研究チームは5月末に精神薬理学ジャーナルに発表した論文で、CBDの経口治療は、たとえ投与量が多くとも「酩酊(めいてい)感を誘発しないとみられ、認知機能や運転の能力を損なう可能性は低い」としている。
研究チームが行った実験では、17人の参加者が、偽薬とCBDオイルを3つの異なる量(15ミリグラム、300ミリグラム、1500ミリグラム)摂取し、シミュレーターにより運転試験を受けた。試験は、先行車との安全な距離の維持、高速道路や田舎道を想定した道路の走行の2種類が実施された。
血漿(けっしょう)中のCBD濃度は経過時間によって幅があるため、参加者は摂取の45〜75分後に1度目の試験を受け、さらに3時間半〜4時間の間隔を空けて再度同じ試験を受験。偽薬と3つの異なるCBD投与量で、試験を計4回繰り返した。
結果、CBDはどの量でも酩酊感を誘発せず、運転や認知の能力を損なわないとみられることが分かった。ただ研究チームは、摂取の直後や継続的な投与の結果、安全性への注意が必要なタスクに影響が出ないことを確認するには、さらなる研究が必要だとも述べている。
CBDは、大麻の主成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)と違い、酩酊感を引き起こさないことが分かっている。2020年に米国医師会雑誌(JAMA)に発表された別の研究結果では、バポライザー(気化器)を使ったCBD摂取による運転能力の低下は見られなかったが、THCや、THCとCBDを同量含む大麻を使用した場合は、路上の走行試験で短期的な運転能力の低下が認められている。
CBDの人気は近年上昇。CBDには抗炎症や鎮痛の作用があり、特定の病気の治療に対し効果があることが、複数の研究で示されている。米国では2018年、THC含有量が0.3%未満であることを条件に、CBDなどの大麻化合物が合法化された。
しかし、米食品医薬品局(FDA)が承認しているCBD薬品は「エピディオレックス(Epidiolex)」のみで、1歳以上の患者を対象にレノックスガストー症候群とドラベ症候群の発作を治療するために使用されている。