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写真左:福永 哲 写真右:林屋克三郎 絵:宮廻正明作 「天水」

「人生100年時代」と言われるなか、日本人の2人に1人が一生涯で一度はがんに罹患(りかん)するとされる。黎明(れいめい)期から胃がんや食道がんの腹腔鏡下手術を手がけてきた順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器・低侵襲外科教授の福永哲と、「本物の医療」を求めるビジネスパーソンの思いに応える銀座メディカルクラブの林屋克三郎が、予防医療の大切さを語る。


林屋克三郎(以下、林屋):福永先生は、世界で初めて胃がんの腹腔鏡下手術が行われたわずか3年後から腹腔鏡を使った手術に取り組んでこられました正にパイオニアです。

福永哲(以下、福永):1994年から胃がんの手術を始めて、95年には大腸がん、97年からは胸腔鏡を使った食道がんの手術に取り組んできました。私が所属している順天堂医院消化器・低侵襲外科の胃がんの腹腔鏡下手術の経験は2,500以上と日本でも有数の症例数です。

林屋:黎明期から今日に至るまでには、かなりのご苦労がおありだったとお察しします。

福永:私が腹腔鏡下手術を始めたころは手技が確立されておらず、教科書もありませんでした。そのため、開腹手術を腹腔鏡で再現する方法を自分で考え、血管を露出させる方法や脂肪組織や臓器を避けるための工夫などを積み重ねながら技法を開発してきました。

林屋:開腹手術に比べて、腹腔鏡下手術にはどのようなメリットがありますか。

福永:最大の利点は、患者さんの体への負担が非常に少ないことです。我々は開腹手術も行いますが、腹腔鏡下手術を受けた方と開腹手術を受けた方では術後の負担が非常に少ないことです。我々は開腹手術も行いますが、腹腔鏡下手術を受けた方と開腹手術を受けた方では術後がまったく違います。腹腔鏡下手術は、なるべく体に傷をつけずに行う低侵襲治療なので、侵襲が増えることによる合併症が起こりにくくなります。当然、痛みや体へのストレスが少ないので入院期間が短くなりますし、次の治療に移行しやすいという魅力もあります。そのため、我々が手がける胃がんの手術のうち97%は腹腔鏡下手術なのです。

林屋:97%とは驚異的な数字ですね。とはいえ、どの病院でも腹腔鏡下手術が受けられるわけではありません。

福永:胃がんの手術のうち、腹腔鏡下手術の割合は全国平均で40%から45%といわれています。しかし、施設によっては早期がんだけにとどめているところもあります。我々が手がけるような高度な進行がんや化学療法後の進行がんに対する腹腔鏡下手術には高い技術力が求められるため、残念ながらどこでも受けられるわけではありません。読者の皆さんには、もし手術を検討するときには各施設の症例数や治療成績をしっかり確認していただきたいと思います。

林屋:福永先生は、患者さんとの信頼関係も大切にされていますね。

福永:もちろんです。我々のところには、ほかの病院で手術が無理だと言われた方がたくさんお越しになります。治療を受けるのは患者さんご自身ですし、患者さんにとって、その手術は一生に一度のことです。ですから私は、信頼関係ができるまで何度でもご説明します。患者さんが納得し、この治療を受けたいと心から思っていただくことが何より大切なのです。そして手術のときには必ず、スタッフに対して「自分ができることはすべてやったと完全に納得するまでは絶対にメスは下ろすな」と言っています。

医療はクオリティが何より大事


林屋:銀座メディカルクラブは早期発見・早期治療で健康を支える完全会員制の医療クラブです。最新鋭の医療機器で検査をしたのち、病気が見つかった場合には福永先生をはじめ、世界最高水準の医療を手がけるスーパードクター42人にスピーディーに診療を依頼できる体制を整えています。

福永:医療はクオリティが何より重要です。内視鏡もCTもMRIも、数ミリの病変を見つけられるかどうかは読影する医師の技能にかかっています。手術も同じです。手術は細かい技術や知識の集大成です。その医師があらゆることに精通しているかどうかはメスを持っただけでわかります。林屋さんのご紹介でお越しになる患者さんは健康への意識が高く、質の高い医療を望まれる方が多いですね。

林屋:しかしながら、海外に比べて日本人は予防医療に投資するという意識が薄いのではないか、と日々感じています。予防医療にお金をかけるよりも、まずは高級車を買いたいと。

福永:早期発見・早期治療には多くのメリットがあります。林屋さんが提供されているような検査を定期的に受けている方は、がんが見つかっても大掛かりな手術になる可能性は極端に低くなります。高級車を手に入れたとしても、検診を後回しにしたために進行がんで命を落としてしまっては悔やみ切れないでしょう。高級車にお金を使う前に、医療に投資することを私はお勧めします。


福永 哲◎琉球大学医学部を卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院外科に入局。米ピッツバーグ大学留学、がん研究会有明病院消化器外科などを経て、2015年に順天堂大学消化器・低侵襲外科教授に就任。

林屋克三郎◎銀座メディカルクラブ代表取締役。慶応義塾大学を卒業後、三菱銀行、議員秘書を経て独立。2013年、最善の治療法と最高の医師を提供する銀座メディカルクラブを設立。先端医療の普及に努めている。


銀座メディカルクラブ
https://www.ginzamedicalclub.com/

text by Hiro Matsukata | photograph by Tsuyoshi Ando | hair and make-up by TOYO

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