ベンチャーキャピタリストとしてのキャリアをスタートしたばかりの頃の私には、成功した起業家がスーパースターのように映っていました。雑誌やイベントで輝く彼や彼女たちは、まるで無敵のように見えました。まだ起業家とともに山あり谷ありの仕事をした経験が少なかったことから、起業家は一夜にして簡単に成功するものだという幻想を抱いていたのです。
しかし、起業家と一緒に仕事をしていると、彼や彼女らも人間であり、誰もが何度も辛い思いをしていることに気づかされます。私たちと同じように多面的なのです。無敵に見えるときもあれば、自信が揺らいだり、なくなったりする辛い時期もあります。起業家は誰でも、こうした浮き沈みを経験してます。カーテンの裏側をよく見れば、完全無欠な天才創業者はいないのです。
長期的に成功する起業家は、努力を続け、耐えているのです。「ワークライフバランス」という概念は賛否両論ありますが、以前にも申し上げたように、本当に一流を目指すのであればハードワークが必須条件です。世界で最も才能のあるアスリートたちは、トップになるためにほぼすべての時間をトレーニングに捧げています。それは世界的な起業家であっても変わりません。世界の一流は、並外れた才能があるだけでなく、懸命に働き、あきらめないのです。
また、大成功した起業家は、優れた人材を惹きつける魅力も兼ね備えています。帝国は一人で築けるものではありません。優れた才能と意欲を持つ人々が集まり、共通の使命に向かって突き進むことが必要なのです。
そして最後に、成功した起業家は運がいいものです。現実には、どんなに頭が良くて能力があっても、運も作用します。早くから運に恵まれる人もいれば、そうでない人もいます。しかし、粘り強く努力を続ければ、いずれは運に恵まれるようになる。それは確率の問題なのです。
私たちは幸運にも、このような優れた人たちを数多く支援してきました。その中でも思い浮かぶのはShippio創業メンバーの佐藤（孝徳）さんと土屋（隆司）さんです。Shippioはレガシーな既存企業に支配され、非常にアナログな貨物輸送業界のためのソリューションを構築しています。この業界をデジタル化するにはどうすべきか、何年もかけてお客様や関係者と話し合い、考えてきました。私は、この大きな課題に対する揺るぎないコミットメントを心から賞賛しています。
