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「サーキュラーエコノミー/循環型経済」のコンセプトが、社会実装フェーズに入り、世界的なアジェンダとして注目を集めている。持続可能な社会の実現へ向けアクションを起こした若き経営者たちはどのように社会を変えようとしているのか。Forbes JAPAN「30 UNDER 30」受賞者であるWOTA代表取締役社長CEOの前田瑶介と炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長の村木風海を迎え、エムテド代表取締役の田子學をモデレーターに、目指すべき循環型社会についてトークを展開した。




避けて通れない循環型社会への転換

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、私たちに生きることの不確実さを再認識させ、否応なしに人類に降りかかるリスクについて考えさせるようになった。そのリスクは感染症に限らず、戦争や政治などさまざまな要因があるが、もっとも身近なリスクとして挙げられるのが災害だ。スーパー台風や集中豪雨など、気候変動がもたらす脅威は年を追って激しさを増している。循環型社会への転換は、人類の生存戦略において避けては通れない命題である。

循環型社会への取り組みは欧州が先行している。2020年の欧州連合(EU)域内の発電量は、再生可能エネルギーが化石燃料をはじめて上回った。再生可能エネルギーだけを切り取ると、日本は欧米諸国に比べて大きく遅れをとっているが、日本とて環境を軽視してきたわけではない。

 日本では、高度経済成長時に環境を顧みなかった反省から1970年ごろから規制が強化され、環境に配慮したモノづくりがなされるようになっていった。いまでは大手企業を中心に環境経営は当たり前だ。最近では、身近なところから環境問題を解決しようと試みるスタートアップも誕生している。持続可能な社会の実現へ向けアクションを起こした若き経営者たちはどのように社会を変えようとしているのか。最前線を行くふたりの時代の寵児に、5月28日に行ったトークセッション「Forbes JAPAN presents CIRCULAR ECONOMY TALK in partnership with Audi Japan」で語ってもらった。

 水と空気から社会課題の解決を目指すふたりの経営者

 トークセッションでは、スピーカーにWOTA代表取締役社長CEOの前田瑶介と炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長の村木風海を迎え、エムテド代表取締役の田子學がモデレーターを務めた。前田と村木は、Forbes JAPANが毎年実施する、世界に多大な影響を与える30歳未満の30人「30 UNDER 30」に選ばれた未来を担うアントレプレナーだ。

WOTAは、AIを活用して、使った水をその場で98%以上再生し循環利用できる「自律分散型水循環システム」を開発しており、災害により上下水道が断水した場合でも限られた水量で入浴などの水利用を提供できる、可搬型水再生処理プラント「WOTA BOX」や、水道のない場所でも設置できる世界初の水循環型手洗い機「WOSH」を販売している。5月10日にはソフトバンクとの資本・業務提携を発表した。

一方CRRAは、火星移住・開拓を研究しているほか、空気中のCO2の直接回収や空気から石油の代替燃料を製造する研究を行っている。「小型分散型のCO2回収構想」を掲げ、CO2回収マシーン「ひやっしー」を開発・販売している。5月24日には、印刷用インキ大手サカタインクスと共同で二酸化炭素からエタノール、軽油の代替燃料を合成する技術の研究を開始した。

トークセッションでは、そんな気鋭の二人が社会課題の解決に取り組むようになった経緯や現在の取り組みについて語り合った。

日本発の循環型社会を目指す

欧州では各国が将来的に化石燃料車の販売を禁止することを決定し、自動車各社が電気自動車(EV)の開発に注力している。しかし、重要なのは製品そのものだけでなく、製造工程におけるCO2排出も抑制していかなければならない。それを高度に実践し、2025年までに全生産拠点のカーボンニュートラルを目指しているのが自動車ブランドのアウディだ。

同社は、スイスのクライムワークスとの提携により大気中のCO2を直接回収して石に変え貯蔵するプロジェクトを進めているほか、メキシコ工場では排水ゼロを実現している。セッションではそうしたアウディのサステナブルな取り組みを紹介し、日本が参考にすべき点について語り合った。

欧州では、まず環境に関する課題や目標を宣言し、産業がそれを実行に移すことで循環型社会への転換に取り組んできた。ふたりもそれにならってそれぞれが思い描くビジョンを“宣言”し、社会実装を実現するための施策について持論を展開した。

日本でも鎖国していた江戸時代は、すべてが国内で完結する循環型社会を実践していた。そうした先人の知恵を見習い、日本発のオリジナルの循環型社会を目指すべきだと田子は提言する。UNDER 30経営者による、これまで誰も思いつかなったプロダクトが先人の知恵と融合し、日本の新たな循環型社会を切り開いていく。この動画を視聴すれば、未来の循環型社会の姿が見えてくる。

▶アーカイブ視聴はこちら
https://forbesjapan.com/feat/audi_japan

 
<出演者>
前田瑶介◎WOTA代表取締役社長CEO

1992年徳島県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院工学研究科建築学専攻(修士課程)修了。幼少期より生物研究に明け暮れ、高校時代には食用納豆由来γポリグルタミン酸を用いた水質浄化の研究を行い日本薬学会で発表。大学・大学院在学中より、大手住宅設備メーカーやデジタルアート制作会社の製品・システム開発に従事。その後起業し、建築物の省エネ制御のためのアルゴリズムを開発・売却後、WOTA株式会社に参画しCOOに就任。現在同社CEOとして、自律分散型水循環社会の実現を目指す。

村木風海◎一般社団法人炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長

2000年生まれの化学者兼発明家。専門はCO2直接空気回収(DAC)、CO2からの燃料・化成品合成。現在は東京大学に在籍する傍ら地球温暖化解決と火星移住を実現すべくCRRA(シーラ:一般社団法人炭素回収技術研究機構)で独立した研究開発を行っている。2021年1月より大手化粧品メーカー・ポーラオルビスグループ、ポーラ化成工業株式会社 フロンティアリサーチセンター 特別研究員を兼任。代表的な研究・発明に「ひやっしー」「そらりん計画」「成層圏探査機もくもく計画」がある。

田子 學◎エムテド代表取締役 

アートディレクター/デザイナー。東芝デザインセンターにて多くの家電、情報機器デザイン開発にたずさわる。リアル・フリートのデザインマネジメント責任者を経て2008年エムテドを設立。現在は幅広い産業分野において、コンセプトメイキングからプロダクトアウトまでをトータルでデザイン、ディレクション、マネジメントをしている。GOOD DESIGN AWARD、red dot design award、JDCAデザインマネジメント賞、ILS AWARDデザインビジネス賞ほか受賞作品多数。

Promoted by アウディジャパン / Text by 大橋史彦 / Edit by 高城昭夫

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