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2023.01.31

現場目線と経営目線の複眼でAIプロジェクトを推進〜児玉拓也(AIビシネスプランナー)<電通グループで働くネクスト・クリエイターの肖像#4>

日本国内の電通グループ約160社で構成される「dentsu Japan」からネクスト・クリエイターの目覚ましい仕事を紹介していく連載企画。今回は、これまでの各回で登場してきたようなクリエイターたちを束ねていく立場の児玉拓也が登場。Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香が、彼の複眼思考に迫った。


——有能な経営者は変化を脅威ではなくチャンスと見る。変化を社内外にわたって体系的に観察し、「どうすれば、この変化をチャンスとして利用できるか」と問いかける。——

2004年、『Harvard Business Review』誌への最後の寄稿となった論文『プロフェッショナル・マネージャーの行動原理』でドラッカーは上記のように述べた。

時は流れて2023年。この時代に起きている変化そのものであり、変化を体系的に観察するうえでも欠かせなくなっているのがAIだ。すなわち、AIそれ自体がチャンスになり、チャンスを生み出すための起爆剤にもなっている。


プロジェクトを統べる者は、チャンスを吟味・分析し、適切な対策を立てなければならない。

電通でAI MIRAI統括/AIビジネスプランナーを務める児玉拓也は、そういう視点を有する人間だ。

グループ横断プロジェクト「AI MIRAI」を統括する若きリーダー

谷本有香(以下、谷本):まずは、児玉さんのキャリアパスからお聞かせください。

児玉拓也(以下、児玉):電通に入社したのは、大学の文学部を卒業した07年です。それから9年間は営業畑を歩んできました。国内外の大手企業やテクノロジー系企業などを担当した後、経営企画のセクションを経て、また営業(現在のビジネスプロデュース局)に戻っています。一方で、電通では15年10月からグループ会社であるデータアーティスト社と共同で、過去の視聴率データ、番組ジャンル、出演者情報、インターネット上のコンテンツ閲覧傾向などのデータを教師データとしたディープラーニングによるモデル構築を始め、放送前のテレビ視聴率を予測するシステムの研究開発を行ってきました。

そのシステムのβ版を使って高精度な視聴率の検証プロジェクトをスタートしたのが、17年6月のことです。経営企画のセクションにいた当時にそうした流れを見てきて、「これからはAIが私たちのビジネスを大きく変えていく」という直感が確信に変化していったことを覚えています。

谷本:AIを使ったテレビ視聴率予測のプロジェクトについては、以前(当連載の第2回目)にデータアーティスト社のデータサイエンティストである鈴木初実さんからもお話をお聞きしています。「『いいデータと(人間の)いい判断』の部分で、電通グループは違いを生み出せる」と鈴木さんがおっしゃっていたのが印象的でした。

児玉:まさに私もそう思っています。私たちのグループにはいいデータが集まっていることに加えて、いい判断ができる(議論・翻訳・傾聴ができる)人財も集まっています。AIの活用により、電通グループが未来のビジネスにおいて明らかな違いを創出し続けることを目的として、18年にはグループ全体のAI活用を推進するプロジェクト「AI MIRAI」が立ち上がりました。私は、このプロジェクトで「統括」というポジションに就きながら、自分自身も「AIビジネスプランナー」としてこれまでに60件以上のAI関連開発案件に関わってきました。


児玉拓也 電通 AI MIRAI統括/AIビジネスプランナー

谷本:その「AI MIRAI」というプロジェクトの概要と、「AIビジネスプランナー」というお仕事の要諦を教えていただけますでしょうか。

児玉:「AI MIRAI」は18年に15人ほどでスタートし、現在では200人を越えるメンバーが集まっています。私たちのグループならではの社会や人間に対するインサイト、アイデア、ネットワークをAIというフィールドに応用していくプロフェッショナル集団です。いろいろな肩書きの人間が集まっていますが、そのなかでも「AIビジネスプランナー」は、翻訳者とも言える役目を果たすことが仕事の要諦ではないかと考えています。

「技術の世界の言語をビジネスの現場で使われている言葉に変換していく」ということです。テクノロジーの中身を知っているのはもちろん、AIをビジネスに活用する際のコツや落とし穴など、より実践的な視点をもち合わせていなければなりません。

谷本:「AIビジネスプランナー」がテクノロジーとビジネスの橋渡し役になるわけですね。いまの日本には、そのような職能を果たす人間が必要であることをForbes JAPANでも理解し、さまざまな形で記事にしてきました。そうしたプロフェッショナルのなかでも児玉さんが強みにしているのは、どのようなところでしょうか。

