流麗なフォルムを実現した、航空宇宙産業に由来する技術とは ベントレー コンチネンタルGT

高級車におけるモダンなデザインとは? そのスタイリングが示すものは?電動化時代の新たな潮流を視野にいれながらも、変わらない洗練で魅せる。

BENTLEY:流麗なフォルムを可能にした伝統と革新の融合


流麗。その言葉がふさわしいグランドツアラーがベントレーから世に送り出された。クーペらしい流れるようなルーフラインは初代から続く美点だが、3代目の新型「コンチネンタルGT」では、さらに洗練されたフォルムへと昇華されている。

一見すると、ひと回り大きくなったような印象だが、プラットフォームを刷新し、ワイドなグリルの採用により、より低く、広く、威風堂々たる印象を得た。フロントアクスルも135mmも前進し、ロングノーズでショートデッキというスポーツカーのお手本のようなプロポーションを得たのだ。

その布石はあった。2015年のジュネーブ・ショーで発表したコンセプトカー「EXP 10 スピード6」である。しかしながら、コンセプトカーはあくまでコンセプトである。

「EXP 10 スピード6」の流麗なフォルムを量産車に落とし込むのは一筋縄ではいかない。それを可能にしたのが、航空宇宙産業に由来するスーパーフォーミング加工だ。500°Cに熱した空気の圧力で、アルミを成型する技術である。

これにより、まるで職人が木型をあてて叩き出したような複雑なプレスラインを生み出し、よりダイナミックなフォルムを実現できる。従来の加工技術と比べても、軽量で強度が高く、造形だけではなく、走りの魅力を引き出すことにも貢献している。

インテリアにも、新たな驚きがある。最上級のレザーだけが持つテクスチャーに身体をなじませ、丁寧にステッチが施されたステアリングホイールを握ると、ただ美しいだけではなく、滑り止めとしても機能している。

ディテールの一つひとつからメッセージが発信されている。長年“積み重ねてきたクラフツマンシップ”だけでは説明しきれない。むしろ、最新の技術を駆使して再現した伝統的なスタイリングに、現代のハイパフォーマンスカーにふさわしいパワートレインを搭載することにより、伝統と革新が融合した好例だろう。


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文=川端由美

この記事は 「Forbes JAPAN 世界を変えるデザイナー39」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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