Masaは世界中のNFT/GameFiプロジェクトでファウンダーやコミュニティ・マネジャーロールを担い活躍中、里村はアドビ社の常務執行役員兼CMO、西村は日本暗号資産ビジネス協会広報部会長、日本ブロックチェーン協会エバンジェリスト、アドバイザーなど多彩なキャリアがあり、これからの動向が注目される3人だ。
トークセッションのテーマは、Web3.0、NFTなどの世界のトレンドと日本の状況について。ブロックチェーンの最先端を見てきた立場からそれぞれの意見が語られた。
NFTで加速する日本の熱量
モデレーターとして西村は、2015年はまだ仮想通貨が怪しいものとみられていた時から最近NFTが注目されるまで、ここ数年の動きをどのように見ているか問いかけた。
日本ブロックチェーン協会アドバイザーの西村依希子
Masaは2017年にドイツのWeb3.0サミットに参加した際、日本人は片手ほどしかいなかったが、現在国内のNFTイベントなどでは数千人が参加するなど、日本の熱量が上がっていると語り、今後はイベントに参加できたり、実際に商品がもらえたりといった、ユーティリティーと呼ばれる継続的でリアルな特典があるNFTが注目されていくように感じると述べた。
また里村は、NFTではこれまで有名アーティストや大企業の動きが多く取り上げられてきたが、今後は個人がクリエイティビティを発揮していくだろうと解説。アドビ社の取り組みとしても個人が活躍できる場の提供を通じてサポートし、プロダクト面でもあらゆるアートの一環としてNFTもサポートしていく予定であると語った。
メタバースのオペラハウスにあらゆる芸術が集う「Opera meets Metaverse supported by Mitsubishi Estate」
続いて、Masa、アドビ社が共に携わっている、『Opera meets Metaverse supported by Mitsubishi Estate（以下オペラ・ミーツ・メタバース）』についての話題に。オペラや声楽コンサートの公演プロデュースをはじめとしたクラシック音楽の振興活動を続ける一般社団法人奏楽会が立ち上げ、統括するこのプロジェクトは、オペラや舞台に限らず、映像、絵画、デザイン、文学など、あらゆるジャンルの文化・芸術がリアルでもメタバース上でも出合い、人々がそこに集い、楽しむことを目的としている。そのためのバーチャル上のコミュニティ・ハブとなる『オペラハウス』を仮想空間のメタバース上に作ろうというのだ。
この『オペラ・ミーツ・メタバース』プロジェクトはワーキングコミュニティ「有楽町『SAAI』Wonder Working Community」など、コミュニティの場づくりにも実績のある三菱地所が協賛し、Forbes JAPANがメディアパートナーである。その活動には、NFTコレクションの発表と運営、リアルの文化芸術イベントや公演の展開、メタバース上のオペラハウスの創設と運用の三つの柱があり、その第一弾は7月に発表されたKawaii Meta Collage、NFTコレクションであった。また、第一回のリアル公演には、千代田区文化事業助成対象事業『ニーノ・ロータのオペラ』を12月に予定、この作品は来年年明けに完成し、運用が開始されるメタバース上の「オペラハウス」のこけら落とし公演の素材ともなる。今回アドビ社は『ニーノ・ロータのオペラ』の公演ポスターのコンテストを主催して文化・芸術創造の場を、現実と仮想空間をクロスオーバーさせながら広げていくこのプロジェクトを支援している。
「オペラという言葉は、元々イタリア語で”work”という意味。日本語にすると『仕事や作品」です。ここではオペラという言葉を総合芸術という文脈で使っています」とMasa。Web3.0上でありとあらゆる分野のクリエイターを支援したいという気持ちでこのプロジェクトを動かしている、と想いを語り、里村も「クリエイティブとかクリエイターといった時、何か一つの定義であまり縛りすぎたくない。今回はポスターというリアルなアートでの支援となったが、NFTを含めた様々なクリエイティブを何らかの形でサポートしたいと常に考えている」とアドビ社の役割を語った。
世界中のNFT/GameFiプロジェクトでファウンダーやコミュニティ・マネジャーロールを担っているMasa
バーチャルとリアルを融合する新しいプロジェクトが誕生
