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ジャーミン・グー CANDY HOUSE CEO| 2011年国立台湾大学卒業。学位Double Bachelor’s Degree。専攻Physics。Mechanical Engineering。13年スタンフォード大学入学。–学位Master’s Degree。専攻Mechanical Engineering。15年2月CANDY HOUSE 設立。現在に至る。

ミニマルなデザインを追求しながら「世界最多機能」を実現した次世代型のスマートロック「SESAME」が日本に上陸。クラウドファンディングサイト「Makuake」で、わずか1カ月半で7000万円を達成し、 現在9000万円を調達し歴代5位の調達金額にまで達し、急速に認知を広めている。「SESAME」の開発者であり、CANDY HOUSEのCEOでもあるジャーミン・グーとはいったいどのような人物なのだろうか。何を考え、どこを目指しているのだろうか。本人を直撃した。


ストーリーの始まり~スタンフォードの文化とスティーブ・ジョブズへの憧れ

手ぶら解錠、遠隔操作、カギのシェアなど、私たちのライフスタイルを一変させる機能が数多く搭載され、昨今、日本でも注目されているスマートロック。そのなかでも異彩を放っているのが、CANDY HOUSEが開発した「SESAME」だ。国内のスマートロックでは唯一、Amazon アレクサやGoogle Home、Apple Watchとも連携している。この画期的な製品の生みの親、同社CEOジャーミン・グーは、シリコンバレーの発展に大きく寄与したスタンフォード大学で、非凡な才能を開花させたようだ。

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「アップルの創業者のスティーブ・ジョブズが、私のメンターです。彼のように人々のライフスタイルを豊かにし、自分自身も喜びを得られるような起業家になりたかった。それがスタンフォード大学に留学した理由です。最初にシリコンバレーでショックを受けたのは、カフェでコーヒー一杯飲むときでさえ誰も現金を使わないことでした。出掛けるときには、必要なモノだけを持ち歩けばいい、そんなスマートなカルチャーがすでに根付いていたのです。その必要なモノはいまやほとんどスマホの中に収まってしまう。ジョブズがiPhoneを世に出したことで、人々のライフスタイルは劇的に変わりました。シリコンバレーで生活していくうちに、あらゆるモノをスマホの中に組み込みたいと、私も考えるようになりました。そんなとき、どうしても一つだけスマホに取り込めないものがあった。それがカギだったのです。もし、カギもスマホで簡単にコントロールできるようになったら……。日常のあらゆるシーンで利便性が高まり、人々の暮らしにも大いに役立つだろう。これがスマートロックの開発の動機です」

ジャーミンはこの発想を現実化させるために次々と行動に打って出る。

米クラウドファンディングでの大反響で確信、「SESAME」は必ず成功する

「当時、シリコンバレーで3Dプリンターが大ブームでした。私も2,000ドルで一台購入し、まず、大学の寮で、今の『SESAME』のプロトタイプをつくりました。これがなかなかの出来栄えだったのです。スタンフォード大学の周りにはベンチャーキャピタルがたくさんあり、手始めにこれをもってPRしに行きました」

AIやIoTなど最新のテクノロジーの有効活用をスタンフォード大学で学んだジャーミンのプレゼンテーションはよほど説得力があったのだろう。この若者は、早々と30万ドルを調達し、その資金で製品化にこぎつける。2014年、在学中に、CANDY HOUSEを立ち上げた。会社名にもジョブズへの尊敬の念が読み取れる。テクノロジーを扱うことを売りにする会社ではなく、ユーザーにとって親しみやすい企業でありたいという思いから、アップル同様に身近な食べ物から着想を得たのだ。

「2015年、アメリカで有名なクラウドファンディングサイト、『Kickstarter』で、『SESAME』をはじめて発表しました。すると、当初の目標額をはるかに超える1億4千万円もの資金が集まったのです。この結果をベンチャーキャピタルに伝えると、さらに1億3千万円の融資が得られた。これで大量生産への道筋ができました。アメリカでは何かを始めるなら、クラウドファンディングを活用するというのは常套手段。お金だけでなく、自分の発想に共感が得られるかどうかがはっきりとわかるからです。結果的に、このサイトでの反響によって、自分の考えに間違いはないと確信できました」


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その後、ジャーミンは家族の反対を押し切り、スタンフォード大学を中退、事業に専念する道を選ぶ。アイデアが生まれてから、スタートアップ、資金調達、製品化までに要した時間は、わずか1年ほど。あらゆる最新テクノロジーを搭載した「SESAME」は、瞬く間に世界へと広がっていった。

目指すはカギのプラットフォーム~SESAMEの世界観

「世界展開する上でもっとも重視したのは、誰もが『SESAME』を簡単に使える仕様にしなければならないということでした。そのために、ヨーロッパやアジアのさまざまな国のカギの規格を研究しました。いくら最新テクノロジーを搭載したとしても、一般の人がうまく扱えない製品には何の意味もありません。『SEAME mini』は、日本向けに新たに開発した商品です。3Mテープで扉に貼るだけですので、工具を使う必要もありません。誰でも簡単に取り付けができるのです」

ユーザーはまず、「SESAME」のシンプルなデザインに驚かされるだろう。それでいて、この製品には最新の技術が詰まっている。例えば、セキュリティレベルは、某軍事大国の防衛システムにも匹敵するという。また、さまざまなアプリと連携できるようにしたのは、このスマートロックの領域を広げるためでもある。



「テクノロジーを活用した製品は、常に進化しなければならない。最初にお話ししましたが、私が叶えたいのは、持ち歩くカギをすべてスマホに入れることです。『SESAME』は、家やオフィスのドアの鍵だけに限定して発案した製品ではありません。自転車やコインロッカーなどいずれはあらゆるカギに対応できるようにしたい。APIを公開しているのもそのためです。例えば、ホテルの運営会社が自社のアプリに『SESAME』APIを応用すれば、ユーザーはスマホだけでチェックイン、チェックアウトができるようになるかもしれない。配送業者であれば、ロッカーを利用して、宅配物を受け取れるシステムを人々に提供できるようになるでしょう。あらゆる業種のサービスに、『SESAME』の機能がつながれば、新たなサービス体系を構築できます。これが私の目指す、『SESAME』を中心に据えたカギのプラットフォームです。私たちの会社だけでは、決して実現しないでしょう」

すでに、「SESAME」ユーザーは世界で10万人を超えている。ジャーミンはさらにその先を見据え、新たなドアを開こうとしているのだ。

Promoted by CANDY HOUSE text by Hiroshi Shinohara photograph by Shuji Goto edit by Akio Takashiro

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