世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

家業承継を本気で考える学生3人が、日本の中小企業サポーターとして知られるエヌエヌ生命保険主催の研修に参加。NNグループ本社のあるオランダを訪ねた。


いま、日本の抱える大きな問題のひとつとされているのが、中小企業における事業承継問題である。少子高齢化による後継者不足や国内市場の縮小、それに伴う事業の国際展開のニーズの高まり、さらには高度情報化社会において従来続いてきたビジネススキームが成り立たなくなってきたことなど、問題はまさに山積み状態となっている。
 
一方で、家業に挑む若手経営者たちは確実に増えており、彼らを手本として自らの家業を承継し、イノベーションを起こそうとする学生や社会人も目立つように。そんな当事者たちを繋ぎ、ネットワーク構築と後押しを行うための取り組み「家業イノベーションラボ」を主宰しているのが、日本で主に中小企業向けの保険商品とサービスに注力した事業展開を行うエヌエヌ生命保険である。

各地でさまざまな勉強会イベントを開催している同社であるが、10月に初の試みとして実施したのが、学生たちをイノベーション先進国であり、また同社の母体となるNNグループのあるオランダに招いての「学生家業イノベーター海外研修ツアー」であった。
 
参加者として選ばれたのは、出身地も大学も家業の種類も異なる3名の学生たち。今回の研修ツアーでは、NNグループが特別にアレンジした勉強会やワークショップイベントに参加するほか、多彩な分野におけるユニークなイノベーション企業にその創業者を訪ね、直接話を聞くという、非常に内容の濃い体験をすることとなる。
 
現地での3日間にわたる行程で訪ねる先は、農業、資源再利用系のスタートアップハブ、教育機関など各分野でイノベーションを起こしている注目株揃いで、オランダにルーツを持つエヌエヌ生命保険ならではのユニークなプログラム内容であった。さて、3人がどんな出会いを通じてどんな発見をし、どんなことを学んで帰るのか。我々は現地にて彼らに密着取材を行い、研修ツアーの様子をレポートすることにした。
 
若い柔軟な感性で学んだことが、今後各々の家業承継に際してどう役立てられるであろうかについては、いつか号を改めて紹介できればと思う。この号ではまず、言葉の壁を、文化の壁を超えて、イノベーター精神を学ぼうとする学生たちの姿から、日本の未来にかける希望の光を見出せたらと思う。





左:三宅真理子(20)
家業:養鶏業
熊本県出身。横浜国立大学経営学部経営学科3年生。実家が3代続く養鶏場で、来年創業100周年を迎える。養鶏業界の国際展示会で、先進的な取り組みをするオランダ企業が多いことに衝撃を受け、世界最先端の現場を知るために今回の研修ツアーへの参加を決意。「自分と違う視点や考え方を学びたい」

中央:小林忠広(25)
家業:ゴルフ場経営
東京都出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程2年。セブンハンドレッド取締役。スポーツを手段とし、社会の課題解決をミッションに掲げる。ゴルフ場の既成概念を変えるために、オランダという欧州でもイノベーティブな国が生まれた文化的背景・エコシステムを学びたいと考える。

右:海野将志(23)
家業:建設業および印鑑小売業
石川県出身。桜美林大学リベラルアーツ学群4年生。米国およびフィンランド留学を経たのち、フィンランド発祥のスタートアップイベント「SLUSH Tokyo」のメンバーとして活動。卒業後は故郷に戻り、地元の若い家業承継者たちの仲間と町おこししながら、父母それぞれの家業を盛り立てていくことが目標。


BLUE CITY & BFF(ブルーシティ & BFF)


建物はリノベーションされ、快適な設えの空間に。人工皮革製のスニーカーを前に、「見た目では本革と違いが分からないですね」(海野)。BFFでは廃棄ペットボトルからつくるサングラスや建材タイルにも興味津々。

ヨーロッパ随一の港湾都市、ロッテルダム。その街中にある古い屋内プールをリノベーションし、いまある資源を無駄なく、クリエイティブな発想のもとに再利用する循環型のエコシステムの実証に取り組むスタートアップハブが「ブルーシティ」だ。

ここでは複数のスタートアップ企業が同居し、例えば飲み終わった後のコーヒー豆からキノコを栽培、そのキノコからバイオ食品をつくり、今度はそのバイオ食品からパッケージを生産するといった具合に、各企業の取り組みが連携するような協業体制が取られている。学生たちは果物の皮から人工皮革をつくる生産者を訪ねたり、BFF(Better Future Factory)ではペットボトルなどから建材や雑貨をつくるラボを見学したりと、発見の多い視察を行った。「資源を無駄なく使えばゴミは出ないという話に、目から鱗だった。我々も意識を変えなければと思った」(海野)

KIPSTER(キップスター)


生産者にとっての合理性だけでなく、鶏にとっての快適な環境を科学し、形にしたキップスター。実家が養鶏場を営む三宅は、創業者の一人、オリビエ・ウェグゥープ氏を質問攻めにし、熱心にノートを取った。

オランダの東端に位置するカステンラユの町は、いまやこの「世界一革新的な養鶏場」として名高い「キップスター」によって知名度を上げつつある。広い空にシャープな稜線を描く建物は、屋根がソーラーパネル葺き。全エネルギーを自給で賄い、CO2 排出をゼロにしたグリーン建築となっている。消費者に選ばれる美味しい卵を低価格で提供するために、まず「鶏に優しい」環境づくりを実践するだけでなく、中間業者を省いた小売店直取引のシステムも構築。

