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2019.03.26 11:00

全身脱毛で躍進「キレイモ」支える女性CEOが受賞、忸怩たる原体験とその信念

「HAPPY WOMAN」を受賞したヴィエリスの佐伯真唯子CEO

「HAPPY WOMAN」を受賞したヴィエリスの佐伯真唯子CEO

Forbes JAPANでは今年の国際女性デーを機に、「セルフメイドウーマン」を特集している。セルフメイドウーマンとは、「自力で道を切り拓いた女性」のことだ。 いま、多くの女性たちが従来の常識に捉われない自らのやり方で道を切り拓き、世界にインパクトを与えている。

この記事では日本女性の「美しさ」に新たなムーブメントを起こそうとしている、知られざるセルフメイドウーマンをご紹介したい。



国際女性デーの3月8日に開かれた、第1回「HAPPY WOMAN AWARD」(一般社団法人ウーマンイノベーション主催)で、全身脱毛専門サロンの「KIREIMO」(キレイモ)を展開するヴィエリスの佐伯真唯子CEOが「HAPPY WOMAN」に選ばれた。



このアワードは、女性の力による持続可能な社会づくりに向けて挑戦する個人を表彰するものだ。国際女性デーやSDGsの認知拡大と同時に、女性のエンパワーメントを目的としている。

急成長のKIREIMOを支える、98%の女性たち

ヴィエリスは2013年創業。KIREIMOは2014年2月28日、新宿に1号店をオープンし、2月末で5周年を迎えた。脱毛サロンとしては後発ながら、幅広い層の女性に支持され、急成長。あっという間に全国67店舗に拡大した。

好調の理由は、徹底的な女性目線にある。駅近で配慮の行き届いた店舗づくりや、顧客に寄り添うきめ細かいサービスが、KIREIMOが選ばれる理由だ。運営会社であるヴィエリスの社員1300人のうち、実に98%が女性である。

創業メンバーとしてマニュアルや店舗の設計、従業員の働く環境などを一から整えつつ、成長に大きく貢献してきた佐伯氏。このほど、とうとう最高業務執行責任者(COO)からCEOに昇格した。



出世格差に給与格差。母とともに体験した悔しさ

「HAPPY WOMAN」佐伯氏の原点には、新卒時代の忸怩たる思いがあった。

大学卒業後、出身大学の系列企業に企画事務スタッフとして勤務していた。男性中心の職場で、そもそも給与の金額が男女で違っていた。キャリアを積もうと懸命に頑張っても、同期の男性の方が責任ある仕事を任され、自身はお茶汲みからのスタート。 「女性には出世の道がないのではないか」。もやもやした日々を送っていたという。

佐伯氏は作業療法士として働きながら、自身ら四姉妹を育てた母を尊敬している。母もキャリアを積みたいという願望が強かったが、頑張っても男性が先に出世をしていった。

「女性がいくら頑張っても役職に就くのはいつも男性。同じ立場でも男性の方がお給料が高い」。母が悔しそうにそう語っていたのを覚えている。 新卒当時、佐伯氏は母の悔しさを追体験したのだ。

「女性が輝く職場を」。会社を辞めて、エステの道に

悩んでいた佐伯氏の当時の楽しみは、エステに通うことだった。エステティシャンの女性たちは皆笑顔を絶やさず、明るくポジティブに働いていた。「こんなふうに、女性が輝く職場を作りたい」との思いが募った。

「自立した女性になりなさい。そのためには常に学びをやめるな」。幼い頃から母に繰り返し言われてきた言葉が、自身の背中を押した。

思いきって会社を辞め、エステの専門学校へ通った。2005年からエステティシャンとして仕事を始め、ヴィエリスの立ち上げメンバーとなった。

創業時は本社スタッフが4人、店舗のスタッフは7人から始まった。がむしゃらに働き、無謀とも言われた「創業1年目に20店舗を実現させる」という目標をみんなで成し遂げた。 現在は本社スタッフ100人、店舗スタッフ1200人にまで拡大した。

「スタッフの満足度が上がらないと、お客様の満足度も上がらない」。これが佐伯氏の考えだ。事業を拡大していくには、従業員たちの高いエンゲージメントが不可欠である。従業員、現場の声をとにかく聞き、女性が働きやすい職場づくりに力を尽くしてきた。

