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2020.08.26 11:00

オーダースーツは語る。いまなぜ麻布テーラーが選ばれるのか

日本の老舗テーラーとして常にお客様に寄り添ってきた麻布テーラーには、ビジネススタイルがカジュアル化するいまだからこそ、あえて仕立てたい特別感があるという。多くのビジネスリーダーを惹きつけ、「雄弁に語りかけてくるスーツ」の魅力とは──。

同テーラーによるオーダースーツの約半数を手がける滋賀工場を訪ね、メルボ紳士服工業代表取締役社長・清水貞博に話を聞いた。



「より良き洋服」を追求する姿勢に終わりなし


麻布テーラーには語るべき言葉がある。歴史を遡ると、1918年に大阪で誕生した「平野屋羅紗店」にまで辿り着く。現在は「メルボグループ」として束ねられており、その基幹事業になっているのが麻布テーラーだ。グループ内のメルボ紳士服工業で代表取締役社長、メルボメンズウェアーで代表取締役副社長、メルボ紳士服で取締役に就く清水貞博は、「平野屋羅紗店」を創業した清水貞吉から数えて四代目にあたる。

「私たちには古くから受け継がれてきた言葉があります。『より多くの人々に、より良き洋服を提供することを念願とする』という社是です。かつては、この言葉を刻み込んだ紙片が毎月の給料袋の中に必ず入っていたと聞いています。そして現在も、給与明細には社是が印字されています」

給料袋という文化が廃れても、社是は脈打つことをやめない。『より多くの人々に、より良き洋服を提供すること』を願い続けた成果が、現在の麻布テーラーのオーダースーツである。



「お客様は、年齢も体型も職業も地位もさまざまです。すなわち、スーツに求めるものは一人ひとりで違います。『より良き洋服』というものは、人の数だけ存在するのです。その千差万別に寄り添い、布地を使った立体物として正しく表現するのが私たちの使命です。絶え間ない努力で千差万別を表現したスーツによって、お客様がなりたい自分になるためのお手伝いをしています」

「いいスーツとは何であるか」という問いに対し、清水は単に技術論を語るのではなく、代々受け継がれてきた社是に立ち返りながら、麻布テーラーならではの深みのある哲学を述べてくれた。そして、こう続けた。

「洋服とは『自分のステータスを表すもの』であり、『対面する相手に対し、自らが与えたいイメージを掻き立てるもの』であり、『自分の内面性を外側に伝えていくもの』であると思います。時代がどのように移り変ろうとも、仕事において『誠意』『丁寧さ』『気遣い』『手間をかけることの価値』をアピールすることができる『より良き洋服』がスーツであるという事実は不変です」

事業成長に火をつける組織のあり方とは


「より良き洋服」とは実にファジーな概念であるが、麻布テーラーにおいては万全な形で言語化されているようだ。語るべき言葉をもった老舗は強い。だが、麻布テーラーの強みは社是に基づく哲学だけにとどまらない。メルボグループならではの体制にも強靭さを宿す。

「麻布テーラーは、工場と小売業の両輪で成り立っています。生産現場であるファクトリーとリアルな顧客接点となるショップが常に良好な関係性で結ばれていないと、我々は正しい目的地に辿り着けません」

ファクトリーとショップの付き合い方に不備があり、そのゆがみを放置していると経営に目詰まりが生じる。現場をまたいだ円滑なリレーションシップは事業存続の生命線だが、そこにも語るべき言葉が息づいているようだ。各現場にいる人間は、誰もが自分の立場で議論のベースとなる言葉をもっている。そのおかげで、議論の後には磨き抜かれた言葉が残る。清水を媒介にして専門領域を横断した対話が成されることにより、各所のイノベーションが進行していく。ファクトリーとショップが有機的に結合する麻布テーラーならではのシナジーがあるのだ。これには、清水によるリーダーシップの振るい方が奏功している部分も大きい。

 「私は、現場の社員を信じています。それでいて、誰かの意見に偏りすぎない、どこの部門にも寄りすぎないことを意識しています。どこの担当者とも議論はしますが、最終的には任せます。会社としては総論レベルの哲学が共有できていればいいのです。各論やテクニックについては譲るようにしています」

「現場に解あり」とはよく聞かれる言葉だが、麻布テーラーでは常にこうして現場の最適解がすくい上げられている。会社としての最上位目標=社是を徹底しながら、議論の後には現場に裁量権を与え、自立する心を養わせる。こうした組織のあり方こそが、事業成長のイグナイター(火つけ役)となるのだ。


滋賀工場は1969年に操業を開始した。現在の従業員は176名で、平均年齢は40歳。かつて同工場ではロンドンのサヴィル・ロウを代表する某有名テーラーのスーツも手がけていた。これまで50年以上にわたって積み上げてきた智恵と熱き職人魂が、次代を担う若き人材へと確かに継承されている。





現在では日本に数台しか残っていない特殊なミシンを使い続けている一方で、AIを駆使した最新マシンも導入し、巧みに使い分けている。使い勝手と効率を重視して、ほぼすべてのマシンをカスタマイズしているところにも、工程プライドが感じられる。


