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2023.04.25 16:00

サーキュラーデザインでイベント業界からイノベーションを起こす

1967年に創業し、体験を通じてこれまでさまざまな企業のイベントプロモーションを支援してきた博展が、サステナブルなイベントづくり、ものづくりを促進させるための活動にアクセルを踏んでいる。彼らの主戦場であるイベントの場でいま、何を起こそうとしているのか。


体験を軸にしたさまざまなクライアントのイベントマーケティングを支援してきた博展は、年間1,000件を超える企業のイベントをプロデュースする。そのなかで、繰り返し出される廃棄物を前に、イベント業界からサステナブルなイノベーションを起こそうと、サーキュラーエコノミー、サーキュラープロダクトデザインに本気で取り組み始めた。

事の発端は、2016年に「サステナブル・ブランド ジャパン」の運営をスタートさせたことにさかのぼる。サステナビリティをブランドの競争力にしていくことをビジョンとしたコミュニティ運営だけでなく、イベントマーケティングにおいても環境負荷のない「ゼロ・エミッション型イベント」を顧客に提供するため、国際会議でも実装を試みている。サステナブルなマテリアルを活用したデザインや環境負荷を低減する工法の開発など、実験を繰り返しながら知見を集めてきた。

「循環のレシピ」の会場の様子。同イベントでもサステナビリティが実装された。

「循環のレシピ」の会場の様子。同イベントでもサステナビリティが実装された。



23年2月には、東京・丸の内で展覧会「循環のレシピ サーキュラープロダクトデザインの現在地」を主催し、サーキュラーエコノミーやサステナブルに触れる場も提供。カシミアに特化したプロダクトや、古材からつくられた建材、廃棄衣料繊維を原料としたボードなど、さまざまな企業がデザインしたサーキュラープロダクトを紹介し、その新たな可能性の提示にも努めている。

なぜいま、博展が本気でサステナブルに取り組むのか。同社サステナビリティ推進部サステナブル・ブランド事業部長の白川陽一、同社クリエイティブ局長 兼 サーキュラーデザインルーム ルームリーダーの鈴木亮介、そして、「循環のレシピ」に会場提供・企画協力した公益財団法人日本デザイン振興会 事業部 課長の川口真沙美に話を聞いた。

「自分の行動で社会は変わらない」その意識がいちばんの問題


鈴木亮介(以下、鈴木):「循環のレシピ」は、サーキュラープロダクトデザインにフォーカスし、その現在地や今後の展望を考える展覧会として開催しました。「循環型の経済モデルに切り替わっていることを示す事例」「使用する資源の量を減らすことで環境インパクトを下げつつ、循環させている事例」「循環可能でありながらも、長く使うことで循環速度を下げようとする事例」の3つのポイントを重視して製品を選定しました。

博展 クリエイティブ局長 兼 サーキュラーデザインルーム ルームリーダー 鈴木 亮介

博展 クリエイティブ局長 兼 サーキュラーデザインルーム ルームリーダー 鈴木 亮介



川口真沙美(以下、川口):サーキュラープロダクトの完成型と呼べるものは、まだ多くはないのが現状です。そのため、なるべく資源の循環のかたちが閉じている製品を選びつつ、再製品化するためには一部新しい資源を足さなければならないなど、「まだ完全ではない」ということも明示しました。だから「現在地」というタイトルにしたんですよね?

鈴木:おっしゃる通りです。博展が主催するからには、サステナブルやサーキュラープロダクトと出合う場そのものがゼロ・エミッション型になるようデザインしました。参加者の反応を見ていると、想像以上に循環に対して興味をもっていることがわかりました。一方で、それに対して自らかかわる方法がわからなかったという意見も散見されました。

白川陽一(以下、白川):サステナビリティや環境問題というと、範囲が広すぎて何から手をつければいいかわからないし、自分だけが行動しても社会に対するインパクトは与えられないと考えてしまう人も多いんですよね。事実、我々もそうでした。でもだからといって、何も行動を起こさないことがいちばんの問題です。サーキュラーエコノミーやサステナビリティに触れていただける場として、今回の展覧会は意義ある場になったと感じました。

サステナビリティの実装が新たな表現の可能性を広げる


鈴木:世界的に人口は増加し資源は枯渇していく。この問題を解決するためには、サーキュラーエコノミーを前提としたビジネスに切り替えていくことが、もはや不可欠です。大量生産・大量消費ではない循環型のモデルをつくることが新たな価値を生み、ビジネスチャンスになります。

