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2018.10.15

愛され球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」の胸熱シナジー

共創する組織のつくり方|#2 立花陽三
2017年の観客動員数が177万人に達し、138億円の売上高を記録した東北楽天ゴールデンイーグルス。地元に愛され、チームの成績に左右されない黒字経営を実現した球団の組織力は、いかにして生まれたのか。楽天野球団 代表取締役社長の立花陽三に「シナジーを生み出す組織づくり」について話を聞いた。


「僕はいろいろな人に助けられてここまできました。『(球団社長を)やってみない?』と声をかけてくださった三木谷さん(三木谷浩史楽天野球団オーナー)との出会いも、その一つです。しかし、人のつながりは作ろうと思って作るものではありません。大切なのは、相手を好きになること、裏切らないことと、相手が困った時こそ助けることではないでしょうか」

球団成長の起点となった人物の組織づくりは、その考え方にある。

立花のモットーは「直接会うこと」だ。楽天野球団に加えて2017年からは楽天ヴィッセル神戸の代表取締役社長も務めており多忙を極めるが、外国人選手を獲得する際、自ら現地へ赴いたのは有名な話だ。

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「アンドリュー・ジョーンズ選手(楽天イーグルスで2013-14年の2シーズンプレー。主軸として、2013年、球団初の日本一に貢献)を獲得の時も、行くと決めてすぐアトランタに飛びました。彼は代理人を置かないので、直接、5時間話しこみ、その日のうちにサインしてもらうことができました。お金で動く相手ではないからこそ、球団社長である僕が誠意を見せ『なんとしても来て欲しい』という熱量を伝えることが大切なのだと思います」


立花陽三|楽天野球団 代表取締役社長 外資系証券会社からキャリアをスタートし、メリルリンチ日本証券では執行役員に。高校からラグビーに熱中し日本代表候補にもなるほどの実力で、証券マンとして活躍するかたわら、母校慶應大学ラグビー部のコーチとして日本一に輝いた経験も持つ。2012年東北楽天ゴールデンイーグルス球団社長に就任。畑違いのプロスポーツ界で経営手腕を発揮する立花氏が大切にしているのは、人との出会いだという。

愛され球団の本質は、球団組織内の関係性

球団トップとしてその手腕を発揮する立花。そんな彼を支えているのが、球団の職員たちだ。

「僕は本当に優秀なスタッフに恵まれたなと思っています。組織は、トップが100頑張るよりも、職員が10ずつ頑張ってくれた方が絶対にいいですから。トップである僕の仕事はゴールを設定することで、あとはみんなでその目標に向かっていくだけ。ですから、数値目標も壁に貼って共有しますし、職員も僕を信頼してくれていますし、目的を常に共有できているのです」

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そもそも職員とのコミュニケーションを重視する立花は、社長室を設けていない。普段からなるべく職員に話しかけるようにし、いっしょに食事することもある。そんな立花のもとには、職員からのフィードバックが毎日上がってくる。目指すのは、選手と職員が一体となってファンサービスと被災地支援にも取り組む球団だ。その理想は形になりつつあるという。

「最近では、選手が職員に要望を伝えてグッズを作ったりもしています。チームが負けている時は、職員が応援メッセージを書いて選手ロッカーに貼ったり、手作りのお守りを選手が遠征に持って行ったり。選手の方でも、サービスデーの内容をきちんと把握しているんです。FAやトレードでうちに来た選手はまずそこに驚きますね」

試合中も職員があらゆる要望に応えるイーグルスデスク(日米で初の試み)を設けたり、また、拾った風船(風船飛ばしの後、不要となった風船)とステッカーを交換できるサービスなど、楽天野球団では、スタジアムを訪れるのが楽しくなるような仕掛けを次々と打ち出している。こうしたファンサービスは、職員の発案によるものが多いそうだ。これほど風通しの良い環境を作ることができたのは、なぜなのだろうか。

球団という組織にシナジーが生まれる瞬間



「まずは、組織内の壁を壊すことが大切ですね。営業なら営業だけ、広報なら広報の仕事だけしていればいいわけではないんです。あらゆる部署の職員がチケットを売る機会を設けており、チケットを売る大変さを実感します。すると、球場にきてもらうにはどうすればいいか、誰もが考えるようになるのです。みんなでトライアンドエラーを繰り返した結果、少しずつお客さんが増え、177万人の観客動員数が達成できたのです」

