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2019.10.28

サステナビリティ×ラグジュアリーの未来──ボッテガ・ヴェネタのアトリエに活用されるサステナビリティ技術

イタリア北部の都市、ヴィチェンツァでクラフツマンシップが息づく上質なファッションを創り出してきたボッテガ・ヴェネタ。そのアトリエにはサステナビリティの先端技術が活用されている。


地球の気候変動についての議論が熱を帯びている。9月23日、NYの国連本部で「気候行動サミット」が開催され、16歳の環境保護運動家グレタ・トゥーンベリは「How dare you(よくもそんなことを)」と、なかなか進捗しない地球温暖化対策について世界の指導者を非難した。

グテレス国連事務総長は、77カ国が2050 年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることを約束したが、15〜19年の気温は観測史上もっとも高くなることがすでに発表されており、予断は許されない状況にある。この同じ時期に伊ミラノで開催されていたのがファッション・ウイークだ。

20年の春夏コレクションを発表する各ブランドのランウェイにも、森林地帯をイメージしたデザインや、再生素材を用いるなど、地球環境を意識させるものが目立った。いま、ファッションブランドにとってもサステナブルであることが優先すべき課題となっている。

そして、ボッテガ・ヴェネタはサステナビリティを重要視している先鋒のひとつである。同ブランドは、上質なレザーを卓越したクラフツマンシップにより編み上げるモチーフ「イントレチャート」で人気を博し、イタリアのラグジュアリーファッションを代表する存在となった。


18年、32歳の若さで新クリエイティブ・ディレクターとして就任したダニエル・リー。ボッテガ・ヴェネタ伝統のイントレチャートのフェットゥーチェ(革リボン)を大きくした「マキシイントレチャート」などフレッシュなデザインチェンジを行う。

今回、新作コレクションを発表したショー会場では、太陽光を存分に採り入れるガラステントが建設され、床にはやわらかなクリーム色の再生素材で作られたイントレチャートが敷き詰められていた。このボッテガ・ヴェネタにとって、いま、サステナビリティはどんな意味をもつのか―13年に稼働し始めたというアトリエをヴィチェンツァ市郊外に訪ねた。




2020スプリングコレクションは、ベージュ、黒、水色、オレンジなど大地を思わせるカラーパレットに、木や石などの自然素材、サステナブルな質材をコレクションに取り入れた。

18世紀のヴィラを現代のアトリエへ


増築された工房部分は庭園に面した窓を一面のガラス張りに。

ミラノから車を駆り、高速にのって2時間半。古くから革職人の技法が伝えられるヴェネト地方にあって、宝飾の町として知られるヴィチェンツァ。

つまり、イタリアのファッション産業を支えるクラフツマンシップが色濃く息づくこの街で、ボッテガ・ヴェネタは1966年に創業された。一方でヴィチェンツァおよび市周辺は、15世紀から裕福な貴族たちがヴィラ(別荘)を建てて発展してきた歴史をもつ街でもあり、その壮麗な建築群は世界遺産都市にふさわしいものとして、いまも多くの観光客が訪れている。


19世紀のベネチアンスタイルで自然石を敷き詰めた床は、この建物が貴族のヴィラとして使われていた当時のそのままに残されている。

ボッテガ・ヴェネタのアトリエもそのひとつであり、18〜19世紀初頭に貴族であったアンセルミ家のヴィラとして建築された。東京ドームがすっぽりとおさまる5万5,000㎡もの敷地には青々とした芝生が広がる庭園、樹齢100年といわれるプラタナスの木々、左右対称の白亜の屋敷が往時の雰囲気を今に伝えている。


青々と広がる芝生の絨毯が美しい。

このように古い建築物を現代に活用するということだけでも持続可能性が高いのだが、それだけではボッテガ・ヴェネタのサステナビリティへの取り組みを網羅したとは言えないだろう。

まず建物に一歩入って驚くのは、とにかくクリーンで明るいということだ。2階まで吹き抜けの高い天井に、白い壁は外光をふんだんに取り入れ、反射することで明るさを増す。ことにプロトタイプやスペシャルオーダー品を創り出す工房は庭園に面した一辺を天井からの掃き出し窓にし、気候による日射量の変化に応じて自動で調光されるシステムを取り入れた。

高性能の断熱ガラスを使用しているため、職人たちは快適に、いつも一定の光量のもと作業できるほか、エネルギーの節約にもつながっている。そのエネルギー自体も1,200㎡のソーラーパネルから発電し、蓄電されているものだ。


左:“社食”の椅子はペットボトルからのリサイクル素材。一脚にコカ・コーラ100本が使用されている。右:陽光をほどよく遮る木製の“カーテン”。

また、取材に訪れた日はあいにくの雨だったが、この雨もサステナブルであることに一役買っている。庭園のメンテナンスに使われる水は雨水をタンクに溜めたものを灌漑して使用。空調は地下水をくみ上げることで地熱を活用するなど、水の活用には最新のエコシステムが活用されている。


