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2021.12.17 16:00

「ごきげんはイノベーションを生み出す」──岸 博幸、佐賀文宣、三浦瑠麗、宇賀なつみが語った「今のビジネスに一番必要なこと」

街がホリデーシーズンの賑やかさを見せ始める12月初頭、「ザ ストリングス 表参道」にてビジネスマンが思わず二度見するようなイベントが開催された。その名もむらぐみ × Forbes JAPAN 「BUSINESS GOKIGEN WORLD-ビジネスにはごきげんが必要だ。」。主催はむらぐみ、メディアパートナーとしてForbes JAPANが加わっている。

「ごきげん」というと「ポジティブ思考」「いつもニコニコしている」という牧歌的なイメージが先行し“ビジネス”とはリンクさせにくいかもしれない。しかし「ごきげん」は今や、他者を巻き込み成長するために標準装備すべきビジネススキルなのではないだろうか? 本イベントは「ごきげん」の正体を探るトークセッションとして開催された。

第一部は慶應義塾大学大学院教授の岸 博幸、ZVC JAPAN 株式会社 (Zoom) 社長・佐賀文宣、フリーアナウンサーの宇賀なつみが「ごきげんがビジネスを加速させる?」をテーマに、第二部は国際政治学者の三浦瑠麗と宇賀なつみが「外交 ✕ ごきげん」という観点で、「三浦瑠麗さんに聞く、ごきげん」と題して話し合った。

「ごきげん」ならぬ“ふきげん”が日本の成長を妨げる?


第一部では、イノベーションを⽣み出す部署を超えた連携の実現や、社内の⽣産性を上げていくために最⾼のパフォーマンスが発揮できる環境を作るため、様々な⾓度から「社内のごきげん」と「組織のパフォーマンス」の関係性を紐解いた。

元経済産業省官僚としての経歴を持つ岸は「日本のビジネスを見ていると、特に大企業では偉い立場の方ほど不機嫌でしかめ面をしていることが多い。クライアントが下請け企業を厳しくぞんざいに接するケースも少なくない。日本では不機嫌、しかめ面のビジネスが横行している」と切り込みながら、「不機嫌なビジネスは“昭和的”」と指摘する。

「昭和の日本は、経済も人口も右肩上がりで成長していました。しかしこの数十年、日本は成熟経済に入り成長が止まりました。新たなイノベーションを作り出すべきですが、“不機嫌でしかめ面”な環境はイノベーションとの相性が最悪なんです」

岸は本来「イノベーション」とは、全く新しいものをゼロから発明するのではなく「すでに世の中に存在するモノから新たな組み合わせを考えること」だと解説。イノベーションを生み出すクリエイティビティを最大限発揮するために、ブレストでアイデアを出し合いとことん知恵を絞らなくてはいけないが、岸はそのための重要な要素に「心理的安全性」というキーワードを挙げた。米Googleが「一番快適に働ける環境」について社内調査を訪った結果「心理的安全性の高さ」が最も働きやすさにつながっているというのだ。

「『心理的安全性』とは、何を発言しても他人に軽蔑されたり貶められることがない環境。『心理的安全性』が確保されると生産性も上がるという調査結果があるんです。そう考えると、しかめ面の人が大勢いる不機嫌なムードで、心理的安全性なんて担保できるはずがない」

「ごきげん」は、心理的安全性と生産性が高い優良な環境を生み出す。しかしその実現には「不機嫌」だけではなく、日本人の「シャイ」な性格もハードルになっている。岸と宇賀は他部署の社員とすらフレンドリーな会話が難しい私たち日本人が「心理的安全性」を確保する難しさに触れながら、解決策を探っていく。


フリーアナウンサーの宇賀なつみ(左)、慶應義塾大学大学院教授の岸 博幸(右)

そんななか宇賀から「ビジネスパーソンにとっての『ごきげん』ってなんでしょう」と投げかけられると、岸は恩人と仰ぐ、やしきたかじん氏とのエピソードを披露。名司会者として活躍したやしき氏から「現場で良い空気感を作り上げる大切さ」を学んだと振り返る。

「オフィスの空気感がいい会社ほど、いい製品やサービスが生まれ世の中に貢献している。まずは日々オフィスの空気感に気を配るべきだし、その第一歩として『ごきげん』は重要な要素」と、他にも岸が尊敬する企業の社長の逸話も交えながら「チームがご機嫌を維持できるオフィス環境」を作るためのアイデアを出し合った。