選手と職員の壁、部署ごとの壁を取り払うこと。それと同時に楽天野球団で重視されているのが、あらゆる情報の「共有」だという。その代表例が、その人の顔とも言える名刺の共有でもある。

「楽天野球団の営業部では、Sansanの法人向けクラウド名刺管理サービスを使っていますが、例えば、スポンサー様に提案を行う際に、誰が行くかが重要な場面があります。それには過去の関係性が周知されていることが基本です。また、プロ野球界は特に冠婚葬祭などのお付き合いが非常に多く、だからこそ、それぞれの職員が交換した名刺をしっかり管理し、その情報を共有することが重要ですし、徹底されています」

多くの企業の場合、一人のビジネスマンが出会い、培った人脈は個人レベルで完結しがちだ。しかし、それぞれが交換した名刺を管理することで、点が線で結ばれる。すると、一人ひとりの動きと仕事、そして人脈が「可視化」され、組織にとって大きな資産となるのだ。特に、スポンサーとファンで成り立つオープンなスポーツビジネスに属人的な要素があってはならない。

「もうプレーを見せればいいだけの時代ではない」という立花。スタジアム併設の公園施設は大手菓子メーカーと協力し、スタジアム内のフードには地域の企業とコラボしたお酒や食べ物がある。東北楽天ゴールデンイーグルスに集まる幅広いスポンサーを見れば彼の見据える方向が理解できる。名刺情報の共有はその起点であり、地域のつながりを資産として共有・発展させることで広がるシナジーがあるのだ。このような異分野の掛け合わせで生まれるビジネスは、日本企業全体に求められていることかもしれない。

実は東北楽天イーグルス、少し “変化球” な名刺も作っている。〈スタッフカード〉という呼称は直球ではあるが、球団スタッフの写真と名前入りの言わば名刺だ。

2018年はトランプデザイン。立花社長(上・左端)はじめ、スタッフ57名が常にカードを持っている。ファンが球団を支えるスタッフとつながるのだ。名前と顔を覚えてもらい、関係を築く。多くのファンが、その人が「誰か」を知っている。ファンから見れば、とても近い存在となり、スポンサーのきっかけになる場合もある。その広がりは無限だ。

共有することで組織の資産となる情報は、他にもある

「プロスポーツはサービス業。より良いサービスを提供するには、一流のサービスやさまざまな体験をすることが必要です。そこで、楽天野球団の新人職員は全員、メジャーリーグをはじめアメリカのプロスポーツチームを巡り、勉強しに行くことになっています。その際、『1週間で西海岸の球場をすべて回る』など自分たちでプランニングし、全職員の前でプレゼンを行います。そして、戻ってきてからも、得た知見を全職員の前で発表するのです」

個人レベルの出会いや体験も、みんなで共有する───。それが楽天野球団という組織の資産につながっているというわけだ。

東北楽天ゴールデンイーグルスの発足以前、仙台では「2万5,000人収容できる球場を満員にするのは不可能」と言われていたという。しかし、2017年のホームでの平均動員数は2万5,299人に達し、ネット裏の高価格帯のシートはソールドアウトした。

「楽天生命パーク宮城の収容人数は、最大でも2万6,500人なのですが、今後も継続的な投資を視野に入れて、観客総動員数では2〜3年のうちに200万人を突破したいと思っています。しかし、球団経営は単に黒字を出せばいいというわけではありません。やはり、ファンの方に一番喜んでいただけるのは、チームが勝利すること。来年はもっと新しいことをしたいですし、久々にメジャー選手を獲得したい思いもあります。楽しみにしていてください」

強力なリーダーシップを発揮し、目指すべき理想形や数字上のゴールを明確にする立花。その視線の先を、職員たちもしっかりと見つめることができているのが、現在の楽天野球団なのだろう。個人の体験や出会い、そこから生じたアイデアを共有することで、有形無形の資産を増やし続ける組織力は、東北楽天ゴールデンイーグルスが愛される源なのだ。

Sansanで組織のシナジー強化を実現した事例を見る >>

連載「Sansan prsents "Share & Connect" ─共創する組織のつくり方─」
#1:公開中!ピョートル・フェリクス・グジバチ
「元Google人材領域のプロフェッショナルが日本の組織にシナジーを与える」
#2:本記事|立花陽三
〜愛され球団「楽天ゴールデンイーグルス」の胸熱シナジー〜
#3:公開中|ドミニク・チェン
〜最も腑に落ちる言葉を持つドミニク・チェンが語る組織のシナジー〜


Promoted by Sansan text by Kei Yoshida photograph by Setsuko Nishikawa

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