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2021.03.24 11:00

大野和士×谷本有香「オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World」がついに完結!#Forbes Spotlights

世界的な指揮者であり、「オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World」総合プロデューサーでもある大野和士に、8月に上演される『ニュルンベルクのマイスタージンガ—』の見どころを、Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香が聞いた。


谷本有香(以下谷本):「オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World」は、そのタイトルにあるように、当初の予定では一昨年と昨年で完結するイベントだったのですね。

大野和士(以下大野):そうなんです。2019年にアジア(中国)が舞台となる「トゥーランドット」を上演しました。

2020年には祝祭感あふれる『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を上演して、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開かれる年をより盛り上げていこうというプロジェクトだったのですが、ご承知の通り新型コロナウイルスにより『ニュルンベルクのマイスタージンガー』は中止を余儀なくされました。でも、この8月に晴れて上演できることになり、ほっと安心しているところです。

谷本:まさに世界中が注目しているオペライベントですね。東京都が所管している「東京文化会館」と、国が所管している「新国立劇場」が共同でオペラを制作するのは初めてのことと伺いました。



大野:東京都と国、というだけではなく、著名なザルツブルク・イースター音楽祭(オーストリア)とドレスデンのザクセン州立歌劇場(ドイツ)とも手を携えた国際的なプロジェクトであることが、この『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の最大の特徴でもあります。

まさに東京、日本から、世界へ向けて新制作のオペラを発信するという意欲的な試みというわけですね。ご存知のようにオペラはヨーロッパで生まれたものですが、いまは世界のあらゆる国や都市で新作が上演されるなど、総合芸術としてのステイタスを確固たるものにしています。
 
日本もこの新制作により、世界のオペラシーンにおいて、存在感をより強めることができるでしょう。



谷本:大野さんは今回、指揮者としてだけではなく、総合プロデューサーとして参加されていらっしゃるのですね。

大野さんのいままでのご功績により、日本のオペラ界がより世界とつながったと感謝しているオペラ関係者も多いとか。

大野:ほんとに⁉うれしいなぁ。そこはぜひ大きく書いておいてください(笑)。私が今回心がけたのは、いままさに上昇気運に乗っているようなライジングスターの起用です。

エネルギーに満ちた若手のプレイヤーと、日本のトップシンガーたち。そして東京文化会館と新国立劇場の舞台制作にかかわるチームとのケミストリーからどんな熱量のある舞台が生まれるか……ぜひ注目していただきたいですね。

いまのオペラを観ないアナタは損をしています!


谷本:オペラは、ヨーロッパでは総合芸術として多くのファンに愛されていますね。オペラを語ることはワインを語るのと同様に、社交術のひとつでもあり、ビジネスマンやエスタブリッシュメントのたしなみとして認識されています。

でも日本では、オペラをとても高尚な趣味として敬遠する人も少なくないように思います。実際に劇場へ足を運ぶのもシニア層が多いのではありませんか?もっと若い人たちにオペラを観てもらうにはどうすればよいでしょうか。



大野:まずオペラというと、みなさんどんなイメージを持っているでしょうか。オーケストラがいて、男女の歌手が恋のさやあてを歌い上げる……そんなところでしょうか?

でも、現代のオペラは大変スピーディーな進化を遂げており、たとえば20年前のオペラとはまったく異なるものなんですよ。

たとえば舞台美術ひとつとっても、プロジェクションマッピングを使用するなど、最新のテクノロジーを使用した背景は1本の映画を見るような満足感を得られるものです。そこに弦楽器のメロディに管楽器のソノリティ……重層的なオーケストラの音の絨毯が広がり、さらに鍛えられた人の声が乗せられると、その声はまるで一筋の光のようにホールの天井まで届き、広がるのです。

おとぎ話のような恋、ジリジリと焦がれるような男女の三角関係、そして一転して悲劇……それらの物語が音の塊となって押し寄せてくるような、まるで人の声に心臓をわしづかみにされるようなセンセーションは他の芸術で味わえるものではありません。今、オペラを観ないというのは、人としてとてももったいないことだと断言できますね。

谷本:新型コロナウイルス禍によりオンラインでの上演などの機会も増えましたが、やはりこれは生で観たいですね。その場でしか味わえない振動を感じてみたいです。

大野:圧倒的に生がいいですね。ぜひ劇場へ足を運んでいただけたら。

『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の見どころは?


