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2021.02.25 16:00

顧客の人生に寄り添い真に顧客本位の資産形成を提案する 独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)がいま求められている

ウェルズパートナーズ代表取締役社長 福井元明(左)、マネックス証券取締役会長 松本大

ウェルズパートナーズ代表取締役社長 福井元明(左)、マネックス証券取締役会長 松本大

コロナ禍による金融市場の不安定化を背景に、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)を経由した投資が増加している。世界的な株安の段階で運用を始めた人もいるが、それ以上に、資産運用の必要性を認識する機会になったと感じている人は多く、ライフプラン(人生設計)に応じた専門的なアドバイスへのニーズが増していると考えられる。

IFAは特定の金融機関に所属せず、独立・中立的な立場で顧客本位のアドバイスを行う専門家だ。アメリカでは約30年前から普及し始め、医師や弁護士などと並ぶ人生に不可欠な存在とされ、信頼できるIFAをパートナーに金融資産を増やすのが一般的なスタイルだ。一方、日本においては金融商品仲介業として2004年に制度化されたものの、その価値を享受する市場の拡大はこれからが本番だといわれている。

人生100年時代が到来した日本において、IFAは根付いていくのか。また、どのように根付かせるべきなのか。独立系プライベート・バンキングとしてIFA事業を展開する「ウェルズパートナーズ」代表取締役社長の福井元明と、同社と業務提携しプラットフォームを提供する「マネックス証券」取締役会長の松本大が思いを語り合った。



時代が求めたのは、顧客本位の相談相手


福井元明(以下、福井):創業から丸2年が経ち、老後資金2,000万円問題や現下のコロナ禍の影響を受け、オンラインでの相談件数が倍増するなどIFA市場に大きな変化が現れています。松本さんは証券業界におけるこの情勢をどのように分析されていますか。

松本大(以下、松本):日本の証券市場は、小泉内閣時代の金融システム改革以降大きく変容し、時代の流れとともに変化を続けているわけですが、世界的規模のコロナショックによってその業界改革の動きが加速したと考えています。

具体的に言うと、過去には証券会社の無理やりな営業スタイルが横行していた時代があり、その反省から、投資家が自らの考えに沿って取引をするネット証券が生まれました。しかし、利幅狙いのトレーディングが増えたり、逆に一度買ったものをライフステージが変わっても保持し続けてしまい資産形成につながらなかったりという弊害も出てきたわけです。そんななかで、IFAのように顧客に寄り添ってアドバイスしてくれる役割が求められるようになったということではないでしょうか。

福井:よくわかります。実はネット証券で取引をしている方からの問い合わせも徐々に増えていまして、つい先日は、「70歳を越えて記憶力も衰え、自分で判断できなくなってきたのでIFAに相談に乗ってほしい」というケースもありました。

松本:そこがまさに、私たちが御社との協業を考えた要因のひとつなのです。私は1999年に35歳でマネックス証券を創業しましたが、そのときの顧客の中心年齢が30代、同じ世代が共感したんですね。そしていま私が57歳で、顧客の中心年齢も同じように年をとって退職準備世代になっています。さらに、当時50歳だった方は70歳を越えてきている。これらの方々に向けた新しいサービスとしてIFAが必要だと考えていたのです。

加えて、昨今のコロナによる流動化などの情勢下では、日本企業を含め世界の資産の価値が着実に上がるなか、相対的にお金の価値が下がっています。預金だけでは自分の財産は実質的に目減りしてしまっているのですが、こういった世の中の変化に対応できない人も少なくない。資産形成や投資というものを考えてくれる人をもっと増やさないといけないという思いから、IFAと協業することが重要だという判断に至りました。