オペラ・ミーツ・メタバースの具体的な活動の第一弾であった、NFTアーティストのカズシフジイによる「Kawaii Meta Collage（カワイイ メタ コラージュ）」のNFTコレクションは、現在でも着せ替えNFTプロジェクトであるDress your Kawaii upをはじめとした新しい活動を展開している。さらにリアルな文化芸術とバーチャルのクロスオーバーがテーマである本プロジェクトのリアル公演の第一弾は千代田区文化事業助成対象事業『ニーノ・ロータのオペラ』であり、12月24日（土）・25日（日）に大手町の日経ホールにて開催される。
「Kawaii Meta Collage」は、NFTプロデューサーの山下勇登（ユアブライト株式会社取締役、ハンドルネーム：はやっち）のプロデュースで、日本を代表するNFTアーティストであるカズシフジイの「Kawaii Girl Collage」を、ジェネラティブアートにし、パブリックブロックチェーンプラットフォームの一つであるイーサリアムで発表したところ、5,555枚全てのコレクションが即完売。
12月のオペラ公演はもちろん、そのコレクションを持つ1,000人以上のホルダーとディスコードに集う5,000名以上のコミュニティにおいて、メタバース空間だけではなくバーチャルとリアルを紐づけて融合するような現実世界のイベントを企画している、と現状を伝えるMasa。10月20日（木）にはVenture Café Tokyoで、五嶋龍とプロジェクトのファウンダーである武井涼子のリアル・トークイベントも開催される。壇上で海外と日本のコミュニティの違いを聞かれると、「海外は投機目的で参加する人が多いが、日本はそのプロジェクトの目指す先に共感する人が、長くコミュニティにいるという”ガチホ”（ガチでホールド、長期保有の意味）が多い」と、反響の良さを実感している。里村も「実は日本のクリエイターの方々の方がエンゲージメントは高い」と分析。参加者のロイヤリティがしっかり長く続く傾向はアドビ社の持っているコミュニティでも特徴的だと語った。
『ニーノ・ロータのオペラ』は、イタリアの作曲家ニーノ・ロータのオペラ3作品を上演する。ニーノ・ロータは今年公開50周年をむかえる映画『ゴッド・ファーザー』のほか、フェデリコ・フェリーニ監督のほぼすべての作品の音楽も手掛けた映画音楽の巨匠で、彼の手掛けたオペラはミュージカルの源流ともなる、誰もが楽しめる音楽であり、オペラの初心者にも最適。公演にあたりアドビ社がポスターコンテストを開催（募集は終了）。千代田区文化事業助成対象事業にもなっているため、コンテスト優秀者5名の作ったポスターは、2022年11月から4週間、千代田区内の50カ所以上で展示される。最優秀者にはNFTコレクション制作のプロデュースを受ける権利があり、現在コレクションづくりが進行中だ。
アドビ社の常務執行役員兼CMOの里村明洋
セッションでは、里村はアドビとしての今後の抱負を次のように述べた。
「アドビ社としてのメッセージである『Creativity for all』で全ての人につくる力を与えていく活動をこれからも実施したい。メタバース上に多くの人が参加する活動の土壌が出来上がりつつあり、クリエイティブな可能性が存在する今、リアルとデジタルを融合し、それをどう表現していくか。アドビ社としてもしっかりとサポートしていきたい」
Masaは自らもアンダー30であることに触れ、「一緒に世界を変えていきましょう」と呼びかけ、セッションは終了した。
すべての文化とそこに関わる人々の出会いをメタバース上に創出する「オペラハウス」とそれを起点にリアルとバーチャルの文化芸術の融合を目指すオペラ・ミーツ・メタバース。21世紀を代表するアーティストやプレイヤーがここから生まれ、コミュニティが育てていくといった、ビッグドリームがリアルタイムで見られるかもしれない。今後の活動に要注目だ。
一般社団法人奏楽会 事務局
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Kawaii Meta Collage
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@KawaiiMetaNFT
ニーノ・ロータのオペラ Opera di Nino Rota
特設ウェブサイト：https://www.ninorotaopera.com
公演ポスターコンテスト
https://blog.adobe.com/jp/publish/2022/05/23/cc-design-opera-meets-metaverse-nino-rota-poster-contest
