですか?
 
小池:事業がどんどん成長する中で採用も加速させる必要があったのですが、業界特化型でかつ調達をしていないことで、当初は人材市場でなかなか知名度が上げられず採用面では特に苦労しました。そんな中で、組織づくりにおいてとにかくミッションファーストであることを大事にし続けてきました。例えば、ミッションや経営スタンス、コドモンメンバーとしてのあり方を言語化した「カルチャーデッキ」も作成・運用し、時間や場所を問わず振り返りを可能とすることで、多様な人材が集まってくる中で組織に一貫性が出てきたように感じます。
 
倉林:素晴らしいですね。僕らは「魂の運用」と言うのですが、パーパスは作るだけでは意味を成さないため、運用の中で刷り込んでいく必要があります。
 
小池:既存の社員の成長に加えて、非連続な成長力を維持するには優秀な人材の確保も行うべき、と考えています。わたしたちは現在の長期目標として「成長率140%以上の維持」を掲げていますが、そのためには、事業を底上げできるような人材や、会社の意思決定の上で自分のバリューを発揮できるような能力ある人材が不可欠です。
 
倉林:人材は、企業成長にとって欠かせない要素です。スタートアップの成長は、いかにバリューフィットして、かつ優秀な方を採用し、リテインし続けられるかに尽きます。
 
小池:おっしゃる通りです。そうした人材に参画いただきながら筋肉質な組織を作ることで、徐々に未来に向けた様々な取り組みが行えるようになってきています。先程お話した新規事業もそうですが、昨年よりパブリック・アフェアーズ部門を新しく立ち上げ、政府とのリレーションを強化するような取り組みを始めています。その一つとして来年からスタートする新制度「こども誰でも通園制度」、これは親の就労時間を問わず、誰でも時間単位で保育所を利用できるようになる画期的な制度で、こども家庭庁などと連携を行い、制度運用上補完しなければならないシステム構築などを議論しながら、民間事業者として社会課題に対して影響力の高い取り組みを模索しています。
 
倉林:社会課題解決型のビジネスは海外でも注目されています。機関投資家も、出資時にはデューデリジェンスを通じて、社会性をチェックしています。規律のある事業にお金を届けようというのが随分前から常識であり、今後も続いていくでしょう。

DNX Venturesマネージングパートナー、日本代表の倉林陽

DNX Venturesマネージングパートナー、日本代表の倉林陽

市場はシュリンクせず、成長分野は広がっている


小池:日本では少子高齢化が進んでいる中で、子ども領域のビジネスも頭打ちになるのではと思う方も多いかもしれませんが、わたしたちはその逆で、解決すべき課題が多く事業機会にあふれた領域だと考えています。

保育・学校領域をはじめ、保護者支援領域や、自治体DX領域などわたしたちが社会に貢献できる分野は多く、一つ一つの領域で着実に提供価値を継続的に高めていくことで、次の成長分野は自ずと開けていくと考えています。

2025年度までの方針としては、まず保育園領域では「導入施設数2万件の達成」「SaaSモデルにこだわらない事業開発の強化」「アライアンスモデルの確立」という3本柱を強固にし、CoDMON内でのエコシステム構築を想定しています。保育園・教育施設向けのSaaSは、現在の市場占有率25%〜30%ですが、2025年度までに50%、施設数でいうと2万件まで到達させる目標です。これとは別に、学童、小学校、塾や習い事などの業務支援も伸びしろがあります。

SaaSを主力に展開しつつ、園児募集支援やオンライン研修、施設向けECなど、施設の課題や環境変化に対応した新サービスを提案していきます。
 
合わせてCoDMONを使ってくださっている保護者、現時点では約215万人の子育て支援を、今後はより広域で充実させていく構想を持っています。例えば様々な状況下におけるご家庭への支援サービスや、親のライフステージにおける支援サービスなど、主に0〜15歳の子どもを持つ保護者に対し、安心して子どもの育ちや学びに寄り添えるよう、伴走型サービスを提供していきます。
 
倉林:エコシステムとは興味深いですね。コドモンはこれまで既に素晴らしい成長を遂げていますが、エコシステムも実現すれば、事業の大きな特徴となるでしょう。今後、企業フェーズとして考え得るのは、IPOでしょうか。日本は他国に比べて上場しやすい国なので、「数百億の資金があれば飛躍的な成長が可能になる」と思ったとき、IPOは選択肢になり得ます。一方で海外機関投資家から見ると、日本のSaaS企業は相対的に事業規模が小さく、インパクトに欠けてしまう。しかしコドモンさんの今のビジョンやミッションなら、海外水準を狙える可能性もあると感じます。
 
小池:ありがとうございます。IPOに関しては具体的に検討しているわけではないですが、内部統制については重要テーマとして25年度までに直前期相当のレベルまで仕上げる予定です。事業と組織を持続的に成長させる上での基盤づくりを行うとともに、未来に向けて様々なオプションを準備しておくべきだと考えています。

成長分野の種は埋まっているので、その土壌にいかに目を向けて事業の根を張るか。多方面で取り組みを加速させながら、海外機関投資家の皆さんからも注目いただける事業を目指します。
 
倉林:おっしゃる通りだと思います。お話を聞いて、小池さんの熱い思いが伝わりました。ますます今後の事業拡大に期待が高まります。ぜひアメリカから一目置かれるくらいの、ARR100億、200億円といった規模を目指して突き進んでいただきたいです。
 
小池:今さまざまな社会問題がある中で、コドモンでは「子育て領域への投資こそ、経済的に価値提案もでき、社会的インパクトも大きいものだ」と立証します。そうすれば市場が活性化し、子育て社会が豊かになる未来もそう遠くないと信じています。
 
(注※)平成28年度から厚生労働省が「保育所等におけるICT化の推進」に向け、補助制度を開始した
 
コドモン
https://www.codmon.co.jp/

倉林陽(くらばやし・あきら)◎ DNX Ventures マネージングパートナー兼日本代表。富士通、三井物産にて日米のITテクノロジー分野でのベンチャー投資、事業開発を担当。MBA留学後Globespan Capital Partners、Salesforce Venturesで日本代表を歴任。2015年DNX Venturesに参画。同志社大学博士(学術)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営大学院修了(MBA) 。
 
小池義則(こいけ・よしのり)◎コドモン代表取締役CEO。横浜国立大学卒業後、東証一部上場のコンサルティング会社に入社。ITを活用した社内業務の効率化を目的とした、Web推進室室長を経て退社。2009年にスパインラボを設立し、15年に自社プロダクトとして保育園向け業務支援システム「コドモン」をリリース。18年11月にコドモンを設立。

Promoted by コドモン / text by Nayu Kan / photographs by Yoshinobu Bito / edited by Kaori Saeki

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