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2023.04.28 16:00

循環型社会を見据えた次世代型新素材、人工プロテイン繊維を使用したアパレルを初量産&グローバル展開

ゴールドウイン代表取締役社長 渡辺貴生(写真左)/Spiber代表取締役 関山和秀(同右)

スポーツアパレルメーカー「ゴールドウイン」は2023年3月、バイオベンチャー企業のスパイバー「Spiber」が開発した構造タンパク質素材 Brewed Protein™️ を用いた初の量産コレクションを発表。地球の未来がかかっていると言っても過言ではない画期的なプロジェクトについて両社の代表が語る。


SDGsが国連によりNYで採択されたのは15年。以降の8年間で我々の認識や行動も大きく変わってきている。たとえば、ガソリン車からEVへの移行、ポリ袋の有料化、人工代替肉や昆虫食の台頭……これらによる影響の大小はあれど、誰もが地球レベルでの環境保護について思いをめぐらすようになったのは進歩に違いない。

ファッションの世界においても、動物愛護の観点から毛皮やレザーを使用しないと宣言するブランドが増えてきたなか、さらに画期的な次世代型新素材を使ったアパレルコレクションがスポーツアパレルブランドを多く擁する「ゴールドウイン」より発表された。奇しくもSDGsが採択された2015年より協業をスタートさせた「Spiber」との共同開発による構造タンパク質素材、Brewed Protein™️繊維の量産体制が、実に8年をかけて整ったのだという。その開発背景と展望について、「ゴールドウイン」代表である渡辺貴生と「Spiber」代表である関山和秀が語る。

クモの糸をヒントに生まれたBrewed Protein™️繊維

渡辺:関山さんに初めてお会いしたのは2014年でしたか。山形のラボをお訪ねしたんでしたね。小さなボビンに巻かれた青い糸を見せていただきました。

関山:私は学生時代にクモの糸が非常に強靭であるということに注目し、またクモの糸がタンパク質でできていることから、微生物の発酵を利用して人工的にクモの糸のようなタンパク質を作れるのではと研究していました。渡辺さんにお会いしたのは人工クモ糸の量産化技術が確立してきたタイミングでしたね。

渡辺:従来のスポーツアパレルではナイロン、ポリエステルなど石油由来の素材を使用してきたわけですが、ご存知のようにこれらの化学繊維はマイクロプラスチックの排出による自然環境への影響が課題視されています。そもそも石油の枯渇が懸念されている状況を鑑みても、持続可能な資源へと転換していくことは現代社会に生きる私たちにとって大きな責任だと考えていました。



無限に広がる人工タンパク質の可能性

関山:人工クモ糸を模した素材は水に濡れると縮む性質があるため、アパレル産業において多様なニーズを満たせるように我々が開発したタンパク質素材を総称してBrewed Protein™と呼ぶようになりました。このBrewed Protein™️はさまざまな課題を根本的に解決できる素材だと考えています。まず、人間の体を構成するタンパク質は数万種類あり、それらはどれもアミノ酸の組成や配列が異なります。

アミノ酸は20種類あるのですが、これらを100個並べる時の組み合わせのパターンは20の100乗。この膨大な組み合わせのパターンの中で、地球上に存在する配列のパターンはほんの一部であり、逆に言えば、生物がたどり着けていない、もし産業的に活用できたら素晴らしい素材となり得るような未知のタンパク質が、無数に眠っているのです。

Brewed Protein™️は、目的とする特徴や機能に応じてアミノ酸の配列を設計、合成し、微生物を文字通りブリュー(発酵)させることでBrewed Proteinポリマーを生産し、それらを繊維形態に加工するという生産プロセス。ウールやカシミアなど既存の獣毛と比較しても、例えばモンゴル産のカシミア繊維に対しては、タイのプラントがフル稼働した際には温室効果ガス排出量はマイナス50%近く、さらに生産に再生可能電力を全面的に導入した場合にはマイナス79%、また、土地使用料と水分使用料ともにマイナス97%という分析結果*も得られ、環境負荷を大きく低減できる素材であることが明らかになっています。



渡辺:原理には到達できていても、実際に商品化するまでにはやはり試行錯誤の日々でしたね。とくに初期は関山さんがおっしゃるように水に弱いなどの弱点が見つかったこともありました。そして何よりボトルネックになっていたのは、生産数が限られていたこと。当初は年間で50キロ程度しかつくれなかったので、商品は抽選販売で限定された方々へしかお届けできていませんでした。

関山:昨年春、タイのプラントが稼働を始め、これまでの生産実績は50t。すでに月間の生産量は鶴岡の年間生産量の同等以上で、数年後のフルキャパシティでの生産に向けて順調に生産を拡大しています。

渡辺:私もタイに行きましたが、山形の小さなラボ時代を知っているだけにあの大規模な、近代的なプラントに感無量でした。ようやく量産体制をとれるようになったので、今回「ゴールドウイン」だけでなく、「ザ・ノース・フェイス」「ザ・ノース・フェイス パープルレーベル」「ウールリッチ」「ナナミカ」という5ブランドを横断してグローバルで展開できる運びとなった、というわけです。

