カシオによる電波ソーラーアナログ時計の最高峰「オシアナス」シリーズ。そのフラッグシップモデル・オシアナス マンタの待望の新作がシリーズ最薄のフォルムで誕生した。
世間を驚かせるような革新は、一朝一夕に成し遂げられるものではない。まずは「独創的な発想」に恵まれねばならない。それも恵みの雨を待つかのように運を天に任せる姿勢では降ってこない。しかるべき時にしかるべき発想が降ってきたとしても、次にはそれを実現化するための「高水準の技術」がなければ意味を成さない。
時計事業に参入した1970年代当時から「発想」と「技術」の両輪で独走してきたカシオをもってしても、今夏の新作であるオシアナス マンタ「OCW-S5000E」の誕生までには4年という長い歳月を要した。開発陣が成し遂げたかったのは、かつてない「薄さ」だ。
そもそもオシアナス マンタの初代「OCW-S1000」は、世界最薄のクロノグラフ電波ソーラーとして2007年に生まれている。一刻の重みを知るビジネスエリートに正確な時を知らせることを絶対的使命としながら、スリムでエレガントなケースデザインを大きなアドバンテージにしていた。その思想を受け継いだ「OCW-S5000E」は、シリーズの最薄記録を2015年から保持してきた「OCW-S3400」よりも1.2㎜薄いケースを実現。精密機器において厚さ1.2㎜の差は途方もなく大きいが、標準電波受信やBluetooth®︎による時刻修正などの機能を削ぎ落とすことなく薄型化にこぎ着けている。
薄いケースは見た目を優美にするだけでなく、着け心地の向上にも貢献する。薄型化とともに軽量化も達成されていて、重量は82g。想像しやすいところで言うなら、70g以上76g未満とされているLLサイズの鶏卵ひとつとさほど変わらない。もはや身に着けているのを忘れてしまうレベルだ。また、前作ではケースからバンドへとつながる部分に出っ張りがある造形だったが、今作では流れるようにつながる曲線へと修正。見た目をスマートにして、軽量化にもつなげた上で、腕やシャツの袖口に干渉しないという見事なグランドフィナーレを迎えている。カシオのホスピタリティに富んだデザインポリシーが結実しているのだ。
薄さと曲線美から生み出される「エレガンス」、Bluetooth®︎搭載電波ソーラー時計としての「テクノロジー」。これらの融合に加えて、「OCW-S5000E」が見る者の感性に訴えかけてくるのはシリーズのテーマカラーと呼べる「オシアナスブルー」が効いているからに違いない。葛飾北斎の『富嶽三十六景』シリーズは、青の着色料を多彩に使用して摺られた。 輪郭線に染料の藍、輪郭線以外の青に人造顔料のプルシャンブルーが用いられている。いわゆる「北斎ブルー」だ。「OCW-S5000E」は青いインダイアルを軸に深い落ち着きをたたえながらも、太陽や電灯の加減によって生気あふれる光彩を浮かべる。 センシティブに青を鑑賞できるセンスは、いまの時代を生きる我々にも受け継がれているはずだ。
盤面で刻々と青が煌めく姿は、ドビュッシーが富嶽三十六景シリーズの『神奈川沖浪裏』から着想を得て書き上げたとされる交響詩『海』の情景描写とも重なる。照り返す光、吹き抜ける風、弾けるような波。文字盤をのぞき込んでいると、すべてが聴こえてくるようだ。
ギリシア神話における海の神でオーシャンの語源にもなったオケアノスに由来する「オシアナス」シリーズの最新作。北斎やドビュッシーの創造物と同列の愛で方で愉しんでみてはいかがだろうか。
ケースの厚みは9.5㎜。革新のスリムスタイルが一層の進化を遂げた。Bluetooth®︎、電波ソーラーを搭載して世界中で絶対精度を誇るにも関わらずだ。16面体にカットされたベゼルのデザインもシャープな横顔を印象づける。今作はケースからバンドへと続くラグの形状から角をなくした。さらなる薄さが打ち出されたケースと調和がとれたシルエットに仕上げ、エレガントな見栄えを強調するとともにストレスフリーな装着感をもたらしているのだ。今作の開発に際し、1/100㎜単位までこだわって部品を小型・薄型化。さらに、従来は基盤の両面に配置していた部品を片面のみに高密度で実装することで、モジュールの最薄化(*)を実現。もちろん、軽量化にもつながっている。(*)メンズ向けのオシアナス マンタシリーズにおいて。2019年5月8日現在、カシオ計算機調べ。問い合わせ先
カシオ計算機 お客様相談室
03-5334-4869
https://oceanus.casio.jp