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2019年4月。例年になく桜が花びらを樹に蓄え、薫風になびくその日。帝国ホテルの一室にラグビー イングランド代表ヘッドコーチであるエディー・ジョーンズを迎え単独インタビューを実施した。指導者としてのキャリアを日本でスタートさせるなど日本との縁が深く、また前回のワールドカップで日本を世界クラスに引き上げた功労者は、ラグビーに対して真摯に、熱く、その道を探求していた。
(以下 ハンティング・ワールド 特設サイトより転載)


ラグビー、イングランド代表ヘッドコーチを務めるエディー・ジョーンズは、柔和で愛嬌のある笑みを浮かべ、その彩度の高いヘーゼルナッツ色の瞳は、名将と謳われるにふさわしい鋭利な輝きを湛えていた。

2015年のワールドカップイングランド大会では、日本代表ヘッドコーチとして強豪南アフリカ代表から勝利を挙げるなど、日本代表チームの向上に貢献した。そして、その功績を評価されたエディーは初の外国人ヘッドコーチとしてイングランド代表を率い、今年のワールドカップ日本大会に挑む。長い伝統を持つイングランド代表チームのヘッドコーチとして、プレッシャーはどのようなものかをまずは聞いてみた。

「イングランドであろうと、日本であろうと、どのチームを率いていてもプレッシャーはあります。国ごとに違うのは、メディアの数と圧。イングランドはラグビーに関する強力なメディアがあるので、勝っても負けても、大変な騒ぎになります」

日本代表チームが再び躍進するために必要なことは何か。エディーに問うと、とても基本的な考え方を示してくれた。



「きちんと準備をしていれば、日本代表にも十分に勝つチャンスはあると思います。勝つためには厳しい鍛錬と、勝利に対する明確なビジョンが必要になります。8年前、私が日本代表チームを率いることになったとき、最初に『世界TOP10入り』という目標を掲げました。当時の日本代表には到底無理だと思われていましたが、代表ヘッドコーチになって2年が経ったとき、その目標の50%は可能かもしれないと思えるようになりました。そして南アフリカ戦の1週間前には、チームのメンバー全員が「絶対にTOP10に入れる!」と信じられるようになったのです。

日本代表のチームをつくる際、単に海外の強いチームを模倣するのではなく、日本人特有の個性、ユニークさを生かしたいと思いました。そこで考えついたのが、機敏で“賢く動く”ことを身に付けるというもの。そのために、通常1日2回とされる練習セットを3回にしました。当時の日本代表チームが世界のレベルに近づくためには、それが必要だったのです。『外国人との身体の大きさの違いは、勝ち負けの理由にはならない』と常々言っています。体重が110㎏の外国人と90㎏の日本人が、同じようにプレイしたら身体の大きな外国人のほうが有利になります。身体の小さな日本人は何をすべきなのか、ということを考えなければなりません。小さい身体だからこそ、重心を低くし、敏速に動けることを利用してプレイする。勝つために最も重要なのは、外国人選手並の身体ではなく、「どうするか」と選手自身が考えられるかなのです。

そして、自分がどうなりたいか、どこに行きたいか、というビジョンを描いて進み、その道のりの節目ごとに見直し、振り返り、さらによい方法を探求できれば、必ず勝てるはずです」

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しかし、その過程には大きな壁がいくつもあるはずだ。人の真価が問われる瞬間、いつも悩み、時に諦めることもある。エディーは私たちに向き直り、手振りを加え言葉を続ける。



「例えばスランプに陥ったとき、人は自分のできることを忘れてしまいがちです。だから、それを思い出させてあげなければならない。何ができるのか、何に特化しているか。その人が持つ“強さ”を思い出させて、そこに集中する。そして、まず簡単なことをキチンとできるように、基礎に立ち戻り、その“強さ”に集中して、つくりかえていく。我々がすることは、選手の“強さ”を思い出させて、さらによくなるためにつくりかえることです。

例えばタイガー・ウッズは、世界最高レベルのゴルファーでしたが、腰痛とスランプに長く悩まされました。しかし、新しいスイング方法で復活し、再び勝利を手にしたのです。大会で優勝したあとの記者会見で『以前と同じくらいプレイできるようになりましたか?』という記者からの質問に、『いままでよりさらに上手くプレイできるよ!』と答えていました。それが勝利へのプロセスというものです。

