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2022.02.25 20:00

「モノ」から「コト」へと広がるカデンの未来を描く。パナソニックで新規事業創出を担う「ゲームチェンジャー・カタパルト」の現在地

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2016年、パナソニックが「未来のカデン」創出へ向けて、社員の企業内起業を強力にアクセラレートする新規事業創出プラットフォームとして立ち上げた「ゲームチェンジャー・カタパルト(GCC)」。創設6年目を迎えた同プラットフォームはどのような進化を遂げているのだろうか。先行き不透明な時代に向けて新体制を始動したパナソニックにおける位置づけもより重要性を増している。GCCのプランニングリード杉山覚と同ビジネスデザイナーの向奥裕基に現在の取り組みを聞いた。


社会課題解決を企業活動のコアに


将来の予測が困難な「VUCA(ブーカ)」の時代において、GCCは、世の中にある課題を起点にした新規事業の創出を目指している。GCCのプランニングリード杉山覚がその狙いについて説明する。

「今後の消費を牽引するのはZ世代やミレニアル世代だと言われていますが、これらの世代はジェンダーや人種、気候変動など社会課題に対する関心が非常に高く、企業には、事業を通じて社会をよりよくする姿勢が求められてます。それを既存事業の後付けだけで進めることには限界があります。社会課題解決そのものを企業活動のコアにしなければ受け入れてもらえない時代になっているのです。誰ひとり取り残さないといったSDGsやダイバーシティを認めていくという発想が大事であり、社会課題解決型の事業を支援していくことが私たちの使命です」

GCCでは毎年ビジネスコンテストを開催し、応募された事業プランの中から可能性のあるプランを見出し、事業化を支援している。その活動規模は年々大きくなっていると、同ビジネスデザイナーの向奥裕基は言う。

「社内外の多くの方々から期待されていることを感じています。この6年間で、2500名以上の社員が何らかの形で活動に携わっています。個人の想いと多様性を重視しながら形にしていくことがGCCのミッションですが、世の中のニーズもあり、活動の意義や重要性がますます高まっていると感じています」

GCCはビジネスコンテストの開催だけでなく、毎月外部の専門家を招いてセミナーや勉強会を開き、新規事業を創出する風土を醸成してきた。そうした地道な取り組みによって、GCCに賛同する人が着実に増えているのだ。

パナソニックは4月から持株会社制へ移行し、新体制をスタートさせる。新体制でGCCは、CEO品田正弘の直轄となり、各事業領域を横断的にカバーするようになる。それはグループ内でのGCCに対する期待の表れであり、各領域の強みを生かし、多様な社会課題に対応するための体制を整えたと言えるだろう。

GCCが力を入れているのは、ユーザーがお金を支払う有償検証を取り入れていることだ。一般的な検証でよくあるのは、製品やサービスを利用してもらったユーザーに感想を聞くと非常に好評なのに、お金を払って使用を継続したいかを聞くと、途端に反応が鈍くなることだ。それを有償にすることで、ユーザーの反応はより率直になる。

「効率的に開発を進めるためには、早い段階でお客様にとって価値があるかを見極める必要があります。有償にすると、検証に参加してくださるユーザーを集めるのに苦労する時もありますが、その集めること自体が一次検証になります。本当に価値がない場合、参加者は集まらないからです」(杉山)


杉山 覚 ゲームチェンジャー・カタパルト(GCC)プランニングリード

今年度のビジネスコンテストにも多くの事業プランが提出された。最終選考には6つのプランが選ばれ、現在、社会実装に向けた検証が行われている。以下、それらのプランを紹介する。

発達に特性のある子どもの強みを伸ばす「Ipsum」


Ipsum(イプソマ)」は、発達に特性のある子どもの個性を強みにする教育サービスだ。発達に特性のある子どもをもつ家庭では、子どもが将来自立できるかを悩む人が多い。個性を強みとして伸ばすことで、スムーズに自立できるよう支援するのが狙いだ。プランを起案したチームリーダーの家族に知的障がい者がいることから、この発想は生まれた。

Ipsumは4つのサイクルによってサービスが成り立っている。まずは、専門家の知見を基に作成したアンケートに答えてもらうことで、子どもの強みを探る。強みがわかったら、知育玩具やワークショップを活用してその強みを伸ばす。カメラで子どもの様子を撮影し、センサーを使って効果を分析・評価する。その結果をみて課題を専門家に相談する。この4つのサイクルを回すことで、子どもの強みを伸ばしていく。向奥が説明する。

「PDCAサイクルを回し、最適なレッスンを提供することによって、お子様それぞれの強みを伸ばします。教育は、サービスを一度提供しただけでゴールにたどり着けるものではありません。ゴールに向けて少しずつ積み重ねていくというプロセスが非常に重要なのです」

強みを伸ばす知育玩具やワークショップ、効果を分析するカメラやセンシングは、パナソニックが培ってきた技術が生きる。感情などを推定するためのセンシング技術を開発中だという。同社の技術に専門家や外部の企業を巻き込むことで、サービスをつくり上げようとしているのだ。

2021年12月から有償検証を実施しているが、ユーザーからは好評で、お金を支払って引き続き利用したいという声は多い。その反響をみて杉山は、発達に特性のある子どもだけでなく、すべての子どもに有用なのではないかと思うに至ったという。