飼育から包装まで一貫して施設内で手がける仕組みをモデュール化して海外にも輸出しており、地球規模での食料不足問題を解決する一助となることを目指す。「キップスターの鶏は、実家の鶏よりもストレスが少なく幸せそうだった。環境、流通、栄養などあらゆる観点からその最適解を導き出したスタイルを学びたい。次は父親を連れてきたい」(三宅)

IMPACT START UP FEST(インパクトスタートアップフェス)


会場内の様子。3人は次々と相手を替えてセッションを行った。

起業を奨励するハーグで、毎年開催されているイベント「インパクトスタートアップフェス」に参加。世界中から集まった起業家の数は1200名以上。ステージ上では随時プレゼンテーションが行われ、会場内のテーブルでは参加者たちがローテーションしてトークセッションをするなど、日本では考えられないような熱気に触れて、3人も興奮気味。

「オランダでは、イノベーターとしての起業家が、世の中をいい方向に変えてくれる救世主のイメージでスター扱いされている」という話は、これから家業を継ごうとする若い心に火を点けたようだ。起業しようとする際に、必要な要素をマッピングして示してくれるインターネットサービスを立ち上げた起業家と意気投合したのは、小林だ。「これこそ、右も左も分からない若手起業家の力になるサービス。日本で展開する際は力になりたい」と、日本式の「ゆびきり」を交わした。

TOMATO WORLD(トマトワールド)

廃棄物を出さない、そして化石燃料に頼らないエネルギー供給による農業の未来について、研修を受けた3人。自分たちの家業も含め、あらゆる経済活動と環境との繋がりを、改めて認識する機会となった。

米国に次ぎ、世界第2位の野菜輸出国でもあるオランダ。迫る世界食糧難の時代を標榜し、トマトの生産者団体が設立した研究機関が、この「トマトワールド」だ。最新のIT技術と生物農薬を駆使した、環境にも人にも優しい栽培施設でも、3人はオランダ式の広い視野でものごとを見ることを学ぶ。試食では無論、この笑顔。

SINGULARITY U(シンギュラリティーU)


ディレクターのマイケル・ドウキンス氏が、宝の山のような発明品を披露してくれる。「耐久性の高い金属3Dプリンター」「食べ物にかざすだけで栄養価を示すアプリ」など、3人とも興味が尽きない様子。

アイントホーフェンはかつて家電ブランド「フィリップス」のお膝下として栄えたが、同社が移転してからは残された施設やインフラを活かし、技術系起業家たちが活躍する拠点として生まれ変わった。教育機関「シンギュラリティーU」を訪ねた3人は講義を受け、技術革新が世界に与えるインパクトについて意見を交わした。

NN GROUP & NN CAFE(NNグループ & NNカフェ)


本社はスタイリッシュなだけでなく、エネルギー効率にも配慮がなされたハイテク建築。またロッテルダム駅の隣には、アートを展示したNN DE Caféもある。笑顔で迎えてくれた本社スタッフ。

ハーグの町では、洗練された雰囲気のNNグループ本社も訪問。コミュニケーション部門の責任者であるサスキアさんとIRを担当するサンダーさんらが、同社の170年を超える歴史や「You matter」というブランドメッセージの説明、そして財務状況や次世代のイノベーションに対する考えなどについて語ってくれた。

TRAINING & WORKSHOP(トレーニング & ワークショップ)


左上/デザイン思考のためのトレーニングの様子。アイデアを書くことで可視化していく。左下と右/ワークショップの様子。各国からの参加者に交じり、最先端の現場に立つ者たちの薫陶に触れた。

3人のために、NNグループではデザイン思考のためのトレーニングやブロックチェーンに関するセミナーを実施。「インパクトスタートアップフェス」ではブランディング、アイデアの具現などが課題のワークショップにも参加。何よりイノベーション先進国の空気に触れることが刺激となったようだ。


未来の経営者を支援する本質とは


NNグループのCSRを担当するモニックさん。研修ツアーのコーディネートも手がけた。

今回は、海外からの研修生を受け入れるという初の試みとなりましたが、3日間を一緒に過ごし、彼らの何かを学んで持って帰ろうという意志の強さ、そして初めは異なる環境に戸惑いながらも、それに適応しながら学んでいく吸収力の高さに驚かされました。物怖じしないオープンな精神は、若さゆえのものもあったのかもしれませんが、私たちにとっても素晴らしい出会いとなりました。
 
NNグループは生命保険を扱うグローバル企業だからこそ、世界の未来を担う若者たちの生き方、そして彼らの生きる環境を考えます。ビジネスを通じての社会貢献を考えます。その一環として特に力を入れているのが、未来のイノベーターとしての若者の支援なのです。
 
オランダは、起業家になるためのチャンスを与える文化を持つ国です。しかも、経済的視点だけでなく地球規模で環境を考える思考回路が浸透しています。3人には、ぜひ今回のオランダ訪問で学んだことを日本でできるだけ多くの人に伝え、仲間を増やしてほしいと願っています。彼らの家業イノベーターとしての成功を、心から願っています。




エヌエヌ生命保険
1986年、日本で初めてのヨーロッパ生まれの生命保険会社として営業を開始。以来、全国約5000店の代理店を通じて、中小企業とその経営者が財務や財産、事業保障、事業承継、退職の準備などにおいて安定した将来を確保できるよう、法人向けの事業保険やサービスを提供している。母体となるNNグループはオランダで1845年、ネーデルランド保険会社として創設。現在は欧州と日本を拠点とし、18カ国で事業を展開。


エヌエヌ生命保険
https://www.nnlife.co.jp

家業イノベーションラボ
https://kagyoinnovationlabo.com/

Promoted by エヌエヌ生命 / text by Shigekazu Ohno (lefthands) / photographs by Shinji Minegishi

あなたにおすすめ

合わせて読みたい