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2021.03.19 16:00

信用を失う前に。企業が向き合うべき「3つのリスク」

メディア美学者 武邑 光裕

グローバル化やテクノロジーの進歩は、これまで自明とされていた社会のあり方を根底から覆し、企業の信用やリスクに対する考え方も大きな転換点を迎えている。

企業の与信管理業務をサポートする会社として注目を集めているのが、リスクモンスターだ。同社はこれまで数多くの企業の信用やリスクを査定し、実績を重ねてきた。

今後、企業に対する信用やリスクのありようはどのように変わっていくのか、そして企業はこの変化にいかにして向き合うべきなのだろうか。そのヒントを解き明かしてくれるのがベルリン在住のメディア美学者(現在は一時帰国中)・武邑光裕だ。

武邑は2020年11月、デジタル社会における最も複雑かつ困難な「プライバシー」の問題に、欧州の歴史を縦横無尽に参照しながら鋭く切り込んだ話題の書『プライバシー・パラドックス データ監視社会と「わたし」の再発明』を上梓した。

武邑にこれからの企業が向き合うべきリスクについて話を聞くとともに、与信管理の上でリスクモンスターの果たすべき役割について語ってもらった。


目に見えないリスクにさらされる企業


「企業がこれほど多くの目に見えないリスクと向き合わなくてはならなかった時代は、これまでなかったでしょう」

武邑光裕はそう語る。企業をとりまく社会状況はここ数年で大きく変わった。インターネット黎明期より、社会の情報環境の変容を捉え、来たる社会変化を予見してきた武邑の目に、現在の変化はどのように映っているのだろうか。

「グローバル化とデジタル化の巨大な波は社会のあり方そのものを大きく変えましたが、企業もその影響を強く受けています。グローバル化とデジタル化により、企業は、これまで関係ないことだと割り切れていた要素とも強くつながるようになり、同時に多くのリスクにさらされています」

武邑は、いま企業が抱える最も重大のリスクを3つ挙げる。

「まず、ソーシャルメディアの存在です。ヨーロッパはこれまでも消費者政治が強い地域だと言われてきましたが、インターネット、ソーシャルメディアによって、これまで受動的な情報の受け手とされてきたユーザーが積極的に発信することが可能になり、ここ数年で消費者の影響力、パワーがより増しているように感じます。企業が社会的、倫理的責任に反した行動を取っていることが分かれば、瞬時にソーシャルメディア上で反応があり、企業は消費者から見向きもされなくなりなります」

「ごまかし」や「嘘」は致命傷


次いで指摘するのは、現在、企業がさかんに取り組み始めている「環境」や「サステイナビリティ」だ。

「環境に優しい文句を並べて、うわべだけの環境保護をアピールすることは、グリーンウォッシングと呼ばれ、強く批判されて、企業の信用を大きく毀損します。近年は、環境問題に対する意識も大きく高まり、消費者の目も肥えてきていますから、上辺だけの企業はすぐに見破られます。

例えば、企業がリサイクルのプロジェクトを行っていることをアピールしたとしても、その方法が本質的でなかったり、技術的に不可能、もしくはネガティブな副作用が大きい方法であったりすると、ソーシャルメディアを通じて、消費者から猛然と批判を浴びます。俗にいう『炎上』ですね。『ごまかし』や『嘘』は致命傷になるのです」

2021年2月に、倫理的なビジネス慣行の基準を定義および推進する世界的機関『Ethisphere(エシスフィア)』による『世界で最も倫理的な企業』の年次リストには135の企業が選出されたが、日本から選ばれた企業はわずかに2社(花王とSONY)にすぎないと武邑は指摘する。

「これまでは財務リターンを犠牲にして取り組むべき課題だとされてきた、サステナビリティやエシカルに対する投資も、グローバルでは明確に収益が得られる領域だと理解されています。投資ファンドもそのような問題に対して重点的に取り組む企業に投資する方が、将来的には大きなリターンを得られることが分かっていますし、消費者も社会問題に取り組んでいる企業に自分たちのお金を使いたいと強く思っています。サステナビリティやエシカルに取り組むことは企業と投資家にとって、WIN-WINの事柄になっているのです。

