PCを購入しただけでは済まない、企業のPC運用。機種選定、購入、セットアップ、デバイス配布、故障時などのヘルプデスク対応、アップデート、果ては廃棄まで。IT部門は、PCのライフサイクル全体を支えなくてはならない。さらに2020年から始まったコロナ禍では、それらの業務に加えて、リモートワークなどの環境構築も加わり、多くの企業のIT部門が業務過多の状態に陥っている。
そうした課題を、環境配慮/シェアリングエコノミーの視点も含めて解決を図るのが、レンタルPCを軸とした横河レンタ・リースの新サービス「Cotoka(コトカ)for PC」(以下、Cotoka)だ。
果たしてそのサービスは、企業にどのようなメリットを与え、環境への取り組みにつながっていくのか。横河レンタ・リースマーケティング本部長の内田陽子に聞いた。
レンタルを原点にした循環型ビジネスモデル
横河レンタ・リースは、1987年に設立され、IT機器、計測器のレンタル事業を中心に企業へさまざまなソリューションを提供している。マーケティング部門を率いる内田は、Cotokaについて、以下のように語る。
「シェアリングエコノミー、サブスクリプションなどの言葉が生まれる以前から、私たちは大手製造企業を中心に、IT機器、計測器などの最新機器のレンタルサービスを提供するとともに、自社開発ソフトウェアの提供、サーバ等のITシステム基盤の構築、販売と、それに伴う保守メンテナンスまで行ってきました。現在数千社とお取引させていただいており、約100万台のPCを保有し、管理・運用のノウハウを、日々積み上げています。
こうした積み重ねのなかでPCのライフサイクル(調達、導入、運用、リプレース)サービスを提供してきましたが、さらにお客様にヒアリングを行うなかでたくさんのヒントや要望があり、『PCを管理・運用する』という概念から『サービスを利用するだけ』という体験(=コト化)に変革したサービスCotokaを、2022年4月にリリースしたのです。」
レンタルというと短期利用のイメージがあるが、実は企業の需要は2〜4年の長期利用が8割以上だと内田は言う。Cotokaのサービスはまさに時代の要請だったと言えるだろう。
「お客様の環境に合わせてセットアップした状態でお届けし、壊れた場合には、サポートセンターにご連絡いただくだけで、同等機種の代替品をすぐ届けるレンタルサービスを展開しています。そのうえで、レンタルした後、返却された機器は当社テクニカルセンターでメンテナンスと徹底したクリーニングを行い、再度レンタルに活用したり、再販をします。つまりこの仕組みは、PCにまつわるシームレスな循環型ビジネスモデルをサブスクリプションで提供する、SDGsな取り組みそのものなのです」
この長年「所有から利用へ」をコンセプトにサービスを提供してきたノウハウを結集・進化させたのがCotokaなのだ。
社員への直接サポートと万全のセキュリティ
では具体的に、Cotokaはどのようなサービス内容なのだろうか。「Cotokaは、PCを管理・運用するというモデルから『体験=コト化』のモデルへ変革するプラットフォームです。社内のIT管理者が行うのは、クラウドで各社内ユーザーのアカウントに、適切なサービスを適用するのみ。その後PCの配送、デバイス管理、ヘルプデスク、故障交換、代替機器の提供などの業務はすべてCotokaが担います。
Cotokaはクラウドを通じて、ユーザーと直接コミュニケーションをとって手続きを進めるので、IT管理者の手を
煩わせることはありません。各ユーザーのアカウントは、あらかじめMicrosoft 365に自動登録され、Windows Autopilotで企業ポリシーに合わせたセキュリティが適用されたセットアップが自動的に完了します。ユーザー自身で設定しなくてもすぐに使い始めることができるのです」
コロナ禍によって浸透したリモートワークは、「いつでもどこにいても生産性の上がる環境」「いつどこからアクセスしても安全な環境」の構築という新たな課題をIT部門に突きつけた。Cotokaは、その解決ソリューションにもなると内田は言う。
「配布されるPCはリモート環境にも対応しています。IT部門を通さずに、Cotokaで、配送先をテレワーク中の個人宅に設定することもできます」
さらにリモート環境で求められるセキュリティは、標準装備の「Flex Work Place」が担う。これはユーザーのPCにデータを保存することなく、自動的にクラウド上に保存するデータレスPC ソリューションだ。PC持ち出し時の漏洩リスクを根本から削減し、PC交換時のデータ移行を簡便にできるメリットもある。さらに、CotokaにてPC自体も定期的に最新型に交換することで、古いPC環境が引き起こすセキュリティリスクを低減できるという。
「Cotokaはこれらサービスすべてを、サブスクリプションで提供しています」
PC運用のエコシステムによって、環境保全に貢献
PCを軸に、持続可能なシェアリングエコノミーを構築するCotoka。環境への配慮について内田はこう語る。「購入したPCは、いずれ廃棄処分となり、環境の負担となります。しかしCotokaなら、利用後に返却されたPCを再利用、もしくはリセールにつなげることができます。結果、製品自体の寿命延長につながり、廃棄の機会を減らし、環境保全に貢献できると考えています」
さらに、横河レンタ・リースのビジネスを通して社会に貢献したい顧客企業をサポートする取り組みも行っていると内田は説明する。
「当社は、NPO法人『ライツオン・チルドレン』との協働により、社会的養護下にある子どもたちを支援しています。支援のスキームは、ライツオン・チルドレンがお客様から寄付していただいたPCを当社に売却し、その資金で子どもたちに必要な機材を購入するというものです。データは当社にて消去しますので、お客様はデータ漏洩などの心配をすることなく安心して寄付いただき、スムーズに社会貢献を実現をすることができるのです。
こうした取り組みを含め、私たちは今後も、お客様の業務効率化と環境課題の取り組みの両方に貢献できる、サービス創造提供カンパニーであり続けたいと考えています」
横河レンタ・リース
(新時代のデバイス体験 Cotoka for PC)
https://www.yrl.com/cotoka-for-pc/
うちだ ようこ◎ 1996年入社。レンタルの営業、サービス企画などを経て、2019年より営業統括本部 マーケティング本部長に就任