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アドビ株式会社 代表取締役社長 神谷知信

長引くコロナ禍で仕事や生活のあらゆる場面にデジタルが浸透し、生き残りをかける企業には、ますますデジタルトランスフォーメーションへの注力が求められている。そんな中、国内での新ビジョンとして「心、おどる、デジタル」を掲げるアドビ。3つのクラウドソリューションを融合させた強力な製品、サービス群による、さまざまな施策で顧客体験の変革を目指すという。リーディングカンパニーが描く未来のDXの姿を探った。


アドビが「顧客体験の変革」において圧倒的に頼れる理由


デジタル分野において、アドビは他社を牽引する存在だ。来年には創業から40周年(日本では30周年)を迎えるアドビが、課題解決だけではない、その先を見据えた創造力を伴う「クリエイティブ・デジタル・トランスフォーメーション」を実現すべく、日本市場における新たなビジョンを発表した。

新ビジョンは「心、おどる、デジタル」。以下4つの要素で成り立っている。書類の電子化から承認まで、全てのプロセスをデジタル化する「Digitalize(デジタル化)」、データとコンテンツを融合し、ワクワクするような個々に最適なマーケティングオートメーションを推進する「Delight(ワクワクさせる)」、クリエイティブで常識を動かし、すべての人が創造性を発揮できる環境づくりに貢献する「Amaze(期待を超える)」、創造性やデジタルリテラシーの向上を支援する「Foster(次世代を育てる)」だ。そしてこのビジョンは、テクノロジー、エコシステム、人材と組織、という3つの軸を連携させることで実現可能になるという。

老舗IT企業としてテクノロジーを牽引してきたアドビは現在3つのクラウドソリューションを提供している。優れたコンテンツ制作を支援する「Creative Cloud」、データを活用して最適なコンテンツを最適なタイミングで顧客に届ける「Experience Cloud」、デジタル文書の作成や編集などで業務の効率化を支える「Document Cloud」。これらのテクノロジーを融合し、さらにはアドビ独自のAI・機械学習のプラットフォームである「Adobe Sensei」を活用して顧客の抱えるさまざまな課題を解決に導く。

それを支えるのは、顧客と2800社を超えるテクノロジーパートナー、7700社以上のエージェンシーとともにつくるエコシステムだ。今年3月には、慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏のほか、世界中の有識者が参画するグローバルの顧問評議会「International Advisory Board」を設置。デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業の支援強化を図る。

またデジタル人材の育成や組織作りも支援する。業種やビジネス領域の専門性を持つ支援チームによって、顧客それぞれの課題に対応し、DX戦略の策定からシステムの設計・開発、人材育成、運用・業務の定着まで一気通貫のサービス提供体制を整える。

「アドビはプロ仕様、難しい」を乗り越える


この新たなビジョンを牽引するのは、今年4月に、アドビ株式会社の社長に就任した神谷知信だ。2014年にデジタルメディア事業統括本部バイスプレジデントとして入社以来、Creative CloudやDocument Cloudからなるデジタルメディア事業を統括。アドビ自らのデジタルトランスフォーメーションを推進し、アドビの持つツールのクラウド、サブスクリプション化をリードしてきた実績を持つ。

 
アドビ代表取締役社長 神谷知信

今後はすべての国内のビジネスおよび組織を統括し、アドビが提供するExperience Cloud、Creative Cloud、Document Cloudの3つのクラウドソリューションの包括的な推進、加えてOEM事業を更に強化する予定だという。

「弊社のツールはどちらかというとプロ向けという印象が強く、初心者には使い方が少し難しい場合もあることは、私自身が入社時から感じていました。Photoshopという1つのツールだけでも分厚い本で解説されるほどです。まるで飛行機のパイロット席にいるかのように、どれを選ぶべきか、ボタン一つさえ最初はよくわからない方もいらっしゃると思います。そこでまずはデスクトップのアプリから、チュートリアルを豊富にするなど、ツールとして障壁となる部分を、様々な意見を取り入れ少しずつ使いやすく改善してきました」(神谷)