スポーツもビジネスも、総じて人生と同じです。ずっと右肩上がりで進んでいくということはない。いいときも、わるいときもある。目標に向かって進む長い道のりで、スランプのとき、上手くいかないときをどのように打開していくかが大切なのです。そして自分だけが持つ“強さ”に立ち戻るには、自分のことを理解してくれる理解者、頼れる人間関係も必要なのです。それは指導者も同じです。よいリーダーになるには、自分自身のことをよく知ることが必須です。自分の強さ、弱さを理解すること。私はチームを組み立てるときに、私の弱さを理解して、そこを補い、強みに変えてくれるようなスタッフを集めます。それには、自分自身の弱さを理解しなければなりません。よいリーダーとは自分の周りにいる人たちから、どれだけのものを最大限に引き出してもらえるかだと思います」

チームづくりが簡単ではないことは、ビジネスの現場で私たちはよく知っている。自分を知り、理解せよと説くエディーは、ラグビーでチームの重要性を学んだ。



「ラグビーは複雑な競技です。チーム内での自分の役割をハッキリさせ、個人の能力を最大限に表現すると同時に、時には人をサポートする側にも回らなければならない。たとえリーダーとして中心的存在であっても、人に引っ張ってもらったり、人をサポートしたりしなければならないときもある。それを、身をもって学ぶのですから、ラグビーのセオリーがビジネスで機能する可能性もあるでしょう。

私はラグビーだけでなく、スポーツを通して子どもたちが学ぶことは大いにあると考えます。教育においてすべてのスポーツには意義がある。身体を動かすこと、チームの一員であることの自覚、時間管理の方法、自己鍛錬、喜び、悲しみ、いらだち、人生において大切なことを、スポーツを通してヴィヴィッドに感じることができます。そして、可能性は無限だということを知ることもできます。自分の才能がどれだけ伸びるかなんて、誰にもわからないのですから。現時点では不可能だと思われていますが、数年先には、フルマラソンでタイムが2時間を切る選手が出てくるかもしれません。自分に限界があるという固定観念も、夢を見て努力をすることができれば、それを打ち砕くことができるのです。

私にも、いつかラグビーで体操選手が10点満点を出すようなパーフェクトゲームを達成する、という夢があります。ただ、天候や選手のコンディションを含め、すべてにおいてコントロールが可能でなければならないので、ほぼ不可能ではあるのですが(笑)、 その夢は変わらず抱き続けています。最も近いうちに叶えたい夢は、今年のワールドカップ日本大会で優勝することでしょうか」

日本との縁が深いエディ―。インタビューは日本人のもつ特性の話に及び、逆に私たちに気づきを与えてくれた。



「日本人の“ガマンする力”はすごいと思います。それは世界のどこにもない日本らしさではないでしょうか。何かに耐え、一生懸命にやること。諦めないこと。それは日本人の素晴らしい素質で、私もたくさんのことを学びました。日本は世界有数の素晴らしい国ですが、それはその日本人の特性がつくり出したものだと思います。

他方、日本人はもっと自然に自分を肯定できるようになれるといいのではないでしょうか。これは教育の問題かもしれません。例えば、チームからプレイが下手だと思われている選手がいる。そして彼自身も自分を肯定できずに、ダメだと思い込んでいる。それを変えるためには、彼は何が強いのか、何ができるのか、長所は何なのか。それを見つけてあげて、褒めてあげる人間が必要だと思います。自分の長所に気が付けて、そこを褒めてもらうことで、自信にもつながりますし、そこを伸ばすためにもっと練習しようというモチベーションにもなります。このような自己肯定のシステムがナチュラルに機能すると、日本人の資質がさらによくなるのではないでしょうか」

今回、ハンティング・ワールドとのコラボレーションによって、「バチュー サーパス」の特別バージョンをともにつくり上げた。冒険家として知られるハンティング・ワールドの創設者に対して、特別な感情があるという。それは探究心だ。

「100%重要な要素です。今回、ハンティング・ワールドを創設したボブ・リーさんのストーリーを知りました。彼は不可能だと言われつつも、自然保護、動物保護という最終目標を抱いて秘境への探険を繰り返し、飽くなき探究心を持ち続けた結果、その体験を礎に世界中から愛される素晴らしいプロダクトを生み出すことができた。そういったところにも共感しつつ、ご一緒できることを嬉しく感じることができました」

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エディー・ジョーンズ◎1960年生まれ。オーストラリア タスマニア州 バーニー出身。現役時代はニューサウスウェールズ州代表として活躍。1996年よりプロの指導者のキャリアが始まる。2001年にオーストラリア代表のヘッドコーチ、2007年に南アフリカ代表のチームアドバイザーに就任。そして2012年より日本代表のヘッドコーチへ。2015年にはイングランド代表ヘッドコーチと、そのキャリアを広げている。


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Promote by ハンティング・ワールド / Photographs by Keiji Hirai / Text by Etsuko Mashiro

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