13種類の雇用形態、従業員一人ひとりの人生に寄り添う

女性たちの多様な要望に合わせ、ヴィエリスでは、4時間・5時間・6時間から選べる時短正社員など、なんと13種類の雇用形態を用意している。妊娠などで店舗勤務が難しくなった社員には、本社での人事やコールセンター業務など、違う舞台を用意することもある。

佐伯氏がマネージャー陣によく尋ねる質問がある。
「仕事をしていく上で、今後どのようなキャリアを積みたいですか」
「人生の目標は何ですか」



自分自身の生き方や働き方を徹底的に考えるようになれば、スタッフのことも考えられるようになる。ひいてはお客様一人ひとりに寄り添うことができる、と考えている。「実はそう聞かれて初めて、自分がどうなりたいかを考えるようになったんです」と明かす同僚が多いという。

褒める文化、成長の起爆剤

社内で「褒める文化」を生み出したのも佐伯氏の手腕だ。社内のSNSのタイムラインでは、従業員同士を褒め合う内容の投稿が飛び交う。

「悪いところを指摘するのは簡単じゃないですか。いいところを互いに言い合うのは難しいですが、必ず成長に繋がると信じています」

お客様のアンケートで「また入ってもらいたい」スタッフに選ばれるとバッジがもらえる。フルタイム・時短・アルバイト問わず、20個貯めると研修旅行へ。そんな仕組みも用意している。

お客様の声、毎日400件を「傾聴」

佐伯氏には帰宅後に日課にしていることがある。1日に約400件にも及ぶお客様の声、その全てに目を通すのだ。インターネットやSNS上でのKIREIMOの「エゴサーチ」も欠かさない。日々、改善に努めるためだ。

自宅作業の傍にいるのは愛犬たちだ。殺処分になる前の保護犬を引き取った。滝川クリステル氏が主宰する、保護犬・保護猫を一時的に預かる活動について学ぶ「フォスターアカデミー」にも通っており、個人的なライフワークとして動物愛護活動にも力を入れる。

自分らしく、外見も内面も美しく

自分らしさを大切に──。

コメディアンの渡辺直美さんのCMで知られるKIREIMOのメッセージが女性たちに「刺さる」理由はここにある。過剰な整形手術や過酷なダイエットで手に入れる美しさではなく、自然な美しさを讃える、世界的なムーブメントが起きている。ありのままの体型が美しいという「ボディ・ポジティブ」もその一つだ。

「少し前までは、脱毛に通っていることは周囲にも言えませんでした。KIREIMOでは恥ずかしさや壁を感じることなく、美しくなりたいというまっすぐな気持ちを応援していきたい。最近は、お母さんと娘さんが一緒にいらっしゃるケースもあります。お客様が自分に自信を持ち、自分らしくいられるよう、外見だけでなく内面から滲み出る美しさもサポートしていきたいんです」。佐伯氏は力を込めた。



2年後に叶えたい目標として、「日本一の脱毛サロン」を目指す。

「日本一女性が働きやすい会社に」たゆまぬ努力誓う

東京・恵比寿で開かれた「HAPPY WOMAN AWARD」の授賞式では、主催者側がこのように佐伯氏の受賞理由を説明した。

「自身の体験からジェンダー平等に賛同され、女性が働きやすい社会の実現に向けて、社内の職場作りはもとより、社外のさまざまな活動にも個人的に積極的に取り組んでいるため表彰にふさわしい方と判断しました」

「全社員1300名のうち98%が女性という株式会社ヴィエリスの代表取締役社長として、育児休暇、産前、産後休暇、介護休暇、子供看護休暇など様々な社内制度をもうけ、働く女性一人一人が自由にキャリアをデザインできる職場環境を実現されました」

国際女性デーの象徴であるミモザの花の色のストールを身に着けた佐伯氏は笑顔でトロフィーを受け取った。会場から大きな拍手を贈られた、彼女のスピーチを最後にご紹介したい。



「残念ながら今の日本でも仕事と育児の両立はまだまだ困難な課題です。最近では法整備も進み、また働く意欲を持つ女性たちも増えてきましたが、女性の働きやすさや労働の向上の質を上げるためには、企業の努力が必要不可欠です。これからも日本一女性が働きやすい会社を作って、日々頑張っていきたいと思います。今後はSDGsの5番目に掲げられている、ジェンダー平等の推進にもっと貢献させていただきたいと思っています」

Promoted by ヴィエリス 文=林亜季、飯村彩花 写真=野頭尚子

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