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2023.06.23 16:00

不足するハイエンド人材の問題をスキルシェアで解決 人的資本の好循環が新たな企業価値を生み出す

DX・コンサルティング領域におけるハイエンド人材の獲得は困難を極めている。2023年3月に上場を果たし、ハイエンド人材に特化したHC(Human Capital)事業を行うアクシスコンサルティングは、この問題にどのような答えを提示するのか。


コンサルティング領域に特化した⼈材紹介事業を祖業とするアクシスコンサルティングでは、大手コンサルティングファームに在籍する現役コンサルタントの4人に1人が同社に登録しているという。

同社は正社員採用を目的とした人材紹介事業に加え、スキルシェア事業では企業のニーズに合わせたプロジェクトを提供するフリーコンサル、さらに22年7月より低価格で相談を受け付けるスポットコンサルのサービスもスタート。複合的なHC(Human Capital)事業を盤石のものとしている。代表取締役社長 山尾幸弘(写真上)が考えるハイエンド人材不足の解決策と上場後の展望について話を聞いた。

コロナ禍においても高い成長を続けたふたつの要因

──2023年3月28日、東京証券取引所グロース市場でIPOが承認されました。まずは上場に至った経緯をお聞かせください。

山尾:当社は人材紹介とスキルシェアのふたつの事業と付随する4つのサービスを展開していますが、その基盤が出来上がり、また我々のサービスが社会から必要とされ社会的責任が伴ったと自覚し、いまこそIPOに打って出るときだと決断しました。何より、これまで上場企業のなかでコンサルティング系に特化した人材会社はないと把握しており、まさに挑戦のしがいがあるミッションだと思いました。

──過去5年間の年平均成長率が27.5%と高い数値を継続していますが、コロナ禍にも屈しなかった御社の強みは?

山尾:高いレベルの専門性をもつハイエンド人材を抱えていることです。労働人口の上位10%が対象といえばイメージしやすいでしょうか。スキルシェア事業はフリーランスや副業・兼業をしているコンサルタントが対象です。DX・ハイエンド・コンサル領域で、⼈材紹介とスキルシェアのふたつの事業を複合型サービスとして供給している企業はほかにありません。

コロナ禍では、業界全体の成長が鈍化するなか、当社は業績を上げることができました。その要因のひとつが、景気が落ち込んでいるからこそハイエンドの即戦力を採り入れて課題解決を加速させたいという企業が増加したという経緯があります。コロナ禍でもハイエンド層を中心としたDX領域の有効求人倍率は7~10倍ともいわれていました。言い換えると、7~10社のうち、採用できるのは⼀社のみ。圧倒的に供給より需要が高くなっていたのです。また、景気が悪いと正社員の採用に慎重になる企業も出てきます。代わりに、高度な専門性をもつフリーランス(業務委託)などの需要が増加。スキルシェア事業はこの傾向によって売り上げを伸ばすことができました。
山尾は「スキルシェア事業は、今後も成長を続けていく」と語る。

山尾は「スキルシェア事業は、今後も成長を続けていく」と語る。

ハイエンド人材のシェアが人材不足解消の切り札に

──スキルシェア事業においては、16年にフリーコンサルサービスに参入。22年からはスポットコンサルサービスの提供も開始しました。こうした背景には、フリーランスを必要とする企業が増えているということがあるのでしょうか?

山尾:その通りです。労働人口の減少はいまや顕著で、中堅・中小企業が優秀な人材を獲得することは難しい状況であるといえます。しかし経営課題は待ってはくれない。そこに来てコロナ禍が拍車をかけ、フリーランスへの需要が高まりました。我々が提供するハイエンド人材は高度な専門性をもったコンサルタントたちで、製造系やサービス系、金融系、通信系など、あらゆる産業とセクターから集まっているのも強みです。そうした人材と企業を結び付けるのが、スキルシェア事業です。

──コンサルタント側もまた、フリーランスや兼業・副業志向が高まっているのでしょうか。

山尾:おおいにあります。大手コンサルファームが副業解禁を始めており、それに伴い、大手コンサルティングファームに籍を置きながら、副業によりさまざまな経験を重ねることでスキルアップをしたいと考える方が増えています。対する企業側もプロのコンサルタントを安価で活用できるメリットがあり、お互いにウィン・ウィンの関係が成立します。コロナ禍を経て、リモートでの仕事が可能になりました。フリーコンサルやスポットコンサルが求められるケースは、今後もますます加速していくと考えています。

──企業側と人材側のニーズの合致を予測し、スキルシェア事業を拡大したことが功を奏したわけですね。

山尾:「人的資本の最大化・最適化」は創業当時から掲げてきました。我々はB to P(Business to Person)ともいっていますが、企業とハイエンド人材をつなげ、人的資本を循環利用させることで、当社にとっても大きな成果を生み出す結果となりました。さらにいうと、ハイエンド人材を社員として確保している企業も、彼らを抱え込むのではなく、他社でも活躍できる人材になるよう後押しすることが重要だと考えています。なぜなら、人材不足という社会課題に貢献できるだけでなく、彼らの経験が自社に還元されることで、さらなる企業成長を生み出す要因になりうるからです。日本政府も18年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を出し、この取り組みを後押ししています。高度な専門性をもつ優秀な人材の活用は、中堅・中小企業の活性化につながっていくことでしょう。

「コンサルをもっと身近に」上場企業として見据える未来

──上場を見据えた22年6月に「あらゆる課題は、人で解決する。」をコーポレートステートメントに選定しました。そこに込めた思いをお聞かせください。

山尾:コンサルタント人材は「高い」「よくわからない」というイメージが多いのですが、当社は価格もサービスもオープンにしています。もっとコンサルティングを身近に感じてもらい、課題解決の手段として活用していただけるよう、サービスの向上に努めていくという決意表明です。そして25年期までは既存のふたつの事業、4つのサービスを拡充させていきます。そのうえで、スキルシェアに対応する人材のデータ総量を増やし、より多くの企業で活用していただけるサービスを構築していきたい。大きな話をいえば、国内にある中堅・中小規模の企業約350万社の方々にご利用いただきたいと思っています。

──具体的には、どのようなサービスの構想を抱いているのでしょうか?

山尾:将来的にはデータビジネスを展開したいと考えています。人材のデータ総量を拡充してプラットフォームをつくることで、より自由にご活用いただく、to B、to C向けのビジネスですね。我々がもっているデータを独占するのではなく、ソリューションパートナーに提供していく。コンサルティングのサブスクのような事業です。登録するハイエンド人材にとっても、さらなるキャリアアップ、スキルアップができる環境を提供していきたい。そんなプラットフォームの構築を実現できればと思っていますので、ご期待ください。


アクシスコンサルティング
https://axc-g.co.jp/



やまお・ゆきひろ◎大手食品メーカーにて営業・マーケティング業務を担当。1992年国内系エグゼクティブリサーチ会社へ入社。同社取締役を経て、2002年アクシスコンサルティングを設立し、代表取締役社長に就任。23年3月東証グロース市場上場。

Promoted by アクシスコンサルティング/ text by Tetsujiro Kawai / photographs by Daichi Saito / edit by Aya Ohtou (CRAING)