未来を見据えた循環型素材が今後の世界を変えていく


関山:Brewed Protein™️のもうひとつの特徴は環境負荷を低減するだけではなく、100%リサイクル可能であるということ。タンパク質は土に埋めたり、海に沈めたりしても微生物が自然に分解してくれます。さらに、再びアミノ酸に分解すれば新たなタンパク質の材料として再利用できるメリットもあります。

渡辺:今まで我々の社会のものづくりは結果としてごみを生み出してきましたが、これからはものづくり=資源づくりとなっていく時代がすぐにやってくるに違いありません。実際、ポリエステルなどの石油由来の合成繊維が誕生してからまだ100年も経っていない現在、このように循環型の構造プロテイン素材が誕生し、10年を待たずに量産体制に入っています。これからの5年、10年は指数関数的にスピーディーに進化していくことでしょう。当社「ゴールドウイン」としては、30年までの新規開発商品のうち10%をBrewed Protein ™️使用製品にシフトするという活動目標を設定しています。

この両社による共同開発から見えてくるのは、自然と人間の新たな関係性だ。大いなる生態系のなかで生きる人間が、自然の原理を活用することで自ら地球をデザインするというプロアクティブなマインドを持てるか否か──そこに未来がかかっていると言っても決して過言ではない。

*Spiberがサステナビリティ・LCAコンサルティング分野の先進企業であるEarthShift Global社と共同で実施したものであり、国際標準化機構(ISO)14040および14044の規格に従い、三名の第三者専門家によるクリティカルレビューが行われた。

THE NORTH FACE Nuptse Jacket(ヌプシ ジャケット) 予定価格:110,000円(税込) カラー:ナチュラル(NA)、ブラック(K)、オリーブ(OL)素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、裏側:PTFE、<中わた>ダウン 80%、フェザー20%、<裏地>ナイロン 100%

THE NORTH FACE Nuptse Jacket(ヌプシ ジャケット)
予定価格:110,000円(税込)
カラー:ナチュラル(NA)、ブラック(K)、オリーブ(OL)素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、裏側:PTFE、<中わた>ダウン 80%、フェザー20%、<裏地>ナイロン 100%


Goldwin Cross-Field 3L Jacket(クロスフィールド 3L ジャケット) 予定価格:121,000円(税込) カラー:ナチュラル(NA)、ブラック(K)、オリーブ(OL)素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、中間層:PTFE、裏側:ポリエステル 100%

Goldwin Cross-Field 3L Jacket(クロスフィールド 3L ジャケット)
予定価格:121,000円(税込)
カラー:ナチュラル(NA)、ブラック(K)、オリーブ(OL)素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、中間層:PTFE、裏側:ポリエステル 100%


Nanamica Balmacaan Coat(バルマカーンコート) 予定価格:198,000円(税込) カラー:ナチュラル(NA)、ブラック(K) 素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、中間層:PTFE、裏側:ナイロン 100%

Nanamica Balmacaan Coat(バルマカーンコート)
予定価格:198,000円(税込)
カラー:ナチュラル(NA)、ブラック(K) 素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、中間層:PTFE、裏側:ナイロン 100%


THE NORTH FACE PURPLE LABEL Sierra Parka(シエラパーカ) 予定価格:176,000円(税込) カラー:ナチュラル(NA)、ブラック(K)素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、裏側:PTFE、<中わた>ダウン 72%、レーヨン 20%、フェザー 8%、<裏地>ナイロン 100%

THE NORTH FACE PURPLE LABEL Sierra Parka(シエラパーカ)
予定価格:176,000円(税込)
カラー:ナチュラル(NA)、ブラック(K)素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、裏側:PTFE、<中わた>ダウン 72%、レーヨン 20%、フェザー 8%、<裏地>ナイロン 100%


WOOLRICH Future Arctic Parka(フューチャー アークティックパーカ) 予定価格:198,000円(税込) カラー:ブラック(K)、オリーブ(OL) 素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、裏側:PTFE、<中わた>ダウン 80%、フェザー 20%<裏地>ナイロン 100%

WOOLRICH Future Arctic Parka(フューチャー アークティックパーカ)
予定価格:198,000円(税込)
カラー:ブラック(K)、オリーブ(OL) 素材:<表地>表側:分類外繊維(Brewed Protein™️繊維)60%、ウール 25%、ナイロン 15%、裏側:PTFE、<中わた>ダウン 80%、フェザー 20%<裏地>ナイロン 100%

問い合わせ
ゴールドウイン
Tel: 03-3481-7250


Takao Watanabe◎1960年生まれ。大学卒業後、82年「ゴールドウイン」入社。30年以上にわたって日本における「ザ・ノース・フェイス」の事業に携わり、同ブランドの成長に貢献。2005年より取締役執行役員ノースフェイス事業部長、17年より取締役副社長執行役員。20年、創業家以外初として代表取締役社長に就任。

Kazuhide Sekiyama◎1983年生まれ。01年慶應義塾大学環境情報学部入学後、02年より山形県鶴岡市にある慶應義塾大学先端生命科学研究所を拠点に研究活動に携わり、04年9月よりクモ糸人工合成の研究を開始。博士課程在学中の07年9月、スパイバー株式会社を設立、代表取締役に就任。

Promoted by ゴールドウイン / photographs by Kenta Yoshizawa / text and edit by Miyako Akiyama