Zoom佐賀社長が語るオンラインミーティングの“ありがちな失敗”


続いてZVC JAPAN (Zoom)の佐賀文宣社長も加わり、議論は「オンラインコミュニケーションにおけるごきげん」に移る。

まず、佐賀は欧米と日本におけるオンラインコミュニケーションの歴史を解説。電話会議の文化が根付いていた欧米に比べ、対面を重んじる日本ではオンラインビデオツールの成長が伸び悩んでいたが、コロナ禍以降は急成長。しかし「リモートワークに問題なく移行できている業種は、まだほんの一部」とオンラインツールのさらなる可能性を探る。

また、日本のビジネスシーンにおけるオンラインミーティングの改善点を指摘。佐賀は「コミュニケーションの場にもかかわらず、顔を見せずに参加する方が多い点が気がかりです。プライバシーや回線環境など理由は様々ですが、結果的にコミュニケーションを残念な形にしている」と個々の事情に悩ましさを見せながらも、オンラインにおいても「リッチなコミュニケーション」を目指すべきと提案。オンラインコミュニケーションでは「笑顔」などの表情や「ごきげん」なリアクションがより重視されることから、日本人の「笑顔下手」についても議論がなされた。

昨今では医療や教育の現場などビジネスシーン以外にもZoomが多用され、オンラインコミュニケーションはさらなる広がりを見せている。佐賀は「私たちはZoomというサービスを通して誰かを助けていると実感しています。企業は誰かをハッピーにするために存在しているのだから、働く私たちもハッピーであるのが当たり前」と締め括った。


ZVC JAPAN (Zoom) の佐賀文宣社長

「ごきげん」は多様性社会を生き抜くためのサバイバルツール


第二部は、国際政治学者の三浦瑠麗と宇賀なつみが「外交 ✕ ごきげん」という観点でトークセッション。

「ごきげんとは何か?」という質問に、三浦はずばり「サバイバルスキル」と回答。諸外国を相手に熱心に働きかけなくてはいけない国際会議の場を例に「外交官は褒めが上手い人が多い」として、諸外国の代表たちはミッションを達成するために「ごきげん」なムードを標準装備しているという。そんななか三浦は「日本人のごきげん下手が垣間見えるシーン」として、意外にも「飲み会文化」を挙げた。「偉い人が飲み会を好きなのは、自分で自分をごきげんにする術を知らないから。それってすごく生産性が低い」と問題提起しながら、傾聴の姿勢や笑顔など日頃から身につけるべき“ごきげん的コミュニケーション”を提案する。

そして今後より加速する多様性社会において、“察する”だけで成立する閉鎖的なコミュニケーションから脱却すべきと警鐘を鳴らす。コミュニティの外にある多様な文化と渡り歩いていくためには、能動的に相手に働きかける「ごきげん」なコミュニケーションへの移行が必要だとしながら、多様性への対応力を作るメソッドを宇賀と提案しあっていった。


国際政治学者の三浦瑠麗

セッション後は株式会社むらぐみ 代表取締役の村上雄一郎も参加し、宇賀と三浦とカジュアルなアフタートークへ移行。

村上は「皆さんがごきげんなムードで『ごきげん』について話すっていいですね」と笑顔に。

かねてより、ごきげんの重要性を強く感じている村上。未だビジネススキルとしては確立されていないこのテーマを、さまざまな観点から探り、改めて向き合う場があってもいいのでは、との思いからプロジェクトを発足した。

トークセッションを振り返りつつ「ごきげん」を巡る三人のトークは続く。例えば、「ごきげん」な働き方を叶えるオフィス環境。気兼ねせず没頭できるシェアオフィス、犬がいるオフィス、アルコールOKなオフィス。思い思いにアイデアを出しながらも「もっとも自分が成果を出せる環境は何か、自己判断できるようになるべき」と合意する。

また、「心理的安全性」に結びつく「愛される経営者」についての議論も。「これからは経営者の方が、『ごきげん』を維持するスキルが重視されるのでは」という提案から、三浦から「女性のさらなる進出は重要ですが、ビジネスの場で“不機嫌の緩和”を女性に甘えないでほしい」という鋭い指摘も見られた。