「私が日本の教育で感じるのは、画一的で、多様性を認めづらい文化であるということです。しかしこれからの時代では、子どもがもっている個性を潰してしまうのではなく、常識にとらわれずに早い段階で伸ばしてあげることが重要です。Ipsumは、それを実現できる可能性を秘めていると考えています」



蒸気浴でココロとカラダの不調の波を穏やかにする「FLOWUS」


FLOWUS(フローアス)」は、ココロの不調をカラダの症状に出さないために、蒸気の力で一日をリセットさせる新習慣を提供するサービスだ。社内外の女性にヒアリングすると、20~30代を中心に職場のストレスなどが原因で、気が付かない間に心身のバランスを崩して休職し、不安を抱えたまま復職している女性が少なくないということがわかった。チームリーダーもそうした経験をしたことから、FLOWUSは起案された。

その課題解決の方法として着目したのはサウナだ。サウナにはさまざまな効果があるが、高温の蒸気で温めることで、不眠を改善する効果もある。しかし、不調を抱える女性がサウナまで足を運ぶのは簡単ではない。そこで生まれた発想が、自宅の浴室でいつでも気軽に蒸気浴ができる小型家電だった。

製品には、パナソニックがもつミスト技術を活用する。サウナと同等の温感帯43℃以上と相対湿度99%の環境をつくり上げることで、短時間で体の深部温度を上げ、心拍数を軽い運動をした程度に引き上げる。それによって、イヤなことを考えなくなり、ぐっすり眠りやすくするのだ。

プロトタイプで検証を行ったところ、「熟睡できて倦怠感なく目覚めた」「利用中、何も考えなかった」など効果を実感した声が多かったという。



コデカケ」は、聴覚障がい者の外出を支援するデバイスだ。聴覚障がい者は特に後方の音が聞きづらく、外出時には強い緊張を強いられる。コデカケを装着することによって、後方から接近してくるものを察知することができるようになるのだ。

検証を行ったところ、従来は周囲の状況を気にするあまり、親子で会話することができなかったが、コデカケを使用することで会話ができるようになったという喜びの声が聞かれた。「人と人との絆を強くするツールになりうる」と杉山は期待を寄せる。



kagaMe」は、マインドフルな思考法をサポートするためのデバイスだ。音声誘導を通じて自分に合った呼吸瞑想のトレーニングをすることで、マインドフルの思考が醸成される。自分が日々感じているストレスを軽減することができるようになるのだ。

COYA」は、父親と母親が乳幼児の育児を協力して行うことを目的としたアプリだ。育児の目標を設定してTO DOを作成し、それをふたりで共有することで、お互いにいつ何をしたらいいかがひと目でわかる。育児状況も見える化できるので、父親の育児への関与がわかり、毎日育児に追われている母親のストレス軽減の効果も期待できる。

ツヅクンデス」は、高齢者の自立歩行寿命を延ばすためのオンライン運動教室だ。専門家がオンラインでリアルタイムにフィードバックすることで、ユーザーは効果的に歩行寿命を延ばすためのエクササイズをすることができる。


いまの時代にこそ求められる松下幸之助のDNA


GCCには、こうした社会課題を解決するための事業プランが続々と寄せられている。同プラットフォームはその情熱の具現化と社会実装を後押ししているが、その実現に向け、向奥は確かな手応えを感じている。

「GCCは、多様な人がそれぞれの想いをもって集まる集合体だととらえています。いろいろなバックグラウンドをもち、世の中を変えたいという想いをもった人たちがどんどん集まってきています。そうした人たちの想いを掛け合わせてイノベーションを起こせば、とてつもない熱量をもった、アイディアが生まれるはずです。私たちはそれを実現するための活動を推進し、パナソニックのイノベーターとして引き続き挑戦していきます」


向奥 裕基 GCC ビジネスデザイナー

その取り組みは社内だけで完結するものではなく、共感する事業者や専門家を巻き込むことで、オープンイノベーションへと発展する。それによって、より大規模な社会貢献が可能になるのだ。GCCの取り組みはパナソニック創業者・松下幸之助の理念そのものだと、杉山は強調する。

「私が最近感じるのは、松下幸之助が考えた経営理念やマインドがいまの時代に通じるということです。利益を生み出すことと社会善を並行して実現すべきというのが現在の世の中の流れですが、松下は『企業は社会の公器』という言葉を残しています。パナソニックは社会に貢献するために事業活動をしており、その使命の達成に対する報酬として利益を得られる。まさにGCCが目指していることです。創業者のDNAをもって新規事業の創出に取り組み、いっそう社会に貢献してまいります」

ゲームチェンジャー・カタパルト(GCC)
https://gccatapult.panasonic.com/

杉山覚(すぎやま・さとる)◎ゲームチェンジャー・カタパルト(GCC)プランニングリード。洗濯機事業の企画、インドでの事業開発、ベトナムでの企画責任者を経て現職。中小企業診断士。

向奥裕基(むかおく・ひろき)◎GCC ビジネスデザイナー。コールドチェーン事業部にて冷蔵ショーケースの設計開発をするかたわら、2017年にGCCのビジネスコンテストに2期生として参加。19年より現職。

Promoted by Panasonic|text by Fumihiko Ohashi|edit by Akio Takashiro