しかし、日本では、ダイバーシティがあり、サステナブルであることは良い企業の証だという理解が非常に低いように感じます。しかし、『世界で最も倫理的な企業』リストに選ばれた花王は、外部から突き動かされてではなく、主体的にサステナブルな取り組みを行っていることでグローバルに評価されているんです。そして、このような企業の姿勢・取り組みこそがヨーロッパにおける花王の製品に対する安心、信頼につながっています」



「プライバシー」はサステナビリティの重要課題に


最後に武邑は、ソーシャルメディア、サスティナビリティと並ぶリスクとして、「プライバシー」を挙げる。ヨーロッパでは、「プライバシーはサステナビリティ領域における最重要カテゴリーの一つ」と語り、「GDPR(EU一般データ保護規則)の遵守は、企業の社会的責任における欠かせない用件」になったと強調する。

「企業が向き合うべき3つ目のリスクはプライバシーです。GDPRが施行された当初の2018年頃は、GDPRをデジタルの進歩を阻む悪法として反対する人も多くいましたが、現在では真逆の状態になっています。むしろ今は、先進的にプライバシー保護を考え、取り組んできた企業にベネフィットがある状況です。消費者は自分たちのプライバシーがどのように保護されているかということに関して、非常に慎重になって企業を監視しています。

GDPRの主要コンセプトは、あらゆるサービス、製品の開発の中心にプライバシー保護を据えるということですが、日本では、そのようなプライバシーデザインの重要性がほとんど考慮されておらず、ヨーロッパでの基準では、考えられないようなサービスや製品を度々目にします。このまま国内でのプライバシーの議論をおざなりにしてしまえば、日本企業はグローバルスタンダードから乗り遅れ、化石のようになってしまうでしょう」

日本企業の未来はどこに?


企業が向き合うべきリスクがより多層化する中で求められることは何だろうか。複雑な変化の用件に企業が都度適切に対応していくことは非常に困難でもある。武邑の処方箋は、こうだ。

「たしかに、企業の信用やリスクの評価軸が様々な領域に跨がり、ますます多くのリスクと向き合わなくてはならないことは非常に困難であると言えます。これからの企業には、社会に対するに目利きの力、先を見る力がますます必要になるでしょう。

ですが、これからの信用、リスクの基準を可視化する新しい信用制度、与信管理の仕組みを作っていくことで、企業にとっては、自分たちが目指すべき方向性がクリアになっていくはずです。一方向の視点でブランドの公平性や倫理性を測るのではなく、消費者が納得できるような立体的な評価基準を用意しておくことが重要になります」

各方面から様々な遅れを指摘される日本企業。憂鬱な将来予想の代わりに、武邑の言葉からは、ポジティブな未来像と期待が垣間見えた。

「持続可能な社会に向けて、リスクモンスターさんのような企業が設けられる新しい時代の与信管理が、日本企業が進むべき正しいベクトルを定めてくださると期待しています」




武邑 光裕 たけむら・みつひろ◎メディア美学者。日本大学芸術学部、京都造形芸術大学、東京大学大学院、札幌市立大学で教授職を歴任。1980年代よりメディア論を講じ、VRからインターネットの黎明期、現代のソーシャルメディアからAIにいたるまで、デジタル社会環境を研究。2013年より武邑塾を主宰。著書に『プライバシー・パラドックス データ監視社会と「わたし」の再発明』〈黒鳥社〉、『記憶のゆくたてーデジタル・アーカイヴの文化経済』〈東京大学出版会〉、『さよならインターネット──GDPRはネットとデータをどう変えるのか』〈ダイヤモンド社〉など。


リスクモンスター株式会社

リスクモンスター株式会社は、企業の与信判断指標から債権保全まで与信管理業務のすべてをサポートし、与信管理支援に関わる様々なサービスを提供している。リスクモンスターが提供するサービスは、与信管理サービス会員のうち、上場企業およびその関連企業で約40%の導入実績を誇るほか、IPOを目指す成長企業でも積極的に導入されていることで知られており、他にも、与信管理や企業の信用、リスクについて学ぶセミナーや動画コンテンツを自社のホームページやYouTubeチャンネル「RismonCM」を通じて発信を続けている。

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