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2020.11.12

「突き詰めることで世界は広がる」出口治明が語る投資の本質──〈儲けるため〉ではなく〈世界を知るため〉に投資しよう#3

立命館アジア太平洋大学(APU)学長 出口治明

この連載「〈儲けるため〉ではなく〈世界を知るため〉に投資しよう」では、自らを成長させる投資について提案してきた。

最終回である今回は、立命館アジア太平洋大学(APU)学長である出口治明(でぐち はるあき)氏に「好きな分野を突き詰めることの大切さ」について話してもらった。

58歳の時にライフネット生命(創業時社名・ネットライフ企画)を創業した出口が「どんな領域に自己投資しようと等価だ」「気力も体力もある今だからこそできる投資がある」──と語る真意は?

「自分の能力=資産」を大きく育てリターンを得よ


「『投資』には2つのタイプがあります。それは『金融商品への投資』と『自分自身への投資』です。20代、30代の若い世代であれば、絶対に自己投資が基本です」――長年、日本生命で金融制度の改革や保険業法の改正に携わり、その後、60歳にして自ら新たな生命保険会社「ライフネット生命」を立ち上げた経験から、金融の世界を知り尽くしている出口治明はそう言い切る。

「一般的に、働き始めてそんなに年数が経っていない世代において、お金が貯まっている人は少数派でしょう。ならば、お金をどう使おうかと考えれば、好きなことを勉強して自分自身に力をつけることが、一番良い投資です」

持論には理由がある。日本人は平均して、生涯で2~3億円ほど稼ぐといわれている。もし、自分にもっと価値をつけることができれば、その額を何倍にも増やせる。しかも、体力、気力があり、頭も柔軟な若いうちに学べば、それだけ多くを吸収して身につけることができ、これから先、一生の財産となるのだ。

「例えば、同じ入場料を支払って、バチカン市国にあるローマ教会の総本山のサン・ピエトロ大聖堂に入るとします。展望テラスに行けば、街の美しい姿を見下ろせますが、全551段の階段がある。エレベーターを使っても320段は自分の足で上らなければなりません。70歳くらいになれば、上らなくてもいいと考える。でも、若ければ、上ってみようと思う。人生、今しか見えない景色、今しか学べないことがある。だから、自分が好きなこと、興味があることを突き詰めてやることですね。学問でなくても、なんでもいい。将棋が好きならそれをとことんやればいい。若いうちなら、同じ金額で3倍も4倍も勉強できますし、その経験を生かせる年月も長いのですから」

とくに出口が勧めるのが「人・本・旅」。たくさんの人に会い、たくさんの本を読み、たくさん旅をする。この3つが人間を刺激し、賢くする方法だという。人に会えば、新たな知識や価値観を得て、成長できる。本を読めば、自宅にいながらも歴史や自分の知らない世界への扉が開かれる。つまり、時空を超えて学ぶことができる。そして、旅をすれば、広い世界を五感で感じることができる。

旅とは、何も海外へ行くことではない。現場へ行ってみるということだ。「『美味しいパン屋ができたよ』『へえ、そうなんだ』では、本当に知ったことにならない。行って、買って、食べてみて初めて美味しいパン屋ができたということが実感として分かるわけですよね」。身近なところにも旅はあり、いつもの自分の居場所から一歩外へと出てみることが旅になるのだ。

「自己分析すれば、僕は本が50%で、人と旅が25%ずつくらいから出来ていると思います。この比率は人それぞれです。別に理想の比率などどこにもない。人が100%でもいいし、旅が100%でもいい。自分にとってのベストな比率で好きなことを追求すればそれでいいと思います」

しかし、多くの情報やモノで溢れる昨今、選択肢が多いが故に、なかなか自分の好きなものを見つけられないという人も多い。そんな人は、語学、とくに英語を学ぶべきだと出口はいう。

「英語を勉強したからといって必ず英語を使う仕事に就く必要はありません。でも、今の時代、例えばGoogleでキーワード検索すればすぐに分かりますが、日本語で検索するのに比べて、英語のサイトを読めるほうが、得られる情報の幅が広く、量も圧倒的に多い。自分が必要とする情報を英語で検索できるだけでも差がつくのです」

どんなことでも突き詰めていけば、必ず世界は広がる。そして、それをきっかけに世の中のことがいろいろと理解でき、その理解を自分のものとすることで成長につながる。成長して、人間としての価値が高まれば、人生の様々な局面において自由に選べる選択肢が広がる。その意味ではどんな領域に自己投資しようと等価だ。自分が持つ能力という資産をいかに大きく育ててリターンを得るか、それが自己投資の最大の課題なのだ。


「人・本・旅」で世界を広げるべき、と語る出口

自己投資の一環としてお金を投資する


単に儲かるからとか、人に勧められたからとか、流行っているからという理由で投資をするのではなく、お金に対して興味があり、真剣に学んでみたいのであれば、自己投資の一環として、金融商品を買うという投資はありだと出口は考える。

「どんなに能力があっても、大して興味がないことや好きではないことには本気になれませんし、身につきません。金融商品への投資も同じです。お金を増やすことに強い興味があり、10万円を100万円にしたい。さらには、100万円を1000万円にしたい。そう思って、本当にやりたいのであれば挑戦してみればいい」

ただし、経験のない人が挑戦するのであれば、毎月決まった金額を「ドルコスト平均法」で買い続けることを薦めるという。ドルコスト平均法とは、定期的に、継続して、一定の金額ずつ同じ金融商品(投資信託など)を購入する投資手法だ。毎月投資し続けることで、価格が安い時には多く、高い時には少ない量を自動的に購入することになるため、一定量をまとめて購入するのに比べて平均でみれば、コストを低く抑えられるというメリットがある。

「一般の人が金融投資を始めるのであれば、最初はドルコスト平均法がいいでしょう。為替リスクをとりたくなければ日本株だけにする。為替リスクをとってもよければ外国株を対象にした投資信託を買い続ける」

NISAなど、投資によって得られた利益が非課税になり、節税しながら運用できる投資優遇税制もある。これも利用すると良いと出口はアドバイスする。

「税制が優遇されている今なら、ドルコスト平均法による投資信託に税制優遇を組み合わせれば、一番有利な投資になります。投資初心者にとってはこれがベストな選択」

しかし、この挑戦にはルールがあるという。それは、投資に使う金額は「なくなってもいいお金の範囲内で収めること」だ。月に1万円とか2万円とか、無理のない範囲で始めること。購入していることを忘れるくらいでちょうど良い。そして、もうひとつ「長期的な視点を持つこと」。自己投資も同じで、すぐに結果を求めるのではなく、根気強く続けるということだ。

「無理のない範囲内で一定額を買い続け、お金が必要ならチェックしてみて、儲かっているなら売ればいいし、儲かっていなければ持ち続ければいい」

こう話した後、その気になりがちな若者に、きちんと釘を刺すことを、出口は忘れない。

「一般論でいうと、現在のこの金利情勢や日本の成長率を客観的に考えれば、お金を増やそうと金融投資をするよりも、好きな分野を追求すること、すなわち自己投資のほうが先々のリターンが大きくなる可能性が高いと思うのです。こんなことをいつも話しているので、『出口さんは金融機関の敵ですよ』と冗談でいわれているんですよ」

辛口の言葉も、出口自身が金融の世界に精通し、今は大学の学長として、社会の未来である若者を育てることを自らの役割と認識しているからこそである。綺麗事は決していわない。その代わりに本質をついている。

「若い世代にとって投資の基本は自己投資。それを踏まえて、お金や金融の世界に惹かれるのであれば、上場企業の中から自分で銘柄を選ぶ株式投資でも、外国為替の変動差異を狙って取引するFXでもいい。自分が応援したいスタートアップ企業に投資してもいい。とにかく、満足いくまで、勉強してやってみることです」

実を結ぶ投資を行うために


世界は今、ものすごいスピードで変化している。日本もそのスピードに乗ることを否応なく求められる。その流れの中で、大きいものや強いものが必ず生き残るとは限らない。ダーウィンの進化論でいえば、うまく「適応したもの」だけが生き残るのだ。

「歴史を見ていると、滅んだ王朝は危機感が薄かったり、改革をやらなかったわけではないのです。みんな危機感を持っていて、改革をやろうとしていました。ただ、そのスピードが遅かったがゆえに、滅んだのです。だから、世界と変化のスピードの競争をやっているんだという認識を持たなければいけませんよね」

気力も体力もある今だからこそできる投資がある。何にどのような投資をして、どれだけのリターンを得るのか、チャンスは無限に広がっている。「自分が納得するまでやってみること。どんなことでも突き詰めたら、世界は広がっていきます。それが投資の本質です」それが出口からのメッセージだ。

出口治明(でぐち・はるあき)◎立命館アジア太平洋大学(APU)学長。1948年三重県生まれ。京都大学法学部を卒業後、日本生命保険相互会社入社。主に経営企画を担当。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任し、2006年に退職。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業、12年に上場。社長、会長を10年務め、退職。2018年より現職。読書家としても知られており、保険、お金の話をはじめ、歴史への造詣が深いことから日本史、世界史関連など、著書多数。




※本記事内容は、出口氏への取材に基づき作成しており、野村證券の見解によるものではございません。

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