さらには、PRに成功し「ごきげん」に暮らせる地方自治体の話題にもトークは膨らんでいき、「ごきげん」の大きな可能性を感じさせながら、イベントは終幕となった。


国際政治学者の三浦瑠麗(左)、フリーアナウンサーの宇賀なつみ(中央)、むらぐみ代表の村上雄一郎(右)

イベントを振り返って


宇賀なつみ:今回お話を頂いた時「Forbes」さんと「ごきげん」の組み合わせ、非常に面白いなと思いました。私個人としても、社会人として「ごきげん」であることは重要なキーワードでした。イベントで皆様の幅広い視野でのご意見を伺いながら、自分なりに身につけてきたスキルを「これで正しかったんだ」と答え合わせしていただけたような思いです。

「ごきげん」は「とにかくポジティブであれ」と短絡的に片づけられがちですが、実は働くすべての人にとって必要なスキルなんだと改めて実感。経済誌「Forbes」がこのテーマに取り組む姿勢に非常に意義を感じました。

ごきげんな人が一人でも増えたら、周囲の人たちもごきげんにできる。そんな連鎖が生まれたら素晴らしいなと思います。皆さんのお話を聞きながら、やっぱりトップから変わらなくてはいけない再認識。日本のトップの方たちともっとご機嫌になれる社会を目指しましょう!

岸 博幸:普段テレビ出演をしながら、宇賀さんのようなアナウンサーやお笑い芸人さんたちが、スタジオの空気を盛り上げるために「とことんやり尽くす姿勢」に非常に敬意を払っています。ビジネスパーソンもより良いアウトプットのために「やり尽くす」べきなのに、特にエリートと呼ばれる人ほどできておらず、もったいなく感じます。例えば、オフィスに他の会社の人が来たとき笑顔で挨拶ができているでしょうか?日頃からそれすらできてない人が、誰かをハッピーにする商品やサービスが作れるのでしょうか。これからの日本企業ではこうした「空気づくり」がより大事だと考えます。

フレンドリーなアメリカ人でも「コミュニケーションとは」と日々模索し「心理的安全性」の確保に注意を払っている。日本はアメリカ以上にフレンドリーに弱く、縦割り社会。不利な部分もありますが、私は成功例をいっぱい見てきましたので充分改善できると確信しています。経営学ではまだ体系化されていない「ごきげん」ですが、日本的な視点で理論立て読み解いていき、昭和の停滞から脱却していきましょう。

佐賀文宣:オンラインコミュニケーションにおける印象は、実は物理的な対面時と変わらないのです。相手がムスッとしていれば、画面越しにその不機嫌なムードが相手に伝わってしまいます。

私が社長としてコミュニケーションを取る際に心がけているのは命令ではなく共感です。会社内外では、様々な組織の人がチームを作っている。そこで命令ではなく共感できる説得力が非常に重要ですし、共感を得るためには「笑顔」や「ごきげん」な態度は欠かせません。

一方で、私自身が考える「ごきげん」の定義と、ビジネスとの結びつきに慣れていない部分があるのも正直なところ。ですが、まだ共通の理解がないぶん「ごきげん」ってなんだろう?と一緒に考え話し合うことが面白く、まだまだ考える余地がある分野だと感じます。今後も様々な人と議論しながら「ごきげん」を一緒に楽しんでいきたいですね。


心理的安全性、クリエイティビティ、リッチコミュニケーション、サバイバルスキル。「ごきげん」とは、withコロナで⾒直されつつある「新しいコミュニケーション」において重要なエレメントに枝葉を広げる源泉なのである。

まずは深呼吸をして笑顔を作るだけで、あなたから「ごきげん」が広がっていくだろう。その「ごきげん」は、他者を通してあなたのもとに還ってくる。この連鎖こそが優れたコミュニケーションであり、新たなイノベーションとを生み出すと実感させるトークセッションとなった。

12月22日(水) 20:00〜21:00 O.A(無料配信)予定の
むらぐみ × Forbes JAPAN 「BUSINESS GOKIGEN WORLD-ビジネスにはごきげんが必要だ。-」視聴をご希望の方は
https://forbesjapan.com/feat/muragumi/

Promoted by むらぐみ / text by 伊藤七ゑ / photographs by 安藤 毅 / edit by 松浦朋希