児玉:営業と経営企画というこれまでのキャリアパスからミクロとマクロの視点を合わせもつことができ、複眼で現状を捉えられるというところでしょうか。

複眼思考で電通グループの経営をエキサイティングにしていく

谷本:現場目線と経営目線の両方をおもちでいらっしゃると……。世間一般ではDXやAIのプロジェクト推進において「現場の声を経営サイドが理解できない」「経営戦略においてひとつの手段であるはずのDXやAIが現場では目的化している」といった具合に、社内の意思疎通に齟齬(そご)が生まれがちです。これまで複眼思考の児玉さんがグループ横断のAI推進プロジェクト「AI MIRAI」の統括を任されてきたことの意味もよく理解できる気がします。これからのさらなる活躍に期待がかかるところですね。

児玉:実は23年からは、グループ全体の協業を促したり、経営戦略をハンドリングしていく役割である持株会社に出向していて、経営企画の任務に就いています。

谷本:これからはグループ全体の経営企画を担われていくわけですね。児玉さんがそのようなポジションに就かれたということは、今後は電通グループにおいてAIが間違いなく成長ドライバーのひとつになっていくということですね。


谷本有香 Forbes JAPAN Web編集長/執行役員

児玉:私たちグループによるAIの施策が自分たちの成長ドライバーになるだけでなく、社会がよりよくなっていくための力になれたら、と考えています。

谷本:そういう意味では、視聴率予測やバナー広告自動生成、コピー自動生成といった事例のほかに、社会を変える可能性を感じていらっしゃるAIのソリューションはありますか。

児玉:AIチャットボットが自動で対象者の一人ひとりにデプスインタビューを行い、人間のインサイトを深掘りする「Smart Interviewer」(電通と電通マクロミルインサイトが共同開発)には大きな可能性を感じています。お客様接点のポートフォリオを充実させる。より高度化していく。そして、お客様理解の解像度を上げていく。これらは企業とお客様のつながりを深めてLTV(ライフ・タイム・バリュー)を最大化するために不可欠な仕事です。

お客様の言葉に対して高精度な自動応答を実現するAIチャットボットは、業務の効率化という観点を遥かに超えて、B to Cにおいても、B to BにおいてもLTV最大化に向けての切り札になり得ます。また、22年はテキストプロンプトを入力するだけで高精度の画像を作成できるツールが英国や米国の会社からオープンソースとして世界に公開され、「画像生成AI元年」とも言われました。画像生成の領域も私たちのビジネスを変えて、社会をおもしろくしていく可能性に満ち溢れています。これから、電通グループにとってもさまざまなチャレンジが考えられるでしょう。

谷本:未来において、電通グループはAIを活用することで社会に対してどのような価値を提供していくことになるのでしょうか。そのために、電通グループはどのような姿であるべきだとお考えでしょうか。

児玉:私たちは、エクスペリエンスを設計するグループなので、単に生産性を向上させるというよりは、テクノロジーとエクスペリエンスを結びつけて世界でもユニークな存在になっていきたいと考えています。「AIと人間はとかく対立軸で語られがちですが、機械にできることを使って人間が何をやるか」という意味では、AI活用もすべて人間の営みです。

だから、かつてないアイデアやソリューションを生み出すために、まずは私たち自身が多様な視点をもち合わせていなければなりません。多様な個性がフラットに集まり、誰もがどこからでもアイデアを生み出せるオープンな環境が私たちのグループの強みです。これからも、その部分を磨き抜いていきます。

AIは「人間とは何であるか」という根源的な問いを投げかけてくる存在だ。生産年齢人口が減少していく日本において、AIと人間の有機的・創造的な共創は未来を切り拓く力になる。これから先、人間の頭脳と肉体は、貴重な資本として社会における重要性がよりいっそう高まっていくに違いない。

人的資本の価値を最大限に高めるために、これからの人間は人間にしかできない仕事の質を高めていく必要がある。それはすなわち、「人間とは何であるか」という根源的な問いに答えることであり、AIとの共創の質を高めることでもあるだろう。

いまは、人間力の再開発時代であり、AI力の新開拓時代であり、それらの美しき融合が求められる時代だ。人間が体温をもつことの意味を探りながら、AIに人間の体温を乗せていく、電通グループのさらなる活躍に期待したい。


児玉 拓也◎2007年、電通に入社。営業畑でデジタルプラットフォーマーなどのクライアント担当プロデューサーとして活動した後、経営企画のセクションに移動。18年からはAIの活用を社内外で推進するプロジェクトチーム「AI MIRAI」の統括として、数多くのAI関連開発案件に関わる。電通国際情報サービスに出向し、UXデザインセンターのマネージャーを務めた後、23年からは持株会社である電通グループに異動してグループ全体の経営企画を担う立場に。

連載 電通グループで働くネクスト・クリエイターの肖像
#1 公開中|「データで駆動するAI」と「感情で駆動する人間」の関係性を変える|石川隆一 
#2 公開中|議論と翻訳と傾聴がデータを生かす道|鈴木初実(データアーティスト)
#3 公開中|技術と人間の接点に感動を|村上晋太郎、岸 裕真、西村保彦
#4 本記事|現場目線と経営目線の複眼でAIプロジェクトを推進|児玉拓也(AIビシネスプランナー)

Promoted by dentsu Japan / text by Kiyoto Kuniryo / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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