モバイル分野、たとえばタッチデバイスでも同等の制作作業が行える環境作りにも今、力を入れている。2年前にはPhotoshop、昨年はIllustrator、それぞれのiPad版をリリース。テンプレートを使って撮影できるPhotoshop Cameraや、モバイルツールで動画を編集できるPremiere Rushなど、スマートフォン用のアプリも続々と送り出している。

「アドビのミッションの一つは、『Creativity for All』。すべての人に『つくる力』を提供するためにも、まずは使いやすいツールを作り、誰もがデジタルを味方にして創造性を発揮できる環境を整えることが前提です」(神谷)

その一環として、次世代のデジタルリテラシーの育成にも力を注ぐ。GIGAスクール構想に向けた「Adobe Spark」や、クリエイターの創作活動を支援する「Adobe Creative Residency Community Fund」のほか、企業、大学、高校、自治体などとコラボレーションしたワークショップも開催する。毎年秋に開催し、世界中のクリエイターが集合し、互いの制作物を共有しながら新しいツールを学ぶ世界最大規模のクリエイティブの祭典「Adobe MAX」は、その集大成だ。

業務効率化だけでなく、その先を見据えたDXこそ、人々の喜びと感動を生み出す


不動産業界や金融業界で進む電子サインの導入をはじめ、日本においてもDXは着実に進んでいる。アドビが提供するマーケティングオートメーションツール「Marketo Engage(マルケトエンゲージ)」も強い存在感を見せている。

しかし、これまでのDXは、業務の効率化、省力化、生産性の向上に留まることが多く、データとデジタル技術の活用により業務そのものを見直し、サービスや製品、ビジネスモデルを変革していくというDX本来の意義には、なかなか結び付いていないのが現実だ。

オンライン・オフラインの融合が加速する現在、心にひびく顧客体験の創出には素晴らしいコンテンツによる「体験」と、データに基づいた「体験の最適化」が求められる。顧客体験の最適化にはコンテンツへの深い理解とデータの活用、戦略の策定といった、データとクリエイティブの両観点からのアプローチが鍵となる。クリエイティブは特にアドビが得意とするところで、今注目を集めている3DやAR、VRなどの最先端のテクノロジーを活用しながら、データに基づいた最適な顧客体験の創出を支援することで、「心、おどる、デジタル」社会の実現を推進する、と神谷は言う。

「例えばアドビの3DデザインアプリケーションSubstance 3D Collectionでは、3Dの技術でリアル感を出すことで、たくさんの商材の写真を撮ることなく、よりスピーディーに多くの商品をWEBサイトにあげていくことができるので、お客さまはお店にいるときと同じような商品を体験できます。
車の購入を検討する際も、各メーカーのウェブサイトを見れば、3Dで色や内装を選び、価格もわかります。ユーザーの70%は、ディーラーに行く前に、何を買うかほぼ決まっているといいます。その例でいえば、デジタルはある意味、店舗での体験をより豊かにしてくれるものといえるのではないでしょうか」(神谷)

目の前の課題を解決することだけではなく、その先にある新しい社会や働き方を見据え、喜びと感動をデジタルの力で創造することこそ、アドビの目指す姿だ。そしてそれこそが、DXが本来もつ力なのかもしれない。


神谷知信◎アドビ株式会社 代表取締役社長。青山学院大学法学部国際私法学科卒業。スタンフォード大学にてエグゼクティブプログラムを習得。2014年10月アドビに入社。デジタルメディア事業の製品及び販売戦略を含む事業全体を統括、デスクトップからクラウド、サブスクリプション化へとアドビのデジタルトランスフォーメーションをリードしてきた。 日本におけるExperience Cloud、Creative Cloud、Document Cloudの3つのクラウドビジネスの事業すべてを統括する。

Promoted by アドビ / text by Kyoko Kanzaki / photographs by Kenta Yoshizawa / edit by Hirotaka Imai

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