谷本:8月に上演される『ニュルンベルクのマイスタージンガー』はどのような物語なのでしょうか。

大野:マイスタージンガーとは熟練した技術をもつ職人のことなんですが、彼らは詩を詠み、歌を歌うことにも長けていました。とある青年が女性にひとめ惚れし、結ばれるには青年が歌の試験を受け、歌合戦に勝たなければならない。

青年はその過程で人としても芸術家としても成長し、恋人と結ばれます。主人公がさまざまな経験をしながら自らを高め、芸術に到達する様はゲーテの教養小説のようでもありますね。

本作品は前奏曲が大変有名なんですが、青年が歌合戦で勝利して大団円を迎えるシーンであの前奏曲がリフレインされる瞬間はとても感動的です。

歌の歌詞に「(人生のよい時期である)春に美しい歌をつくることは誰でもできる。(人生の困難な時期である)秋~冬に美しい歌をつくれるのが真の芸術家である」というフレーズがあります。

実は作者のワーグナー自身、政治犯としてドイツを追放されていた時期があるのですが、その追放が解除されてすぐに完成したのが本作。つまり、彼自身の秋~冬ともいえる一番困難な時期に書かれていた作品ということを知っていると、その感動も一層大きなものになるのではないでしょうか。

谷本:辛い時期を乗り越えたあとにこのハッピーエンド。パンデミックで苦しんでいる私たちの心にも響きそうですね。

「東京文化会館」が日本の舞台芸術を牽引してきた


谷本:公演会場のひとつである東京文化会館は今年、開館から60周年を迎えたそうですね。

大野
:私は上野の学校(東京藝術大学)に通っておりましたので、東京文化会館は非常に身近な、庭のような場所でした。

そっとゲネプロを観せていただいたりして(笑)、ずいぶん勉強させていただきました。私のプロ指揮者としてのデビューも東京文化会館だったんですよ。




東京文化会館のバックステージの壁や柱に記された、世界中のプレイヤーのサインやメッセージ

谷本:オペラやバレエ……まさに日本の舞台芸術を牽引してきたような劇場ですね。

大野:演者や奏者を惹きつけるDNAを持っている場所なんですよ。バックステージの壁や柱に、世界中のプレイヤーたちがサインやメッセージを書いているんですが、それを見たら東京文化会館が果たしてきた役割を理解していただけるでしょう。

作り手と聴衆をつなぐキーポイントとして常にあった東京文化会館の60周年をみなさまと一緒に寿(ことほ)ぎたいですね。


オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World『ニュルンベルクのマイスタージンガ—』新制作 全3幕 原語(ドイツ語)上演 日本語・英語字幕付

〈東京文化会館公演〉
公演日程:2021年8月4日(水)14時開演、2021年8月7日(土)14時開演
※開場は開演の60分前。予定上演時間は約5時間30分(休憩2回を含む)
会場:東京文化会館大ホール(東京都台東区上野公園5-45)
総合プロデュース、指揮:大野和士
演出:イェンス=ダニエル・ヘルツォーク
料金:S席29,700円 A席23,100円 B席18,700円 C席14,300円 D席9,900円 E席5,500円 F席3,300円 25歳以下3,300円(A・B席/数量限定)
発売日:2021年4月3日(土)
チケットのお申込み:東京文化会館チケットサービス 03₋5685₋0650 t-bunka.jp ほか
その他詳細は下記公演詳細ページへ
https://www.t-bunka.jp/stage/10110/

提携公演
オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World『ニュルンベルクのマイスタージンガ—』
〈新国立劇場公演〉
公演日程:2021年11月18日(木) 16:00開演、11月21日(日) 14:00開演、11月24日(水) 14:00開演、11月28日(日) 14:00開演、12月1日(水) 14:00開演
会場:新国立劇場 オペラパレス(東京都渋谷区本町1-1-1)
オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World特設ウェブサイト
https://opera-festival.com/


大野和士◎東京生まれ。東京藝術大学卒業。1987年イタリアのトスカニーニ国際指揮者コンクール優勝。以後、世界各地でオペラ公演ならびにシンフォニーコンサートで聴衆を魅了し続けている。90~96年クロアチア、ザグレブ・フィル音楽監督。96~02年ドイツ、バーデン州立歌劇場音楽総監督。92~99年、東京フィル常任指揮者を経て、現在同楽団桂冠指揮者。2002~08年ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)音楽監督。12~15年イタリアのアルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者、08~17年フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者を歴任。15年から東京都交響楽団ならびにバルセロナ交響楽団音楽監督。オペラでは、07年6月にミラノ・スカラ座デビュー。その後、メトロポリタン歌劇場、パリ・オペラ座、バイエルン州立歌劇場、グラインドボーン音楽祭、エクサンプロヴァンス音楽祭などに出演。15年度朝日賞など受賞多数。紫綬褒章受章。文化功労者。17年フランス政府より芸術文化勲章「オフィシエ」を受勲。18年9月より新国立劇場オペラ芸術監督。

谷本有香◎Forbes JAPAN Web編集長。証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年に米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターに。これまでに、トニー・ブレア元英首相、アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアック、ハワード・シュルツ スターバックス創業者はじめ、3,000人を超える世界のVIPにインタビューした実績がある。

Promoted by 東京文化会館 文=秋山 都 写真=吉澤健太