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写真左より、有限責任あずさ監査法人金融事業部ディレクター・保木健次、KPMGコンサルティング株式会社フィンテック イノベーションマネジャー・渡邊崇之、有限責任あずさ監査法人金融事業部マネジャー・加藤愛

新型コロナウイルスの感染拡大によって「金融の非対面化」は進んだが、一部の企業以外は対応が追いついていない。しかし、KPMGジャパンは、金融機関とフィンテックスタートアップをつないで「金融の変革」を加速させる。


「新型コロナウイルスの影響で時計の針が2~3年は早まりました。今後、金融機関は否が応でもフィンテックを活用せざるをえなくなるでしょう」

そう語るのは、KPMGコンサルティングフィンテック・イノベーションの渡邊崇之だ。新型コロナウイルスの感染拡大で人々の行動様式は変わり、あらゆる分野のサービスが非対面・非接触化しつつある。ただ、これまで金融業界は、他の業界に比べてデジタル対応が遅れていた。

「グローバルではプレゼンスが高まっていますが、日本でフィンテック活用に積極的なのは大手金融機関くらいで、地銀や信金など地域密着の金融機関は活用が進んでいないのが実態でした」(渡邊)

その状況がコロナでようやく変化を迎えつつあるが、あずさ監査法人金融事業部保木健次は「コロナ前から地殻変動は起きていた。象徴的なのは、金融機関の範囲の拡大だ」と指摘する。

「金融機関の範囲が拡大する背景には、スタートアップを中心とした新たなプレイヤーが開発した革新的なサービスがあります。今後はスタートアップがフィンテックを活用して提供する利便性の高いサービスに消費者が魅力を感じて、市場のボリュームはスタートアップの得意分野である非対面取引にシフトしていくでしょう。この流れは以前から起きていて、今回のコロナで決定的になりました」(保木)

「自前主義」では周回遅れになる


既存の金融機関は、この変化にどうすれば対応できるのか。有力なアプローチのひとつが、オープンイノベーションだ。

「インターネットとスマホが普及して、顧客が金融機関以上に情報をもつ時代になり、顧客ニーズに基づいてサービスを提供することが求められるようになりました。その結果、非対面の世界で顧客接点をもつために金融機関は非金融のニーズにも応えることが求められるように。しかし、既存の金融機関には非金融の知見や経験が少ない。補うためには、その分野のスタートアップと組むしかありません」(保木)

「課題はフィンテックの研究開発だけではありません。金融機関もシステム開発部門がありますが、たとえ最先端のテクノロジーがあっても、それを実装するノウハウやリソースで苦戦されています」(渡邊)

自前主義から脱却して、足りないものを連携によって手に入れれば、市場が求めるものにもスピーディーに対応できる。スタートアップとのオープンイノベーションは、既存の金融機関が成長を続けるために欠かせないピースのひとつなのだ。



KPMGジャパンは、フィンテック・イノベーションセミナーを開催するなど、金融機関とスタートアップのオープンイノベーションを早くから支援してきた。とはいえ、マッチングしても、KPMGジャパンが直接的な利益を受けることはない。それでもなぜつなぎ役を買って出たのか。保木は次のように解説する。

「地方の金融機関はスタートアップとの接点は少ないし、スタートアップ側も全国に散らばる金融機関を一つひとつ回るリソースがありません。両方を一カ所に集めて何か生まれれば、『フィンテックのことはKPMGジャパンに相談しよう』と評価されて、さらにその流れが加速していく。すでに、これまでの活動を通して、スタートアップと金融機関との新しい取り組みがいくつか生まれています」

こうした活動が実を結び、フィンテック分野のプレイヤーとしてKPMGジャパンの存在感は増している。その過程で培った「つなぐ力」をもとにして、今年からオープンイノベーションの機会創出によりいっそう力を入れる予定だ。

まず今年6月には、フィンテックに関する会員制コミュニティサイトを開設した。いずれは、金融機関やスタートアップが情報を書き込み、チャットなどのツールで情報交換ができるようにする。現在は、これまでリアルでやってきたイベントのオンライン版がメインコンテンツだが、オンラインならではの強みがある。

あずさ監査法人金融事業部加藤愛は「オンラインならトレンドを踏まえたテーマで月1~2回のペースでイベントを開けます。これまでのノウハウだけでなくデータから分析を行い、金融機関の足元の課題やニーズにより合致したコンテンツ配信を行えるようになります」と語る。

KPMGはグローバルで「KPMG Matchi」というデータベースをもっている。ここには世界5,500社のフィンテックスタートアップが登録されており、KPMGはこれを参照してマッチングを行う。さらに、多様なスタートアップ向けのイベントも開催しているのだ。

実際にイベントに参加したユーザーからの評価は高い。ブロックチェーンを活用した開発環境を提供する合同会社Keychainは2016年に創業。世界最大級のフィンテックイベント「Singapore FinTech Festival」のアワードにKPMG Matchiから登録して、ファイナリストに残った。

共同創設者COOの三島一祥は、世界とつながる体験をこう語ってくれた。「アワードの後、シンガポールの政府向け企業やその他の大企業からお問い合わせをいただきました。私たちは創業したばかりで、マーケティングにそれほどお金をかけられない。その状況で、世界のフィンテック関係者にプロダクトを知ってもらえたことは大きな力になりました」

渡邊もメリットを強調する。

「日本のスタートアップはKPMG Matchiに登録するだけで世界の金融機関とつながれます。逆に日本の金融機関が海外のスタートアップとつながることもできます」

国内のコミュニティサイトにしろ、「KPMG Matchi」にしろ、器があれば勝手にマッチングが生まれるわけではない。KPMGジャパンの「つなぐ力」がオープンイノベーションへと発展する出会いを生むのだ。最後に保木はKPMGジャパンの強みについて次のように語ってくれた。

「金融機関とスタートアップはカルチャーが違うため、コミュニケーションの過程で誤解が生じることも。私たち監査法人は中立的な立場だからこそ、そうしたズレをフォローできますし、同時に、それぞれのいいところを知っています。それらを組み合わせることでフィンテックを盛り上げて、日本の社会に変革をもたらしたいですね」


コミュニティサイト
https://fintech.smartcore.jp/
KPMG Matchi
https://matchi.biz

保木健次◎有限責任あずさ監査法人金融事業部ディレクター。国内外の金融機関、金融庁を経て、現職。金融機関およびスタートアップに対する規制遵守対応アドバイザリー業務に従事。

渡邊崇之◎KPMGコンサルティング株式会社フィンテック・イノベーションマネジャー。大手企業での海外展開や経営企画業務を経て現職ではオープンイノベーションの支援に従事。

加藤愛◎有限責任あずさ監査法人金融事業部マネジャー。国内大手銀行で本邦発のオープンイノベーション企画の立ち上げ、および印鑑レス等の銀行業務のDX推進に従事後、現職。

Promoted by KPMG / text by 村上 敬 / photograph by 帆足宗洋(AVGVST)

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