滋賀工場では年間で4万5,000着のスーツを生産(広島工場も同規模)。麻布テーラーの直営工場では一部のアイテムまたは工程を他社が運営する工場に外注することなく、ジャケット、パンツ、ベスト、コートの各アイテムを一貫生産できる。そのため、時間的・物質的なロスの軽減が可能で、納期や品質の管理も万全に行える。

工場に充満する誇り、地元から贈られる喝采


麻布テーラーの各店舗で受注したオーダースーツは、滋賀と広島の工場で生産されている。東日本の受注分は滋賀、西日本の受注分は広島が担う。各工場には「工程プライド」という標語が受け継がれているという。分業された工程のグループごとに(例えば、ジャケットの縫製だけでも4つのグループに分かれている)、自身の仕事に誇りをもって臨むということだ。滋賀工場で工場長を務める後藤正貴は、静かな語り口のなかに熱い想いをにじませる。

「『MADE IN JAPAN』に対して人々が抱いている『安心感』というものに応え続けていく。それが、私たちの存在意義です。そのためには、伝統技術を守り続けているだけでは不十分。常に何かを改良し、発信する工場になっていく必要があります」

麻布テーラーでは、直営工場が受け身でいることは許されない。「自分たちで売れるものを考えて、自分たちで好きにつくってみろ」と清水社長から題目が与えられ、「悩むこと」「変わること」を求められた経験がいまに生きている。

「『技術を変え、パターンを変えることで、すぐに売れる商品がつくれるわけではない。身をもって、ものを売ることの難しさを知ってほしい』と社長から叱咤激励されました。そこで立ち上げたのが、『近江上着』という既製品のブランドです。商標登録の許可が下りたのは、平成30年。同時期に広島工場では『安芸上着』がスタートしました。まだ始まったばかりですが、それぞれの地元では、ふるさと納税の返礼品になっています。これからも、工場そのものがひとつのブランドとなって地元の人々から誇りに感じていただけるように精進していきます」


メルボ紳士服工業の滋賀工場で工場長を務める後藤正貴。彼自身もまだ42歳と若く、自らの舵取りで工場発信の地場ブランド「近江上着」を立ち上げるなど、進取の気性に溢れる。

ビジネスの本質は自らの言葉に想いを込めること


いま、このコロナ禍において清水が考えていることとは、何だろうか。

「これまで以上に自分たちのできることを突き詰めて、世の中に届ける努力をしていかないといけません。コロナ禍は、『突き詰めること』『努力すること』について、改めて深く考えるきっかけになりました。いまは、『人と人がつながって顔が見えるなかでものをつくる』という私たちの強みをもう一度見直すチャンスだと捉えています」

「昨今、多様化の時代などといわれていますが、実はさまざまな業界で大企業によるサービスの独占化が進んでいます。確かに限られた枠の中での多様化はしていますが、実は集約化の時代が訪れているのではないでしょうか。大企業によって簡便性や合理性が謳われたツールで、お決まりの生活様式が量産されています。ある程度の選択肢もあるし、ラクですし、より良い生活のようにも思えますが、それでは小さな世界に閉じ込められているようなものだといえないでしょうか。こうした状況において、私たちは『顔が見える』『お客様一人ひとりに寄り添った』『人と人とがつながりを大切にする』サービスに磨きをかけていきます。そのために社内においても、お客様との関係構築においても対話を求め続けていきます」

紳士服の聖地とされる英国において、オーダースーツはビスポークと呼ばれている。ビスポーク(bespoke)は「be-spoken」に由来し、そこには「話し合う」という意味が込められている。話し合いを構成するのは言葉であり、想いだ。

麻布テーラーには100年企業として長きにわたる歴史のなかで受け継がれてきた言葉がある。接客の現場で、お客様とやり取りする言葉がある。接客の現場と生産の現場で交わされる言葉がある。生産の現場では工程を横断して切磋琢磨する言葉がある。ひとつの工程のなかでも常に改善を求める言葉がある。麻布テーラーのオーダースーツには、ありとあらゆる言葉が詰まっているのだ。海外で大量に生産されたり、ネットのみで販売が完結していたりで、言葉が足りていない洋服が溢れているいま、言葉すなわち人間の想いを纏う行為。それが、麻布テーラーでスーツをオーダーするということだ。自らの言葉で想いを伝える。これこそが、ビジネスの原点ではないか。ビジネスリーダーたる者、自らの想いを込めたスーツからまずは取り掛かろうではないか。




滋賀工場(上)と広島工場(下)の外観。


しみず・さだひろ◎1978年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、アパレルメーカーで中国の現地法人で仕事を経験した後、2006年、メルボ紳士服に入社。同年、メルボメンズウェアーの取締役に就任。10年、メルボ紳士服工業の代表取締役社長に就任。18年、メルボメンズウェアーの代表取締役副社長に就任。

Promoted by 麻布テーラー / text by Kiyoto Kuniryo / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro