キャリアレバレッジには仕事「機会」がキモ
結局、キャリアレバレッジにおいて重要なのは、仕事における「機会」だ。具体的には「自分の責任で意思決定ができること」。その経験が成功体験となり、格段にスキルの幅が広がり、新たな機会につながっていく。最初の階段を上がった人には、さらに大きな責任と権限が与えられ、1段上の経験を積むことで、さらに階段を上がっていく。そしていつしか、その負荷により筋力が増し、階段を1段飛ばしで上り始め、スピードそのものが加速していく。
一方で、最初に甘えが出たりすることで階段を上がれなかった人はその場で立ち竦すくむ。もしくは他の人に抜かれていくことで自信を失い、視点を下げ、あたかも階段を下りているような感覚にすらなる。グッドスパイラルとバッドスパイラルの二極化が進んでいくのだ(図1‐6)。
もちろん、人間は、いつからでも変わることはできるから安心してほしい。本書はその方法を指南するためにある。ただ、「中長期的でキャリアにレバレッジを利かせる」という考えは、常に重要なので、心に留めておいてもらいたい。
徳谷智史(とくや・さとし)◎エッグフォワード代表取締役社長。京都大学卒業後、大手戦略コンサルティング会社に入社。国内プロジェクトリーダーを経験後、アジアオフィスを立ち上げ代表に就任。エッグフォワード設立後は業界トップ企業から、先進スタートアップまで数百社の企業変革や出資によるハンズオン支援を手がけると同時に、個人の可能性を最大化するべく2万人以上のキャリア支援に従事。