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2018.07.04 11:00

メガバンク超えのARUHIがフェーズ3で示す成長戦略

日本初のモーゲージバンクとして誕生したアルヒ株式会社。インターネット繰上げ返済サービスや本格的な住宅ローン代理店制度など、日本初となるサービスを次々と実現してきたパイオニアだ。社員数320人ながら2018年3月期の融資実行額は約7,000億円に達し、みずほ銀行を超えたようだ。さらに、CEO兼COOの浜田宏氏が就任時に「3年で上場を果たす」と宣言した通り、2017年12月14日に東京証券取引所第一部上場を果たした。その浜田氏に、アルヒの成長戦略について語ってもらった。


谷本有香(以下、谷本):東証一部上場、おめでとうございます。取引初日の鐘を鳴らした時はどんなお気持ちでしたか?

浜田宏(以下、浜田):安堵感でいっぱいでしたね。グローバルにお金を集めると決めてから3カ月での上場は日本経済史上最速クラスのIPOと言われました。私は2カ月で地球を3周するほどハードな日々でしたが、社員も本当によく頑張ってくれました。

谷本:浜田さんが代表取締役に就任なさった時から上場すると決めていらしたのですか?

浜田:3年以内に必ず達成すると決めていました。弊社は最終的にはBtoCの金融機関ですから、安心とブランド認知が何より重要なのです。また、我々は融資を行いますが、その債権を自分たちで証券化し、譲渡するので、バランスシート上はアセットを持っていません。わずか320人の社員で年間7,000億円規模の融資を行う弊社のアセットは人なのです。一人でも欠けるわけにいきませんし、さらにいい人材に来て欲しいので、絶対に上場したかったのです。


浜田宏(はまだひろし)アルヒ株式会社代表取締役会長兼社長 CEO兼COO
米国サンダーバード国際経営大学院にて国際経営学修士課程修了。山下新日本汽船(現・商船三井)、アリコジャパン(現・メットライフ生命保険)を経て米クラーク・コンサルティング・グループへ。在籍時にデル日本法人の立ち上げに参画、その後デル日本法人社長兼米国本社副社長。その後、リヴァンプ代表パートナー、HOYA執行役最高執行責任者、そしてSBIモーゲージ顧問へ。2015年5月アルヒ会長兼CEOに。同年9月から会長兼社長 CEO兼COOに就任。インタビュアーのForbes JAPAN谷本有香とはサンダーバードの先輩後輩にあたり、親交も深い。


谷本:上場後、どんな変化がありましたか?

浜田:会社全体が明るくエネルギッシュになり、以前にも増して優秀な人材が集まっています。お取引先を開拓しやすくなりましたし、財閥系の不動産事業者との提携など、道がどんどん拓けています。

谷本:浜田さんは経営者として豊富なキャリアと実績をお持ちですが、金融業界とは無縁でしたね。金融業界に飛び込もうと決めた理由は何だったのですか?

浜田:社長の話をカーライル(米大手投資ファンド)から話を持ちかけられた時、「金融も住宅ローンもわからないから」と断ったのですが、「浜田さんのアイデアやマーケティング能力でまったく違う会社にすればいい」と何度も連絡がきまして。それじゃあと話を聞いている時、気づいたのです。「人々が欲しいのは住宅ローンではなく家であり、その家から始まる新しい人生だ。この仕事は単なる金融業ではなく、その新しい人生に寄り添うサービス業なのだ」と。すると、事業のアイデアが次々と浮かんできました。まず、WEBとロボティクス、AIなどを組み合わせることで、リアルとウェブを統合する。そして、「フラット35」以外にもいろいろな商品を取り扱う。そうすれば、3年以内に上場できると確信しました。私自身がリスクを取ろうと株主になり、生まれて初めてゼロからストラテジーを考えました。

谷本:この3年で大きく変わったのですね。現在はどんな段階にあるとお考えですか?

浜田:商品は「フラット35」のみ、販売チャネルはフランチャイズのみだった3年前に比べ、商品はもちろん、販売チャネルも直営店や法人営業、WEBと増えました。ようやく住宅ローンマーケティングプラットフォーム企業になり、フェーズ2の段階にありますね。

谷本:では、これからフェーズ3のアルヒはどうなっていくのでしょうか?

浜田:リアルとウェブを完全にインテグレートしたサービスを数年以内に実現したいですね。例えば、スマートスピーカーに名前や年収、家族構成、住みたい町を話しかけたら、AIがお勧めの家とローンを探して、その情報をスマホに送ってくれるようなシステムです。その中で気になるものをタップすると不動産事業者に情報がいき、そのまま事前審査に申し込めるという、AIとロボティクスを組み合わせた、簡単かつ安心していい家とローンを探せる仕組みを作りたいのです。


ARUHIが目指す総合サービスのカタチ
住宅ローンを起点とする個人のライフスタイルを総合的にサポートする一方、サービスを提供する企業との連携も強化する。

1.RPA:Robotic Process Automation(ロボット技術を用いた業務の自動化等への取り組み)


谷本:それは便利ですね。とても面白いと思います!ただ、今後の日本の人口の減少、世帯数も減る予測がありますが。

浜田:承知しています。今後、新築の着工は減りますが、中古物件の流通はしばらく盛んになるでしょう。若い世代は中古物件を安く買ってリノベーションして価値を上げ、ライフステージに合わせて住み替えていくといいでしょうね。都市部のマンションは高額耐久消費財と捉えてもいいと思います。

谷本:それをアルヒがサポートしていくわけですね。住宅ローンを組む上で、御社を選ぶ最大のメリットはどんな点だと思いますか? 短期的・中期的な見解と合わせて教えてください。

浜田:今後、仮に長期金利が少しずつ上がっていくとしたら、半年遅れくらいで住宅ローンの金利も上がっていくでしょう。長期的に上がる前に固定金利でロックした方がいいと思います。35年で1%強はかなり魅力的ですから。こういう時、顧客視点でアドバイスできるのが弊社の強みです。というのも、弊社は、利ざやで収益を得るのではなく、アップフロントの手数料で収益を得ています。そのため、「金利が下がっているので、手数料を払ってでも借り換えた方がいいですよ」などとプロアクティブ(先見的)にお教えすることができるのです。また、弊社から融資を受けた方は、「ARUHI暮らしのサービス」の特典をフルに使えば、年間でおよそ10〜15万円のコスト削減が可能です。

谷本:まさに、新しい家で新しい人生を始める方に寄り添うサービスですね。御社は今後、ライフソリューションプラットフォーム企業を目指すとのことですが、そこに至るまでのマイルストーンを教えてください。

浜田:今後3年で「この企業は半分金融だけど、半分はテック系だ」と思ってもらえるようにしたいですね。先ほどお話しした、スマートスピーカーでサービスを提供するためのテクノロジーには、今年からどんどん投資していきます。空き家問題も解決したいですし、外国人のコミュニティを活性化するお手伝いもしたいですね。

谷本:そのスピード感も御社の魅力なのでは。家を中心にした私たちのまわりがこれからますます面白くなりそうですね。

浜田:これからのアルヒに注目していてください。

Promoted by ARUHI text by Kei Yoshida photographs by Jyunji Hirose 衣装協力(谷本有香):アジーロ青山店

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