雨水を貯水タンクにためて庭園に灌漑している。

まさに最新の科学とテクニックが随所に応用されているこの建物は、世界でもっとも厳しい評価基準と言われるLEED(米国のNPOグリーンビルディング協会による環境評価制度。建築物の持続可能性や、省エネと再生可能エネルギーの使用、水効率・節水性などの7項目で評価され4ランクに格付けされる)の、最高位であるプラチナ認証をファッション業界で初めて獲得した。

歴史と現代、ラグジュアリーファッションとサステナビリティという、一見対極とも思える概念を比類なきバランスで包括した稀有な場所なのであった。

人と地域を守り、育てる

そしてそのサステナビリティへの情熱はエネルギーのみならず、人やコミュニティの育成・保護にも向けられる。例を挙げるなら、ここヴィチェンツァのアトリエでは通勤する300人の職人とスタッフのため、ヴィチェンツァの市街地から無料シャトルを用意。全世界で18年までに使用するエネルギーの70%を再生エネルギーとすることを実現したものの、それでもなお排出したCO2については、その相当量をケニアやペルーで植林するほか、資材の活用法を教育することで相殺する「カーボン・ニュートラル」を実践している。

また、イタリアの皮革職人の技術を守り伝える「SCUOLA DEIMAESTRI PELLETTIERI(職人学校)」の開講、ミラノの本社オフィス敷地内に菜園を持ち、社食で供される野菜を自らまかなう「エコフードガーデン」など。その対象は自社に加え、ファッション産業を支えるサプライヤー(世界各地に点在する皮革生産農場・ファクトリーなど)についても、クリーンで快適な環境で働き続けられるよう厳正な基準を設けている。

進化するレザー生産・加工


左:幅広のフュットゥーチェを手で丁寧に編みこむマキシイントレチャートの製作。右:稀少なレザーはウロコや風合いをチェックしつつ丁寧にカット。

上質なレザーをフェットゥーチェと呼ばれるリボンにカットし、手で編み上げていく「イントレチャート」はボッテガ・ヴェネタを象徴するモチーフである。なめらかで柔らかく、また十分な強度と耐久性をもつレザーを製造できてこそ成しうる技法は70年代以来変わらず続けられており、それ自体がサステナブルだとも言えるのだが、このレザー製造までのプロセスにおいても、ボッテガ・ヴェネタはサステナブルな基準を自らに厳しく課している。

たとえば、動物のスキンをレザーに仕上げる際、欠かせない工程“なめし”においてクロムフリーを最大限に活用する準備を整えており、また染色についても、ウォーターベースの染料を使用している。さらにカーフ(牛)とラム(羊)については、食肉に使用した動物のスキンを利用。これは当たり前のように思われがちだが、安価な皮革生産現場では劣悪な環境で飼育された動物がレザーのためだけに屠畜される現状がいまだあることを付記しておきたい。

さらに、クロコダイルやパイソンなどエキゾチックレザーについては、狩猟ではなく、飼育環境をきちんと管理したファームとパートナーシップを結んでいる。どんな動物から得られるレザーであれ、動物福祉に配慮したスタンダードを設け、トレーサビリティが確保されていることは、消費者としても把握しておきたいところだ。

伝統的なモザイク床や階段など随所に18〜19世紀の片鱗を残し、美しい庭園を擁するこのアトリエには最新のエコシステムがあった。ここで感じたのは、ラグジュアリーブランドにとってサステナブルであることはもはやベター・トゥ・ハブなオプションではなく、かならず携えているべき必要条件となっているということ。シックなベージュの作業衣をまとった職人たちの手に触れているレザーは、それぞれのプロセスにおいてエシカルであり、誇りをもって働けるからこそ職人たちも長く仕事を続けることができる。

また商品を手にした私たち消費者も、そのバッグやシューズ、服がたどってきた工程に思いを馳せ、納得するからこそ長きに渡って愛用することができる。

ファッションにおける循環体系が、サステナビリティという新しい基軸を得て、より複雑に回りだした現在、ハイブランドの商品を持つという行為の意味も変化してきた。ラグジュアリーとサステナビリティが交錯するボッテガ・ヴェネタの創造的な世界に、ハイファッションの未来を見た。



マキシイントレチャートによるナッパ〈マキシ カバ〉¥1,000,000

ボッテガ・ヴェネタ
(ボッテガ・ヴェネタ ジャパンbottegaveneta.com

Promoted by ボッテガ・ヴェネタ / photographs by T-Max / text and edit by Miyako Akiyama

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