・自分の頭を使わなくなり、すべてを道具に頼るようになる
・これは真の創造性と独創性の終わりだ
上記の主張は一見したところ、ChatGPTが現在の学生に与える影響について触れた、最近数カ月で出版された多くの記事や考察のように見える。だが、これらの主張は紀元前5世紀のもので、『パイドロス』に記録されている、ソクラテスの「書く技術の発明」に対する反論を要約したものだ。
新技術が社会を変革する方法に対する恐れは、何千年も前から存在している。そして、多くの点で、それらの恐れは理由のないものではない。研究者たちは、ソクラテスの「書く技術が人間の記憶を根本的に変える」という予測は正しかったと指摘しているし、神経構造の再構築の努力はコンピュータからGoogle（グーグル）、そしてChatGPTに至るその後の技術で続けられている。
問うべきは、テクノロジーが私たち個人や社会に影響を与えるかどうかではなく、その変化をポジティブな方向に向けるために、私たちがテクノロジーにどのようにアプローチし、活用するのかということだ。
ChatGPTの登場により、ソクラテスの古代の議論を懸念し盗作を恐れる教育分野の人たちの懸念によって、多くの学校がプログラムの使用を完全に禁止している。しかし、このプログラム（ChatGPT）は、教室で生産的で革新的な方法で利用できる新たな技術の夜明けに過ぎない。ChatGPTの教育ツールとしての価値は、そのプログラムが何であるのか、どのように使うのか、そしておそらく最も重要なことは、その現れた欠点に生徒たちがどれくらい触れたかに比例する。
もし学生たちが、ChatGPTをボタン1つで論文を書いてくれるデジタルな魔法のランプの精として見るなら、彼らは間違った非創造的な作品を作り出すだけでなく、その過程で自分たちの執筆力や批判的思考力を損なうことになる。一方で、プログラムを自分たちの作品を向上させるか、情報を提供するための利用可能なデジタルツールの1つとして捉えるなら、ChatGPTは学習や執筆において学生たちを大いに支援できる可能性がある。
学生にとってChatGPTの最も大きなメリットは、さまざまな質問に即座に回答してくれることだ。ChatGPTは迅速な回答を提供し、学生の調査を整理し、さらなる情報のための資料を見つけたり、難解な概念を明らかにするのに役立つ。さらに、ChatGPTは、段落や文章の構造に関するシンプルな提案から、文章の一貫性や流れを改善するための複雑な指導まで、学生が執筆を改善できる分野を特定するのに役立つ。教師がソフトウェアの使用を許可した場合、学生はこれらの機能を教師が許可する枠組みの中で利用することができる。たとえば教師は学生に対して、ChatGPTの引用部分を明記するように求める、どのように使ったかを詳細に説明させる、あるいはプログラムが成果を洗練していく過程でどのように執筆に影響を与えたかを示すように求めることができる。