質の高いIFAをどれだけ供給できるか


松本:IFAを探し求めたときに、ちょうど当社の取引銀行の窓口担当だったのが、福井さんの同期の方。ご縁を感じますね。改めてですが、創業への思いを聞かせてください。

福井:原点にあるのが、みずほ銀行時代にプライベートバンキング発祥地のスイスで金融マンを経験したことと、身近にいたIFAの存在です。原則として転勤がないため世代を越えて顧客とその家族に寄り添い、中長期的に「顧客本位」のサービスを追求する。その真摯な姿勢に魅力を感じるとともに、日本の金融マンとの違いを痛感させられましたね。また、日本と欧米の金融格差にも愕然としました。よい金融マンを育てればお客様にもよい影響が及び、金融リテラシーの格差もなくしていけるのではないかと考えたのです。

顧客の資産形成に寄り添うというのは、資産を増やすだけでなく、相続や事業承継など幅広いニーズに応えるということだと思います。そのような、主に富裕層が抱える資産に関する悩みを解決するためには、金融知識のみならず、会計士、税理士、宅建資格保持者など幅広い分野の専門知識が必要であり、当社では、さまざまな業界からプロフェッショナル人材を採用して、チームで顧客に対応する体制を整えています。

松本:日本の金融市場にIFAが根付くかどうかは、単なる商品セールスにならずに資産形成の総合的なアドバイスができる、質の高いIFA人材を今後どれだけ供給できるか、にかかっていると思います。よいことをやっても、それを享受できるお客様が少ないと、社会に対する貢献度は小さい。「理念」と「質」を維持しながら、いかにスケールしていくかが、最大の課題ですね。

福井:そうですね。当社でも、社内で勉強会や情報交換会などを通じてIFAにとって必要な知識の底上げに努めていますし、今後はプライベートバンカーやウェルスマネジメント出身者のさらなる拡充を図りたいと思います。

分業化×専門性がもたらす効果とは


福井:ここ2、3年の金融業界の傾向として、分業化の流れがあると思うのですが、いかがでしょうか。実際に、IFAの世界では、証券会社や銀行などから独立系のIFAへ人材が流出しており、この流れは今後も続くと予想されます。一方で、御社のように、証券取引などのプラットフォーマーに特化した業態もあり、お互いの専門性を組み合わせることで、お客様により優れたサービスを提供できるのではないと考えています。

松本:おっしゃるとおりで、当社では、独自で構築したネット証券システムをベースに、バックオフィス系のシステムを提供するというビジネスモデルを展開しており、最近ですと、新生銀行や地銀への提供を実現しました。フロント業務はお任せし、当社は黒子に徹する。それによりフロントの専門性向上につなげる狙いがあります。

IFAに限って言うと、実際にはIFAといっても玉石混交なわけですが、御社に代表される高い専門性をもつIFAを当社では「プレミアムIFA」と位置づけていまして、そこへのプラットフォーム提供を通じて、良質なIFAとその利用者を増やしていきたいと思います。

福井:共通する理念は、「より多くのお客様の資産形成につなげたい」という思い。

松本:そうです。私たちの強力なパートナーシップにより、その実現を通して社会によりよい風を吹かせていきたいですね。

福井:一人ひとりの豊かな未来を、日本のみならず世界に拡大していきたいと思います。


▶ウェルズパートナーズ



福井元明(ふくい・もとあき)◎Wells Partners(ウェルズ・パートナーズ) 代表取締役CEO。1985年、鳥取県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、みずほ銀行に入行。在籍期間中に、数々の社内表彰を受賞するとともに、税理士法人やプライベート・バンキング業務を行うスイス現地法人への出向を経験し、国内外の幅広い金融商品や金融知識に精通。2019年、真に顧客志向の金融サービスを提供するために独立起業し、現職に就く。総資産数百億から数千億円規模の顧客(上場企業の創業家、芸能人、スポーツ選手、政治家など)の資産運用・資産保全に従事する。



松本 大 (まつもと・おおき)◎マネックスグループ代表執行役社長CEO、マネックス証券株式会社取締役会長。1963年、埼玉県浦和市生まれ。東京大学法学部を卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来CEOを務める。

Promoted by ウェルズパートナーズ │ 文=五十嵐せい 写真=三木匡宏 編集=高城昭夫