川口:そうですね。製品をつくる前に、捨てることを考える―「どの素材を選び、どう廃棄されるのか」を考えることが必須の要件になってきています。そこまで設計するのが、いま求められているデザインなんですよね。

白川:当社の事業の中心にあるイベントや展示会は、終了後に大量の廃棄物が出ます。以前は、それを大きな課題ととらえることなく、プロジェクトに携わっていました。しかし、コロナ禍でイベントや展示会が中止となり、あらためて自分たちのクリエイティブを見つめ直す機会に直面し、このままスクラップアンドビルドを続けていった先に我々の未来があるのか、疑問を感じたのです。

これだけ「SDGs」や「サステナビリティ」というワードが認知され、それを意識した製品、サービスを開発していながら、イベントやプロモーションは従来のままという企業は少なくありません。ただ、イベントも経済活動の一環です。今後は持続可能なかたちに転換していくことが求められるでしょう。我々はそれに応えられるパートナーでありたいし、それが博展という会社を持続させていくうえでも必要だと考えているんです。

博展 サステナビリティ推進部 兼 サステナブル・ブランド事業部長 白川 陽一

博展 サステナビリティ推進部 兼 サステナブル・ブランド事業部長 白川 陽一



一方で、まだまだ環境負荷の低い素材を選ぶとコストが上がってしまうケースが多いため、サーキュラープロダクトをイベント自体に導入することについては、さまざまな制約のなかで優先順位が下がってしまうことがあります。お客様からの反応は半々というのが現状です。今後、つくり方を工夫して、いかにコストを下げていくかが課題ですね。

鈴木:同時に、クリエイティブ機能をもつ企業として、いかにユニークな方法で課題を解決していくか。サーキュラープロダクトだけを使用すると表現の幅が狭められてしまうという印象をもっている方も多いですが、逆に、いままでになかった表現が出てくる可能性を秘めていると思うんです。僕らとしては、そこにどんどんチャレンジしていきたい。

川口:イベントは一般的にはデザインと製作が分断していることがほとんどなので、デザイナーは終了後に施工物がどのように廃棄されるかまではあまり気にしていない事がほとんどです。しかし、サステナビリティが意識されることで、「こういう循環可能な素材がありますよ」と製作の現場サイドからの提案が出てくるかもしれません。どこから仕入れてどう捨てるか。いままでわからなかった部分がわかるようになることで、より高解像度のものづくりができるようになっていくのではないでしょうか。博展さんのもつクリエイティブとプロダクションの機能が、イベント業界から資源循環のイノベーションを起こしてくれるのではと期待しています。

公益財団法人日本デザイン振興会 川口 真沙美

公益財団法人日本デザイン振興会 事業部 課長 川口 真沙美



白川:イベントは短いスパンでスクラップアンドビルドを繰り返します。逆にいうとサーキュラーエコノミーやプロダクトデザインの実験をたくさん重ねることができ、フィードバックをすぐに得られる。その強みを生かして、得られた知見を社会へと共有していきたい。我々の取り組みをオープンにすることで、ほかの企業から情報をいただけることも増えてきました。サステナビリティの領域においては、競合関係よりも協創関係を意識することで、業界全体の底上げにもつながります。

鈴木:情報を開示して、同業、異業種問わず共創をしていくことで新しい価値を生み出していける。我々は積極的にさまざまな方々と取り組み、ユニークなアウトプットをつくっていけたらと考えています。

博展
https://www.hakuten.co.jp/

しらかわ・よういち◎博展 サステナビリティ推進部 兼 サステナブル・ブランド事業部長。2020年よりイベントへのサステナビリティ実装へのチャレンジをスタート。現在は自社のサステナビリティ推進と提供サービスへのサステナビリティ実装の推進を担当。

すずき・りょうすけ◎博展 クリエイティブ局長 兼 サーキュラーデザインルーム ルームリーダー。2023年よりサーキュラーデザインルームにてイベントの循環を軸にゼロ・エミッションイベントを目指す。

かわぐち・まさみ◎2006年より現・公益財団法人日本デザイン振興会に参加、国内外でデザインプロモーション業務にかかわる。14年にグッドデザインストア事業立ち上げ、17年からGOOD DESIGN Marunouchiの企画運営に従事。

Promoted by 博展 | text by Yukiko Anraku | photographs by Daishi Saito | edit by Miki Chigira